2008年11月1日土曜日

ハンサムスーツ/NARIZO映画レビュー

心優しく腕もいいけど不細工の定食屋、琢郎(塚地武雅)。見栄えの悪さだけで33年間、不幸せな思いばかりしてきた彼の前に現れたのは、美人アルバイトの寛子(北川景子)ちゃん。一目ぼれして何とか彼女に告白するも、あっさりと振られ、落ち込む琢郎に怪しい「洋服の青山」の店員が近付いてきた。
「着るだけで。ハンサムになれるスーツがあるんです。」果たして琢郎は、ハンサムスーツの力で幸せをゲットできるのか!!


実生活で森三中の大島美幸と結婚し、「ヒトは外見ではなく中身である」と声高に叫ぶ事に現在、最も説得力を持つ男、鈴木おさむのオリジナル脚本を、長編映画は初監督になるCFディレクター英勉がメガホンを取って完成させた本作。
着るだけでハンサムになれるスーツという、馬鹿馬鹿しい発想は、不細工なドランクドラゴンの塚地武雅→モデル然とした谷原章介というキャスティングで見事にコメディとして着地した。

ストーリー展開は、非常に王道的で誰にでも安心して見ていられる(展開が読めるという意味で)し、日常の「あるある」という状況を見事笑いに換える上手さを感じる一方で、正直、やや冗長。30分短くてもいい(爆)。
あからさまなプロダクトプレイスメント(唐突に登場するガリガリ君とか)に、おいおいと突っ込みの一つも入れたくなったり、80-90年代Jpopの懐かしい挿入曲つるべ撃ち状態で30~35歳位を明確にターゲット視していることがビンビン感じられたり、開き直ったマーケティング色の強さに、爆笑。
まさに30代ど真ん中に居る俺としては、相当愉しかった。
11月1日映画の日の同日公開は、大作「レッドクリフ」の話題一色だったけど、こんな日こそ、カネをドブに捨てる覚悟で、こういう馬鹿映画を1000円で愉しむ気にもなろうというもの。実際、俺も、30代の友達みんなでワイワイ愉しんできた。

ヒトは見た目で判断されがちだけど、「大事なのは中身だ」というストレートなメッセージはきちんと一本貫かれ、その上で主役二人の周囲を固めるキャスティングも素晴らしい。
ヒロインの北川景子はとにかく可愛いし、佐田真由美はクールにカッコイイ。妻さえもネタにする鈴木おさむによってキャスティングされたのか大島美幸も、なかなかよい味で、久々の池内博之や本上まなみ、ブラザートムといった脇役陣だけでなく、見てのお楽しみなカメオ出演者が笑える上になかなか豪華。

邦画でオリジナル脚本の映画を作るのが、ホント、しんどい感じの昨今、邦画らしいカタチで、オリジナル企画のコメディを成立させた「ハンサムスーツ」。
エンドロールの最後まで、席は立っちゃ駄目ね。

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