原作は、井坂幸太郎原作のベストセラー。監督は、伊坂作品の映画化では、すっかりお馴染みになった中村義洋。
伊坂作品の映像化といえば、当たりハズレが非常に激しく、そのせいで見る前にはいつも心配になってしまう俺。しかし、今回は独特のテンポやキャラクター、ストーリーに散りばめられた仕掛けの数々が特徴の伊坂作品を魅力的に映像化することに成功していると思う。
ホント、これは中村監督の演出とキャスティングの勝利だ。
何処か抜けてる優しい逃亡者の役に境雅人は、ぴったりとハマっている。
そのほかも、脇を固める竹内結子や劇団ひとり等のメインキャラだけでなく、運送会社の同僚を演じた渋川清彦や、青柳の父親を演じた伊藤四郎、花火屋のオヤジのベンガル、無表情のターミネーターみたいな刑事に永島敏行、それから青柳を追い詰める警察庁の官僚 佐々木を演じた香川照之など、大勢の豪華キャストが登場。かなりの数のキャラクターが登場し、それぞれの出演シーンはいずれもたいして多くないのだが、全員が強烈な印象。
ニホンらしからぬ、首相暗殺という大きなストーリーを絶妙なユルさと、それでいて2時間越える尺を長いと感じさせないテンポで展開させ、最後には心の中でガッツポーズしたくなるような優しいオチをつけて...何だか幸せな気持ちに包まれてしまう作品だ。
そしてもうひとつ。伊坂作品といえば舞台は仙台である。
今まで以上に、スケールの大きな本作では、仙台市が撮影に全面協力。
だから、なんと定禅寺通りを封鎖して、パレードシーンを大規模に撮影したり、そのほか、見覚えのある交差点や路地を縦横無尽に青柳が逃げ回る。こういう撮影を日本でも出来るようになってきたんだなぁ...と思わせるようなシーンが色々登場。映像から匂い立つ、仙台というこじんまりと集約された街の魅力も、もう一つの見所だと思う。
実は俺にとって仙台は最高に仲の良かった同世代の仲間たちと、10年前、働き、呑み、遊んだ想い出の街。
主人公達が学生時代に花火を見上げる素敵な回想シーンを見て、忘れ掛けていた自分にとっての特別な時間、今は亡き仲間達のコトなんかを映画に思い出させてもらった気がした。
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