小さな牧場を営むダン(クリスチャン・ベール)は、町で捕まった強盗団のボス、ベン(ラッセル・クロウ)をユマ発3時10分の列車に乗せるという護送の仕事を引き受ける。ボスを奪還しようとする強盗団の追撃などで護送団のメンバーは、1人また1人と命を落としていくが、2人の間には友情が生まれていく。
オリジナルは西部劇の名作らしい。
製作年は2007年。もう2年も前にアメリカでは話題になった作品が、スクリーン数が増えたはずの日本で、ようやく今年、見られるってのが、「西部劇」の衰退ぶりを現しているようで残念だ。まぁ確かに俺も、西部劇というジャンルは、もうほとんど死んだものだと思ってた(笑)。しかし、新作の西部劇で、こんなにもカッコよく、興奮できる、そして何より不器用でも男気を感じるキャラクター達の活躍する熱い作品が見られるとは思っていなかった。
とにかく、主演の二人が良いんだ。
まず、2年前のスリムなラッセル・クロウが見られる。極悪非道の強盗団のボスでありながら、何処か憎めない男。悪行の中にも自分だけの倫理を持ち合わせているこのベンというカリスマ性のある「悪」があるからこそ、その真逆の存在にして、良心と家族との生活を守るために危険な仕事を引き受ける牧場主のダンが惹き立つ。ダンを演じるのはクリスチャン・ベール。ぶっちゃけ、今まで華を感じない役者だと思っていた彼の印象がガラリと変わった。単なる善人ではなく、屈折して自信を失った、傷だらけの男...。
そんな二人が対峙し、不思議な友情を育んでいく。
脇役も物凄く芸達者。ベンの腹心で、護送団を追い詰めていく不気味な凄腕ガンマンのチャーリーを演じたベン・フォスターなんて、黒澤明の「用心棒」に出てきた仲代みたいに、不気味で何をしでかすか判らない雰囲気を醸し出している。ぶっちゃけ2時間もあるし、決して目茶目茶テンポが良い作品ではないかもしれない。最近のアクション映画と比較したら、西部劇のアクションなんて地味に見えるかもしれない。
それでも、オールドタイプの「男」と「友情」の話は輝きを失わない。
これは、男独りで見に行くのにぴったりな、カッコよさに浸れる渋い映画だと思う。
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