80万の軍勢、2000隻もの船を集めた曹操軍は、決戦の地・赤壁で、劉備・孫権連合軍と対峙していた。 圧倒的勢力差を覆す計略の数々、疫病の蔓延、非情と結束、忠と義。ついに赤壁の戦いの火蓋が切って落とされる。
前作、レッドクリフPARTⅠは最終決戦の地名をタイトルにしておきながら、肝心の「赤壁の戦い」直前で次回へ続くという、壮大すぎる予告編を見ているような作品で、2時間超。とにかく疲れる映画だった。
ただ、2時間の予告編を見てしまった以上、イチバンいい所を見ずに終えるのも悔しいし(笑)、どうせみるなら大スクリーンで...と、品川プリンスシネマのシアターZERO(元IMAXシアターで、IMAXの大スクリーンで映画が上映される)で鑑賞してきた。
今回も上映時間144分と長く、実に2時間半近いわけだが、これは絶対大スクリーンで見るのがオススメ。
歴史スペクタクルとしてもエンタテインメントとしても、流石に総制作費100億円(うちジョン・ウー監督自己負担で10億ってのを強調して宣伝してるね/笑)の迫力は半端なく、一見の価値がある。
ご丁寧に前回同様、本編上映前に当時の中国の情勢や前作の内容を説明してくれるパートもあるので、三国志なんてわからな~い!という状態でも、楽しめるだろう。
とにかく、男の友情とか義理人情+アクションを痺れるカッコよさと、大袈裟な演出で描くのが上手いジョン・ウーだけに、登場人物が多すぎて、しかも皆名前が漢字だし、誰が誰だか判らない...と、なりがちな三国志の世界を至極シンプル且つ大胆に料理して、誰にでも判り易いエンタテインメントとして成立させている。
それから今回、大注目は女性キャストだ。
いつもならジョン・ウーの映画というと、男ばかりで女性キャラは添え物的になるイメージが強いのだけど、前作に引き続き、台湾のモデル出身で映画初出演と言うリン・チーリンが、愛に生き国を思う小喬を息を呑む美貌で演じ、男臭い映画を見事に消臭!!俺もすっかりファンになってしまった。
加えて、ヴィッキー・チャオ演じる尚香にも見せ場が多く、本作はジョン・ウー作品としては、いつになく女性キャストの存在感が大きい。
一方、ジョン・ウーらしさが全開なのは、ここぞというときのスローモーションとか、カメラアングルとか、銃のかわりに剣と矢でメキシカン・スタンドオフに持ち込む演出など。
出た出た!って感じで昔からの彼のアクション映画を支持しているファンをちゃんと喜ばせる事も忘れていない。勿論、白いハトも何度も何度も飛ぶ。(爆)
ところで、三国志と言うと主人公は劉備という印象がつよいのだけど、このシリーズで主役においているのは周瑜(トニー・レオン)と孔明(金城武)。この二人が抜群に活躍する反面、結局、劉備は最後まで、ただのしょうもないオッサンにしか見えなかった。それはそれで、ちょっと可笑しい。
最後に、作品全体を貫くテーマについて。
この作品は戦争映画であり、スペクタクルなエンタテインメントでありながら、愛と平和を語ることに重きを置き、迫力の戦闘シーンの後にカタルシスではなく、空虚さが戦場を支配するあたり、バリバリの反戦映画だ。普通の善良な兵士や民が死ぬ。勝者は居ない、それが戦争...というメッセージが響いている。
根底に流れている「平和」や「忠」とか「義」というような概念は、かなり東洋的なものだからラストで非情な権力者 曹操を完全に追い詰めておいて、殺さないと言う価値観なんかは、欧米人にとっては「Why~?ナゼ、コロサナイデスカ?」って感じだと思う。
欧米流エンタテインメントが欲しがる勧善懲悪ではないし、資金調達にも苦労があったと聞くけれど、そういう東洋的な価値観が流れる大作歴史映画が、アジアのスタッフ・キャストの手で発信された事の意義は大きかったんじゃなかろうか。
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