3度のワールドチャンピオンに輝いたF1ドライバーのカリスマ、アイルトン・セナ。1994年のサンマリノGPは、予選、決勝を通じて死傷者が出る呪われた大会となった。5月1日、7週目に入ったセナのマシンはコンクリート・ウォールに激突。音速の貴公子と呼ばれた彼は、その短い生涯を終えた。
セナが追い続けてたものはなんだったのか。レース映像だけでなくプライベート映像、さらにライバル、アラン・プロストらの証言を交えて構成されたドキュメンタリー。
思えば日本のF1ブームは、彼、アイルトン・セナによるところが多かった。
このドキュメンタリーはF1ファンは勿論、然程モータースポーツに詳しくない俺をも惹きこんでしまう魅力と興味にあふれている。
天才的F1ドライバーの活躍、やがて見え隠れし始める政治とカネのパワーゲーム。
チームメイトでありながら確執を生み対立が深まっていくライバル、アラン・プロストの存在。
直向に勝利することにこだわり続けた孤高のドライバーの姿と、国家的英雄としての期待を背負う重圧。
ドキュメンタリーで描かれたその全てが実に興味深い。
そして後半は、結末を知ってしまっているせいもあるが、死を予兆させるようなエピソードが重なっていく。
レースへの漠然とした不安、それでも逃げ出すわけに行かなかった天才ドライバーの最期は、あまりにも唐突
だった。
最後にセナ財団の管財人としてプロストの名前がクレジットされる。二人だけにしか判らないドラマの存在。
決して憎しみあっていただけではない二人のライバル関係に心が熱くなった。