2012年6月16日土曜日

スノーホワイト

魔力をもって王国を我が物とした女王ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)は魔法の鏡にいつも問いかけていた。
「鏡よ、鏡。この世でいちばん美しいのは誰?」「もちろん女王様です」。
女王を超える美貌をもつ娘が現れない限り、彼女の魔力は絶大で無敵のはずだった。
しかしある日、鏡はこう言った。「この世でいちばん美しいのは女王様ですが、やがてあなたよりも美しい娘が現れます。その時、娘の心臓を食べれば、あなたは永遠の美と若さを手に入れ、不死身となるでしょう」
その娘が自分の継娘スノーホワイト(クリステン・スチュワート)だと知った女王は、彼女を殺そうとするのだった。

プーマ、ナイキ、ノキア、トヨタなどのCMディレクターとして、クリオ賞、カンヌ国際広告賞など数々のアワードを受賞してきたルパート・サンダースの長編映画初監督作品。
CM出身の監督らしく、CGを多用して誰もが知る「グリム童話」の世界を飛び切りダークに、そして幻想的なビジュアルで再構成。オトナの「白雪姫」の世界を創造することに成功した。

見所は、邪悪な女王ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)と穢れを知らないスノーホワイト(クリステン・スチュワート)の火花を散らす美女対決。

特に若い娘から精気を吸いとらないと、みるみる老化してしまうラヴェンナ女王を演じるシャーリーズ・セロンは、CG以上に演技面でも冷酷な美女として観客の目を惹き付ける。
この手の題材では、「悪」に魅力が無ければ、主役は惹き立たない。
その点で、流石はシャーリーズ・セロン。いい仕事をしている。
一方、クリステン・スチュワートはなんといっても目が綺麗。
彼女の出世作にあげられている「トワイライト」のシリーズは一本も見たこと無いんだけど、この女優さんの佇まいとか、雰囲気はこの手のファンタジーにはホント、ピッタリで、凛としつつも可憐。
それから、ハンターのエリックを演じたクリス・ヘムズワースは、何だか昔のブラッド・ピットを見ているような雰囲気で、女性の観客も楽しめるんじゃなかろうか。

コマーシャル出身監督の初長篇映画演出だと、しばししばヴィジュアルが先行するあまり、話がメタメタになってしまうケースがあるわけなんだけど、その点、「白雪姫」という誰もが知る物語を題材として選んだのは実にクレバーだったと思う。
有名な物語を元にしたシナリオを自分のヴィジュアルイメージに再構築した結果は、「鏡」や「森」、「りんご」、「七人の小人」に至るまで、ああ、そう来たか!という驚きをもって楽しめた。
シナリオにはちょっと野暮ったいところもあっけど、長篇監督デビュー戦として、中々よい結果だったんじゃなかろうか。

最後に「白雪姫」って、そんなにダークで怖いおとぎ話だったっけ?って皆さん。
東京ディズニーランドで、「ホーンデッドマンション」なんかより、はるかに幼児が泣き叫ぶアトラクションは、「白雪姫」ですからね。(笑)

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