2010年12月23日木曜日

トロン:レガシー/NARIZO映画レビュー

1989年。ゲーム業界のカリスマ的存在だったエンコム社のCEO、ケヴィン・フリンは7歳の息子サムを残して失踪した。20年後。ケヴィンの共同経営者だったアラン(ブルース・ボックスレイトナー)に謎のメッセージが届く。アランに促されて発信源のゲームセンターに向かったサムは、その地下に秘密の研究所を発見する。
そこはゲームの世界への入口だった。
果たしてその先に、父の失踪の謎は隠されているのか!
!


世界で初めて全面的にコCGを導入した映画として、記憶されている名作「トロン」の続編。
しかし、オールドファンには不満かもしれないが、前作との整合性は、あまり無いので(笑)、初めてこの作品から鑑賞しても充分楽しめるだろう。
ストーリーは、まぁ、退屈しない程度の内容。とは言え、「アバター」以来、久し振りに3D前提で撮影された大作SFだ。素直にディズニー製の130分のアトラクションを楽しもう!理屈抜きに!と言うのが、この作品の正しい楽しみ方だと思う。

とにかく、ダフト・パンクの新作にもなっているサウンドトラックはクールだし、コンピューターの世界のデザインは、スーツからバイク、フリスビーのようなアイデンティティ・ディスクに至るまで、いちいちどれも、思わず欲しくなるほどカッコいい。
しかし、デザインの基本は1982年の前作のもので、これを進化させたのが、今回の美術であることを考えても、いかに30年近く前の前作が当時、イケてたかってのが、窺い知れる。

まぁ、タイトルにまでなってる「トロン」がもう少し、活躍してくれても良かったんじゃネ、とは思ったけどネ(笑)。


2010年12月13日月曜日

ロビン・フッド/ NARIZO映画レビュー 

12世紀末。十字軍の兵士としてフランスで戦っていたロビン(ラッセル・クロウ)は、騎士ロバート・ロクスリーの遺言を聞き入れ、彼の形見の剣を故郷ノティンガムに届ける。
跡継ぎを失った領主のウォルターは、領地没収を恐れ、ロビンを息子の身代わりとする事を提案。
ロバートの妻マリアン(ケイト・ブランシェット)も渋々これに従った。
一方、ジョン王(オスカー・アイザック)の重臣でありながらフランスの手先として内乱を画策していたゴドフリー(マーク・ストロング)の策略は、戦争と過酷な税金、教会の搾取に荒廃するイングランドを混乱に陥れ、その隙を突くようにフランスの艦隊が、侵略のためにイングランドへと上陸しつつあった。



リドリー・スコット監督とラッセル・クロウが再びタッグを組んで「グラディエーター」以来の史劇に挑戦。
それを聞いただけで興味と興奮が掻き立てられた。
確かに見応えはあったし、期待した様な内容ではあったのだが、全てが想像の範囲内。目新しさはまるで無かったといってよい。
今回のロビン・フッドは、伝説的義賊になる前のストーリー。言うなれば、義賊が誕生するまでのエピソードが紡がれる。140分もの長尺でありながらも決して飽きさせないテンポと躍動感あふれる戦闘シーン。この辺りのクオリティはさすがリドリー・スコットだ。

しかし、その一方で名作「グラディエーター」と比べると、時間を掛けた割には個々のキャラクターが全然描けて居ない。
これが最期まで尾をひいて、重厚でリアリティに溢れたドラマを残念な印象にしてしまった。

それでも勿論、続きがあるなら見て見たいけどね。

2010年12月11日土曜日

SPACE BATTLESHIP ヤマト/NRIZO映画レビュー

2194年、外宇宙に現れた正体不明の敵ガミラスが、地球に向けて遊星爆弾を投下。人類の大半は死滅。大気は放射能に覆われ、地球は赤茶けた星と化し、僅かに生き残った人類は地下都市へ避難して生活していた。
最後の地球防衛艦隊が、冥王星空域でのガミラス宇宙艦隊との交戦で壊滅し、地球の希望は絶たれたかに見えたが、14万8千光年先にある惑星イスカンダルからの通信カプセルが地球に落下。そのカプセルから、イスカンダルの高い科学技術が産み出した波動エンジンの設計書を手に入れた人類は、その星に放射能除去装置があると確信。最期に残された宇宙戦艦ヤマトに波動エンジンを搭載し、イスカンダルを目指して地球を出発するのだった。





監督は、「リターナー」や「ALWAYS」の山崎 貴。という事は、VFXは彼が所属する白組で、制作プロダクションはROBOT。彼らが本格的にSF映画に戻ってくるというのは、非常に楽しみなことではあったし、それが事もあろうに「ヤマト」なわけだから、かなり前から俺の周りでも話題に上っていた。
気になるキャスティングが古代進=木村拓哉で、森雪=黒木メイサだと知ったときは、ちょっとした不安を覚えつつ、その一方、予告編を見て沖田艦長(山崎努)がイメージ通りに見えたりもして、色んな意味で気にならずにはいられない作品だった。

これだけの名作を実写化したわけだから、どう転んでも批判する人は出てくるだろうが、これはもう、アニメとは完全に別物と考えて鑑賞すべき作品だと思う。
事実、宿敵ガミラスは帝国でもないし、あの青い顔のデスラー総統も出てこないあたりで、子供の頃再放送を夢中になってみていた記憶のある、あの「ヤマト」ではない。
オトナの映画にしようとしたのか、現代風にするための手段だったのか、えらく概念的な存在としてガミラスやイスカンダルを再定義してしまったために、ヤマトが対峙しているものの存在を判り辛く、ぼんやりしたものにしてしまった脚本が不満だった俺。ちなみに、脚本は山崎監督の奥さんで映画監督の佐藤嗣麻子氏。
もっと、別の人だったらどんな風に描いただろうと、思わずには居られない(笑)。
明確な敵、目的、そこに向かって突き進む、ヤマトと乗員たちの物語を期待して見ると、物足りない作品だった。

キャスティングは端役も含めて豪華。柳葉敏郎や緒形直人、池内博之、高島礼子、西田敏行...。時間の問題もあるんだろうが、乗員たちの物語もあまり描けて居ないので、いまいち、活かしきれず宝の持ち腐れのように終わってしまった。
いつも一升瓶を抱えてる軍医の佐渡先生が高島礼子とか、意外性の部分も含めて面白かったのにホント、残念。

138分はこの手の映画としてはかなり、長い尺だけど、見ている限り時計が気になったりはしなかった。
しかし、ストーリーやキャラクターに関心が深まらず、ぺらっぺらに薄い作品になってしまった辺り、なんだかもどかしい。
それでも、常にカッコいいと思った映画にオマージュを捧げるように自作にエッセンスを借りてくる山崎監督の遊びココロは健在で、アナライザーがR2-D2の様に活躍したり、挙句、巨大ロボ化したり、ラストは「アルマゲドン」だったりで、突っ込み甲斐は満載。
実はキムタクが黒木メイサに破動砲を撃っていた...とか、シモネタ的にも、もう堪らないね。
終映後も尽きない話題を提供してくれる作品であることは確か(爆)。