2012年1月16日月曜日

ロボジー/予告編で見せすぎた

家電メーカー木村電器の窓際社員、小林(濱田岳)、太田(川合正悟)、長井(川島潤哉)の3人は、社長(小野武彦)からロボット博で披露すべく流行の二足歩行ロボット開発を命じられる。しかし、ロボット博まであと1週間と迫る中、制作途中のロボット“ニュー潮風”はアクシデントにより転落全損大破してしまう。
やむなく3人は、ロボットに体型が似た73歳の鈴木重光(五十嵐信次郎)を何とか騙してバイトに雇い、ロボットの中に彼を入れて窮地をしのごうとするのだが....



 壊れたロボットを誤魔化すために、中に爺さんを入れるというアイディア自体が素晴らしい。
五十嵐信次郎の演技も光る。

制御不能なまでに、ワルノリする爺さんと、慌てふためく駄目社員。
おおまかなストーリーを聞いただけでも、矢口史靖監督の新作は見たくて見たくて仕方ないものだった。
そして、予告編を見た俺の期待は確信に変わった。これ、絶対、面白いよ!!
ロボットオタクの女子学生・葉子(吉高由里子)もカワイイし、キャラもみんなユニーク。

しかし、なんだろこの残念な感じは。

矢口監督は、人間ドラマを見せるのに定評がある方だ。
例えば男子のシンクロナイズドスイミング(「ウォーターボーイズ」)とか、駄目駄目な吹奏楽部(「スウィングガールズ」)とか、乗客を乗せてヒコーキを飛ばす人々(「ハッピーフライト」)とか、外から見るとマニアックだったりちょっと変わった世界を舞台に、その中で情熱を燃やす連中を面白おかしく、熱く描くことで最後に物凄い感動とか、興奮を観客に与えてくれるような作品を世に送り出してきた。

ところが本作にはそれが無い。
今までであれば、ロボット開発というマニアックな世界で悪戦苦闘する駄目社員を描くのがパターンだったのだと思うが、今回、ロボットに爺さんを入れて誤魔化すというアイディアの元、いつものスポ根的展開は封印された。

と、なると....ばれそうでばれない誤魔化しの中で、次第に制御不能のワルノリに走る爺さんが、見所になるわけだが、なんと、笑えるシーンをほぼ全て、予告編の中で見せてしまっているのだ。

だったら世間から相手にされなくなった哀れな偏屈爺が、ロボットを演じることでスポットライトを浴びる快感に目覚める...そんな要素がもっと強くても良かったかもしれない。

いずれにせよ、爺さんが演じるロボットというアイディアで引っ張れるところまで最大限引っ張った結果、ドラマとしては今一歩、物足りず、深さとか熱さを感じない、よくある「ほのぼの」コメディに終わってしまっているのが、本当に勿体無い。
はるかにそれ以上の可能性を感じたアイディアだっただけに。

それでは、本編位においしい予告編をどうぞ。(笑)




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