「ファインディング・ニモ」の監督アンドリュー・スタントンによるディズニー・ピクサー最新作、「WALL・E」。
いち早く見た人たちの間では、絶賛だっただけに、俺としても、かなり楽しみにしていた。
この作品で、光るのは抜群に魅力的なキャラクター。
ピクサーは実にキャラクターで観客の心を掴むのが上手いと思う。本家のディズニーがスティッチ以降、全く新たなキャラクターで成功できない事から考えても、ピクサースタジオの創造力には、物凄い力を感じる。
正直、ストーリー云々以前に、ロボットでありながら感情豊かで、愛くるしい「WALL・E」が画面をチョコチョコ動き回るだけで、見ているこっちは夢中になってしまう。
「WALL・E」が、キャタピラで動くローテクなメカメカしさでデザインされているのに対して、「イヴ」は、なんかAppleの製品みたいにツルツルしたデザインで、どんなテクノロジーで動いているのかも想像が付かない。
そんな、一生懸命頑張るローテク「WALL・E」が、ハイテクのロボットに恋をする可愛いラブストーリー。
「ふたりの境遇・立場に格差がある」そういう、恋愛ドラマを盛り上げる上での王道的設定が踏襲され、俺たちは主人公がロボットである事なんて忘れて彼を応援してしまうわけである。
もう一つ、面白いと思ったのはこの作品が、従来のピクサー以上に大人向けのテーマを発信していると感じられたこと。
冒頭に登場する世界は、人間が見捨てたゴミだらけの地球。
宇宙に避難した人間達は、全員、デブになっていて足腰が弱り、歩行も困難になっている。
最近、日本でもメタボ対策にやっきだが、はるかにその上を行く肥満大国アメリカに警鐘を鳴らす、実は物凄く社会派のテーマが作品の中に隠されている。
クラシカルなディズニーは、子供に見せて安心な「おとぎ話」で、大人の鑑賞にも堪えるクオリティのものだった。
しかし、アンドリュー・スタントンの前作、「ファインディング・ニモ」は、父親の目線からもストーリーが紡がれ、子育てや子離れを通じて自らも成長する父親像を描くことで、彼と同じ父親世代に対してもメッセージが発信されていた。
そして、本作。ピクサーは、とうとう人間社会に生きる大人たちに向けて、アニメを使って社会問題を提起しはじめた。
子供達に美しい地球を残すために....。子供を愛し、家庭を愛する事で有名なアンドリュー・スタントンは、本気なのだ。
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