2011年1月10日月曜日

アンストッパブル/NARIZO映画レビュー

ペンシルバニア州の操車場。運転士の操作ミスにより大量の可燃性化学薬品を積んだ貨物列車が無人のまま暴走を始めた。同じレールを機関車1206号で走っていたベテラン機関士のフランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)と若い車掌のウィル・コルソン(クリス・パイン)は、間一髪で正面衝突を回避。しかし、積載貨物の重量と、列車の速度で凶器と貸した機関車を停止させようとする鉄道会社の策は次々と失敗。機関車1206号の二人は暴走機関車を追跡し、最後尾に連結して、1206号のブレーキで停車させる最期の賭けに出る。2001年にアメリカで起きた列車暴走事故を題材に、「トップガン」のトニー・スコット監督が映画化。

 実話の映画化。文字通り、息をつく暇も無い99分。
熱い男気、カッコいいおっさん達、家族の絆、ライヴアクションに徹底的にこだわった映画史上初、実車両での転覆脱線シーン。間違いなくトニー・スコット監督、近年の最高傑作になったと思うのがこの「アンストッパブル」だ。

とにかく、その重量、圧倒的存在感と、迫力で、さえぎるもの全てを破壊し、暴走する機関車のすざまじさは、かつて経験したことの無い映像体験を与えてくれる。

リストラ直前のベテラン機関士と、家庭に深刻な問題を抱える新米車掌という、なんとも華の無い境遇のプロフェッショナルが、反目を乗り越えて暴走機関車を身体を張って止めに行く。
会社のためではなく、自分の大切な家族が待つ街を救いたいために無謀とも思える奇策の実行を決断する。

この作品が素敵なのは、キャラクターが魅力的で、かつドラマが適切に描かれていた点だと思う。
単に二人をヒーロー扱いするのではなく、むしろ問題を沢山抱えた普通の人間が危機を救うことになった、その背景となるエピソードをバランスよく盛り込んだ脚本の成果は大きく、感動的な「家族」の映画になっている。

加えて、見る者を選ばずに、熱くさせる演出からは、アクション映画の大家として知られる監督の経験と力量の大スパークを感じさせる。
色気は無いが、プロフェッショナルの格好良さが、題材だけでなく作り手からも伝わってくるような素晴らしい大作映画だ。
ライヴアクション万歳。



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