2009年4月29日水曜日

NARIZO着うたデビューの巻

連休初日っす。
思わず、使い切れない有給を2日間使って8連休にしてみたものの、天気が良すぎたせいか、いつも会社いく時間に起床。
この連休は、あまりカネを使わずに、でもプレミアムに過ごすをモットーに、芝生でイベントをやっている東京ミッドタウン『OPEN THE PARK』へ行ってきました。

先ずは、芝生での無料朝ヨガ。
これは先着100人と謳ってはいたものの200人以上居ましたね。でも、キツキツにはならず。
初心者も無理の無いユルいリラックス空間で、凄くリフレッシュできます。
先生は、パキスタン人です。日本語ペラペラの(笑)。
青空の下、芝生の上で素足のヨガってのは、ホントに気持ちよかったわけですが、女子は日焼け対策、あと、何気に陽射しが眩しいのでサングラスは必須です。

その他、世界から大道芸人が集まったり、Tokyo FMの生放送とフリーライブが行われたりと、5/6までは連日、盛り沢山。ヨガの後、酒を求めて恵比寿ビールのワゴンに並んでいたら、ホフディランでドラムを叩いている現象さんに「あっ、アル中だ!」と声を掛けられるハプニング。偶然の再会だったけど、この後芝生のステージで、ホフさんのフリーライブだったんですね。知らなかったけど。w
ちなみに、イベント中の会場の地図は以下の通り。

地図で上の方の真ん中辺りがミッドタウンの芝生エリア。微妙な点線で区切られて池がある辺りが、隣接する桧町公園。別名「草なぎ全裸記念公園」です。


で、芝生から道路挟んで向いのミッドタウンアトリウムでは現在、auのデザインケータイプロジェクト「iida」のイベントを開催中。
機能は特に革新しないけど(笑)、デザインにこだわった「G9」の体験でノベリティがもらえます。



特にユニークなのが、自分の何フレーズかのうた声をケータイから録音して、その場でサンプリングされたその声が、テイ・トウワの曲にMixされて世界で1曲だけの着うたになってしまうという乱暴極まりない、「iida calling」という企画。
なんと老若男女、簡単に着うたデビューできてしまう!

仕上がりは、写真の様に名前入りのQRコードに印刷されて手渡される。

そのQRコードからケータイに着うたとしてダウンロードできたり、ミッドタウンのイベント会場に響き渡る様な音量で、公衆の面前に晒せたりw。

確かに自分の声が曲にMixされてはいるんだけど、ビミョーに不気味(爆)。
(実際に↓のQRにアクセスすると、NARIZO着うたにアクセス可能。)





2009年4月27日月曜日

スラムドッグミリオネア/NARIZO映画レビュー

巨額の賞金が懸かったクイズ番組に出場したスラム街出身の少年ジャマール。
周囲の予想に反して正解を連発した彼は、不正を疑われて警察に拘束されてしまう。
何故、スラム育ちでろくに教育も受けていない彼が、次々と難問に答えられたのか...彼の口から語られたのはスラムを生き抜き走り抜けてきた驚愕の半生だった。


アカデミー賞8部門をことごとく掻っ攫った話題作。土日は半端じゃない混み具合で、断念。
とうとう、会社帰りのレイトショーで、そんな話題作「スラムドッグ$ミリオネア」を見てきた。

冒頭から、完全にヤラレタ。
眩暈のするような路地を必死に駆ける少年達。灼熱を感じさせる映像。人々の熱気。暑い!熱い!
先ず、インドのスラムから立ち昇る「生」のパワーに圧倒される。
そしてダニー・ボイルらしくカメラは疾走。観客は何時の間にかムンバイの路上に連れ去られた気分だ。
完璧な導入部じゃないか。

スラム育ちの少年は、学校とは違う形で様々な知識を過酷な人生から学んでいく。
悲惨でも、理不尽でも決して諦めないハングリーさ。そこに悲壮感は微塵も無い。
街自体の生命力。生きることに懸命だからこそ、一途で正直な少年の生き様。
何処と無く忘れかけてしまっていた色んなものを思い出させてくれる熱気と力に溢れた作品である。

そして今年は、このインド人しか出てこないイギリス映画がアカデミー賞を総なめにした。
凄いことだが、この作品の凄さはその栄誉を称えられて余りあるほどのものなのだ。

無学なスラム街の少年がクイズに勝ち進んで一躍、注目を浴びる存在になる。
ストーリーはまるで、オトナのおとぎ話だ。
しかし、リアルな描写と作品全体に流れるとてつもない生命力が、ストーリーに真実味を加えている。

彼の目的はカネではなく愛を貫くこと。
これは、貧しくても高潔な魂と、愛の物語なのだ。

人生は悲喜こもごも、貧富の差は大きく、益々過酷だ。それでも希望を捨てなければチャンスはある。
そういう前向きなメッセージを放つのに、インドは最高の舞台だった。

そして突如、踊りまくりのエンドクレジットは、ああ...インド映画っぽい底抜けの明るさ。
ホント、元気をもらえるエンタテインメントでした。

2009年4月25日土曜日

LAST BLOOD ラスト・ブラッド/NARIZO映画レビュー

サヤ16歳。セーラー服におさげの黒髪。人間の姿をした鬼の正体を見抜くや、日本刀で一瞬にして切り捨てる。彼女の最大の秘密は、鬼とヒトとのハーフである事。復讐のために鬼を斬る。

セーラー服姿のヴァンパイアハンターが日本刀でスタイリッシュに敵を倒していくフルデジタルアニメーションで、発表当時、世界のマニアックな映像ファンを驚喜させたProduction I.G制作の「ブラッド・ザ・ラスト・ヴァンパイア」。この知る人ぞ知る名作が香港・フランスの合作で、とうとう実写化された。

主演は、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン。
原作のサヤの雰囲気漂うも、到底16歳には見えない(爆)。
しかし、かなりハードにアクションをこなしているので、彼女の新たな一面に興味が沸くようなファンなら、見ても損は無いだろう。

敵役は小雪。
アジアンビューティ対決。そういうのが気になる方も、是非。

小雪の役どころは「オニゲン」。どうやら、オニ族の起源で絶大な力を持っている。
漢字だと「鬼源」ってコト?しかしながら、どう見てもビジュアルは「雪女」だ(笑)。

オニとヒトとの水面下で行われていた抗争が最終局面を迎えた...という解説のもと展開するこの作品。

残念ながら、人類の存亡を掛けた最終戦争を感じさせる緊迫感や、ストーリーの広がりは何も無く、平坦な展開の合間に、どこかで見たようなアクションが繰り広げられ、デジタルなのにストップモーションで撮ったみたいな妙なモンスターとか、この手の作品としては、どうにも物足りない。

この半端なやり切れなさ....お馬鹿映画にも成り切れなかった、どうにも成仏できない感じが、とってももどかしい。

だいたい45分程度の原作アニメを倍の長さに膨らまし、余計な解釈が色々入ったところが、まるまるイケてなかった感じ。

それでも、企画したプロデューサーのビル・コンや、監督のクリス・ナオンは、とっても原作の雰囲気を愛している様で、作品を支配する色彩や、舞台となる30年前くらいの品川 戸越銀座の美術も、地下鉄(多分、浅草線の設定)のシーンにしても、良い味が出ていた。
実際の撮影地はアルゼンチンと中国。日本にはロケハンにだけ来たみたいだが、この架空の戸越銀座の雰囲気は、中々よかった。

2009年4月23日木曜日

GOEMON / NARIZO映画レビュー

豊臣秀吉が天下統一を果たした頃。
盗賊、石川五右衛門はある晩、南蛮製の箱を盗んだ事から、石田三成の一派に命を狙われる。箱の秘密...。そこには、織田信長の死に、深く豊臣秀吉が関わっていた事を示す秘密が隠されていた。

PV出身で元、宇多田ヒカルの旦那。迷作「CASSHERN」を初監督して世間を唖然とさせた紀里谷和明監督の2作目がこの「GOEMON」。
五右衛門を演じる江口洋介を筆頭に、 大沢たかお、広末涼子などキャストは前作と比較しても超豪華だ。
凝った衣装と、突き抜けた美術は、日本の戦国時代を舞台にしたと言うより、全くの異世界。
狙いなんだろうが、誰も彼もがその時代の人に見えない。
画作りにおいても、敢えてグラフィックノベル風というか、リアリティを追及していないCG映像が持ち味になっていて、全編が相変わらずのオレオレ美学世界の押し付けで、実に疲れた。
これが上手いならともかく、単に、ビデオゲームのムービー部分を連続して2時間見せられている様な辛さなのだ。それを洒落じゃなくて、大真面目に、カッコイイと思ってやってるオナニー映画。
だからチョッと痛い。
B級の可愛さもないし、笑えない駄目映画、カッコイイつもりの馬鹿映画という、最も哀しく中途半端な印象なのだ。

でも、お話のまとまりは「CASSHERN」より大分マシだった。

2009年4月19日日曜日

みなとみらいにマシン・スパイダー クモ歩く「La Machine」

今年は横浜開港150周年なのだそうで、4月28日から9月27日まで、みなとみらい地区を中心に「開港博Y150」が開催される。
で、そのプレ・イベントとして、フランスから日本に初上陸。
スペクタクル・アート劇団の「ラ・マシン」によるパフォーマンスに出くわした。
彼等は、ディーゼルエンジンやタイヤつきの山車に、メカメカしい機構をつけて「生物」を造り上げ、それを繰り出して街と一体になったショーを展開するのだという。

今回、横浜に上陸したのは2匹のクモ。
その名も「レ・メカニック・サヴァント」。博識な機械という意味らしい。しかし、想像以上に大きくて大迫力だった。


このクモは、ときより、糸の代わりに水煙を吹く。そして、これ、結構濡れるのだ(笑)。
赤レンガ倉庫を目指すクモ。怪獣映画の1シーンを見ているかのようだった。

「ラ・マシーン」は、このクモを不気味なものではなく、糸を紡いで巣を作る「独創的なイキモノ」として制作したとの事。
最初は、驚き、暴れるクモがやがて街で人々と触れ合い、横浜が大好きになるというストーリーらしい。


赤レンガ倉庫をひとまわりして、日本大通をパレードするクモ。
ちなみに2匹のクモの後ろにはクレーンで吊られた生バンドとスピーカー群が続く。



じゃれあう、クモ。そこに雪が降り注ぎ、2匹はしばしの眠りに付く。夕方、再び新港埠頭へ2匹揃って帰っていく予定だとか。今回のイベント終了後も1匹だけは開港博で展示されるらしい。
どうせなら、動くのが見たいね。


2009年4月14日火曜日

ウォークマンの神髄 NW-X1000をいじり倒してきた!

パッとしない天気、仕事のモチベーションも上がりきらないそんな午後。
突然、俺の携帯電話にソニーからメールが飛んで来た。

なになに...

「1日だけの特別イベント 本日発表の新製品 ウォークマンXシリーズ先行体験会」

.....?.....!!これはっ!?なんと、ソニーさんから新製品発表会への突発ご招待メールである。

しかも、会場の銀座ソニービルには開発メンバーも来場して、プレゼンテーションがあったり、製品発表当日に、実機をいじり倒せるらしい。

早速、定時と共に会社を飛び出した俺。小雨の中を銀座へとひた走った。




どういう基準で俺のところにメールを戴けたのかは謎なのだが(笑)、ソニービルの最上階、「OPUS」には見るからにソニー好きな人達が集まっていた。

トークイベントはラスト5分に駆け込んだ感じになってしまったものの、最前列に案内され(笑)、その後は、充分な台数用意された実機を思う存分、1時間近く弄らせてもらった。

ただの体験会と大きく違ったのは、開発に携わったプランナーやデザイナーと、一般ユーザーの自分が、雑談しながら製品をいちはやく触る事が出来た事。メールに気付いて、ホント良かった。w

で、肝心の「NW-X1000」。ウォークマンの神髄を感じさせる凄い製品だった。
1時間いじり倒しても全く飽きない。所有したくなる輝きと、使っていくうちに高揚感に包まれる、そんなソニーらしい製品に久し振りに出逢った気がする。

①音と映像に最高峰の技術でこだわり、余分なものは捨てた侍魂

iPodとウォークマンの違いは何だろう...?
両方のユーザーだった俺は、その最大の違いは「音」だと言い切れる。
もはや、音楽プレーヤーであり、情報端末であり、ゲーム機であり、電話であるiPodに対して、今回のウォークマンはオーディオメーカーが、持てる技術の全てを「音」と「映像」の差別化に注ぎ込んだ、実に「ピュア」なデバイスになっていた。

デジタルオーディオとして最高峰の音を出すために搭載された、フルデジタルアンプ。
周囲の騒音を約98.0%カットするノイズキャンセリング。ワンセグのアンテナとしても機能しつつ、デザインにもこだわった大口径13.5mmのヘッドフォン。

デジタルオーディオの音質がビットレートの違いだけで決まる訳ではないことをよく知っている、オーディオメーカーのDNAが惜しみなく注ぎ込まれたその音は、ライバルメーカーのそれを超越している。
決してそれは、マニアで無ければ気付かないような微妙な違いではない。
実際店頭に並んだときに比較してみれば、誰であれ明らかな違いを実感できるほど、確かな「差」を体感できるはずだ。

映像も凄い。デザインこそiPod Touchみたいだが、そのディスプレイは3.0型ワイド有機ELディスプレイ。圧倒的な明るさと、コントラストで、いつまでも映像を見ていたくなる、最高品質が惜しみなく注がれている。


②Youtubeとの連携が凄い

今度のウォークマンは無線LAN搭載。正直、オマケみたいなブラウザで簡単なネットサーフィンが出来たり、podcastに対応していたりするのだが、本気で凄いのはYoutubeとの連携だ。
音楽を聴きながら、Youtubeボタンを押すと、そのアーティストの関連動画(多分、違法アップロードのものがザクザク検出される?)が検索されて再生できたりする。つまり、ネットさえ繋がっていればあたかもローカルにコンテンツがあるかのようなノリで、ネットワーク経由で映像を楽しめるというワケ。カタログスペックで約5時間は電池が持つらしい。
特に驚いたのが、HDでアップされた動画を再生したとき。
YoutubeにアップされたHD画質が、どういうクオリティで再生されるのかは、スタッフ陣の中にも確認していなかった人が多かったらしく、みんなで映像チェック。
元の素材のクオリティを知っているからと言う理由で、NARIZOがアップしていた「六本木アートナイト」のHD画質動画を再生してみたところ、ちゃんとHD画質で再生が始まった。
当然、ウォークマンの機能として実装されているワンセグなんかよりも、はるかに綺麗。
Youtubeの動画をウォークマンで見ているなんて事はまるで忘れてしまいそうなクオリティだった。
iPod Touch同様、webブラウザの方は、Flash非対応なのでyoutubeは専用の別アプリから再生される仕様なんだけど、そのアプリがイケてることと、ディスプレイが有機ELだってのも大きいかもしれない。
逆に、ソニーのスタッフ陣から、どんなカメラを使ったのかとか色々質問されちゃった俺。....実はこれ、新しいソニーのハンディカムHDR-XR500で撮って、VAIOで編集してる動画なわけですよ! 
それを聞いたスタッフ陣は思わず口を揃えて「すばらしい!」と(笑)。喜んでいただけたようで場が妙に和んだのでした。

↓HD画質の俺のアップしたYoutubeを再生しているところを携帯カメラで撮った写真。

③iPod的インタフェイスと、便利になった転送も評価

結果としてタッチパネルや、CDジャケットのアルバムスクロールなど、iPod的ともいえるインタフェイスで直感的に愉しく弄れる使用感に、iPodにはないワンセグ対応などが加わって、「音楽」と「映像」関連の機能を際立たせた今回のウォークマン。地味だけど大きな評価点の一つは、評判の悪かった音楽転送・管理ソフトの「Sonic Stage」を経由せずにドラッグ&ドロップでの楽曲転送に対応するなど、品質だけでなくユーザーの声に耳を傾けた改善を行ったこと。
一見、簡単だけど乱暴に見えるドラッグ&ドロップでも、内部でちゃんと50音などでインデックスを作り、操作や検索性は従来通りとの事。

製品をよくするためには時にはプライドを捨て、しかし、ソニーとしてのコアな魂をストイックにぶつけた今回のウォークマン。開発チームの皆さんからも「熱」が直接伝わってきた。

最後に1時間いじり倒した感想として。

今回のウォークマンは今もてる技術の最高峰を16GBで3万円台におさえて提供しようと言う、ソニーの原点回帰の戦略デバイスだった。

それは、初めて小学生のときに手に入れたカセットテープのウォークマンで音楽を聞いたときの、あの何ともいえないワクワク感が蘇る、本当にソニーらしいデバイスだった。

体験イベントに参加した僅か1時間。...俺は音楽が大好きだった頃のコドモに戻っていた気がする。




■製品情報


http://tb.treview.jp/TV/tb.cgi/13002003/0/49261/9fRJgtb1/1239758984

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

2009年4月12日日曜日

レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-/NARIZO映画レビュー

80万の軍勢、2000隻もの船を集めた曹操軍は、決戦の地・赤壁で、劉備・孫権連合軍と対峙していた。 圧倒的勢力差を覆す計略の数々、疫病の蔓延、非情と結束、忠と義。ついに赤壁の戦いの火蓋が切って落とされる。

前作、レッドクリフPARTⅠは最終決戦の地名をタイトルにしておきながら、肝心の「赤壁の戦い」直前で次回へ続くという、壮大すぎる予告編を見ているような作品で、2時間超。とにかく疲れる映画だった。

ただ、2時間の予告編を見てしまった以上、イチバンいい所を見ずに終えるのも悔しいし(笑)、どうせみるなら大スクリーンで...と、品川プリンスシネマのシアターZERO(元IMAXシアターで、IMAXの大スクリーンで映画が上映される)で鑑賞してきた。

今回も上映時間144分と長く、実に2時間半近いわけだが、これは絶対大スクリーンで見るのがオススメ。
歴史スペクタクルとしてもエンタテインメントとしても、流石に総制作費100億円(うちジョン・ウー監督自己負担で10億ってのを強調して宣伝してるね/笑)の迫力は半端なく、一見の価値がある。
ご丁寧に前回同様、本編上映前に当時の中国の情勢や前作の内容を説明してくれるパートもあるので、三国志なんてわからな~い!という状態でも、楽しめるだろう。

とにかく、男の友情とか義理人情+アクションを痺れるカッコよさと、大袈裟な演出で描くのが上手いジョン・ウーだけに、登場人物が多すぎて、しかも皆名前が漢字だし、誰が誰だか判らない...と、なりがちな三国志の世界を至極シンプル且つ大胆に料理して、誰にでも判り易いエンタテインメントとして成立させている。

それから今回、大注目は女性キャストだ。
いつもならジョン・ウーの映画というと、男ばかりで女性キャラは添え物的になるイメージが強いのだけど、前作に引き続き、台湾のモデル出身で映画初出演と言うリン・チーリンが、愛に生き国を思う小喬を息を呑む美貌で演じ、男臭い映画を見事に消臭!!俺もすっかりファンになってしまった。
加えて、ヴィッキー・チャオ演じる尚香にも見せ場が多く、本作はジョン・ウー作品としては、いつになく女性キャストの存在感が大きい。

一方、ジョン・ウーらしさが全開なのは、ここぞというときのスローモーションとか、カメラアングルとか、銃のかわりに剣と矢でメキシカン・スタンドオフに持ち込む演出など。
出た出た!って感じで昔からの彼のアクション映画を支持しているファンをちゃんと喜ばせる事も忘れていない。勿論、白いハトも何度も何度も飛ぶ。(爆)

ところで、三国志と言うと主人公は劉備という印象がつよいのだけど、このシリーズで主役においているのは周瑜(トニー・レオン)と孔明(金城武)。この二人が抜群に活躍する反面、結局、劉備は最後まで、ただのしょうもないオッサンにしか見えなかった。それはそれで、ちょっと可笑しい。

最後に、作品全体を貫くテーマについて。
この作品は戦争映画であり、スペクタクルなエンタテインメントでありながら、愛と平和を語ることに重きを置き、迫力の戦闘シーンの後にカタルシスではなく、空虚さが戦場を支配するあたり、バリバリの反戦映画だ。普通の善良な兵士や民が死ぬ。勝者は居ない、それが戦争...というメッセージが響いている。

根底に流れている「平和」や「忠」とか「義」というような概念は、かなり東洋的なものだからラストで非情な権力者 曹操を完全に追い詰めておいて、殺さないと言う価値観なんかは、欧米人にとっては「Why~?ナゼ、コロサナイデスカ?」って感じだと思う。
欧米流エンタテインメントが欲しがる勧善懲悪ではないし、資金調達にも苦労があったと聞くけれど、そういう東洋的な価値観が流れる大作歴史映画が、アジアのスタッフ・キャストの手で発信された事の意義は大きかったんじゃなかろうか。