2011年5月19日木曜日

「岳 ガク」 小栗旬の当たり役! /NARIZO映画レビュー

世界中の巨峰を登り歩いてきた島崎三歩(小栗旬)は、北アルプスの山岳救助ボランティアをしながら山で生活する変わり者。北部警察署山岳救助隊の隊長・野田正人(佐々木蔵之介)を先輩として慕いつつ、遭難者の救助に手を貸している。そんな中、山岳救助隊に配属されたばかりの新人、椎名久美(長澤まさみ)は、能天気にさえ見える三歩の姿勢に反感を覚えつつも、遭難救助を通じて多くを学び、成長していくのだった。
ある日、北アルプスを爆弾低気圧が襲い、多重遭難が発生。雪山の脅威を前に、久美や三歩は果たして遭難者を救えるのか!


俺は山に登らないんだけど、山好きの呑み友達があまりに絶賛だったので、鑑賞。
確かに美しい空撮シーンの数々や、雲の上の頂、一面に広がる澄んだ空と広大なパノラマには目を見張るものがあった。

主人公の三歩を演じるのは小栗旬。
どんなに過酷な状況でも、どポジティヴに天然な雰囲気を発しつつ、冷静な判断力と、熱い情熱を秘めたこのキャラクターを好演。今後、当たり役として演じ続けていくことになりそうな予感漂う魅力的な演技に、心掴まれた。しかも、なんと彼、高所恐怖症だったらしい。

物語は、自然の美しさ、恐ろしさを淡々と描く。
遭難した人が亡くなる描写も多く、単に「ヒーローの映画」にはなっていない厳しさがある。
そんな中で、全く何で生計を立てているのか判らない三歩の存在には興味をかき立てられるものがあり、原作の漫画を読んでみたくなった。
そう。この作品は、映画を見て原作を読みたくなる効果を生んでいるのだ。珍しいことに。(笑)

しかし、なにより実はこの作品で一番、俺が気になったのは長澤まさみの熱演。
雪山なので、もこもこに厚着だし、彼女の役柄は恋愛するというより成長するところに重点を置かれたキャラクターだから、女優さんが美しく華麗にスクリーンを彩るようなシーンは皆無と言って良い。
しかし、泥まみれになりながら、必死で成長しようとするその姿もまた、実に魅力的だった。

山の美しさと恐ろしさ、その両面を描いて「山へおいでよ」と語りかけてくるこの作品。
しかし、山はやっぱり相当のココロの準備と装備が必要なのね。と、登山への心理的ハードルが、これのせいでまた、一段上がった気がする。
この景色の続きは、映画第2弾で味わいたい。


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