だが、村瀬と池元は兄弟の盃を交わした仲。池元は、いつも池元からやっかい事を押し付けている傘下の大友(ビートたけし)に、カタチだけの喧嘩を仕掛けるよう命令を下す。
しかし、自体は次第に池元の思惑を超え、血で血を洗う収拾のつかない闘争と、ヤクザ社会の下克上へと発展していくのだった。
久し振りに北野ノワールが帰ってきた。三浦友和、椎名桔平、加瀬亮、國村隼、杉本哲太、塚本高史、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗、中野英雄...早々たるメンバーが全員悪党。
オンナ気ゼロの乾いた暴力と、窮屈で理不尽な縦社会の中で、もがく極道たちのドラマが展開する。
高見の見物で、命懸けのゲームを楽しむかのような会長、古い価値観と新しい価値観の世代交代、そして、我慢の限界にやってくる暴発性の衝動的暴力の連鎖。
キャラクターには誰一人として感情移入は出来ないが、ただ怒声が飛び交っている映画ではない。
全てのキャラクターが屈辱に耐え、我慢を重ねた末に、突然爆発する。この感情と暴力のリアルな描写を映像化することにおいて、日本で今、北野武の右に出るものは居ないだろう。
無常観が支配し、悪が栄える結末も示唆に富んだものになっているが、ドラマとしての完成度で見ると過去の素晴らしい作品群ほどの輝きは残念ながら無かった。
ヤクザの抗争劇として過去の北野作品と比較するなら、「Brother」よりは、かなりマシと言うところ。
それぞれ素晴らしい役者が一癖もふた癖もあるキャラクターを濃厚に演じており、その競演を見ているだけでも興味深い作品だった。
それだけに、もっとドラマティックな展開を期待してしまった俺は、欲張りすぎだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿