2008年9月28日日曜日

アイアンマン/NARIZO映画レビュー

天才的発明家にして巨大軍事企業の社長トニー・スタークは、自社の新兵器のデモンストレーションをアフガニスタンで行った直後、テロリストに拉致されてしまう。そこで彼が見たのは、自社の兵器がテロリストにも使われているという実態。幽閉されて兵器作りを命じられた彼は、鉄くずからパワードスーツを作り上げ、脱出。帰国した彼は、助かった命をテロ撲滅の戦いに捧げる事を決意する。
テロリストに拉致された天才発明家が、鉄屑からパワードスーツを作って、敵と戦う...。
もう、論理的説明不能、荒唐無稽の滅茶苦茶な馬鹿映画登場。しかし、物凄い力技で、すっかり夢中になってしまった。

元はアメコミ。
「スパイダーマン」以外、日本ではアメコミからの映画化作品は中々、ヒットしないという現実があるわけだが、この「アイアンマン」に関していうと、生身の人間がパワードスーツを装着して、戦うというロボットアニメ的要素が他のアメコミ作品には無いユニークな特徴。
超能力や超人といった日本人としては「なんだかなぁ」というアメコミ的設定がなく、メカのカッコよさとか、日本のアニメにも通じる戦闘シーンの演出なんかでグイグイ魅せるので、気付いたら惹きこまれてしまっていた。

鉄屑からパワードスーツを作るという、もう、そりゃ絶対無理だろという設定を前提にした上で、それを呑んで楽しんでいる観客にとっては、もう細かいところなんてどうでも良いのだ。
肝心なところは、エンタテインメントしているか。これについては申し分ない。非常に愉しい。
無邪気に愉しい。

実は、この作品の最大の魅力はメカではなくキャラである。

この作品がもし、単なるCGでカッコよい戦闘シーンを立て続けに見せるだけの映画だったなら、こんなにも夢中になれたかどうかは疑問だが、ロバート・ダウニーJrの演じるトニー・スタークの不完全ヒーロー振り、人間臭さがこの作品の魅力を数段高めている。

そもそも、武器商人である。プレイボーイで、派手好き、自己顕示欲が強く、でも肝心な意中の女性には気持ちを伝えるのが下手。

そういう駄目オーラ漂う主人公に、正義感を芽生えさせ、一点だけ光る才能を駆使したパワードスーツで敵を倒す。

で、敵は倒しても、聖人君主になるわけもない。人間、そう簡単には変わらないよね...というヒーロー像が、とても魅力的だった。

テロとの戦いを主題にしていながら、結局、テロリストに武器を売っているのもアメリカというあたりも、実は結構皮肉が利いている。

エンドロールの後に前振りされる続編は物凄くアメコミっぽくなりそうな予感で、正直、俺としては楽しめるかどうか不安なんだけど、この作品に関しては、お奨め。




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