数学だけは得意だけど、あとはパッとしない高校生の健二は、憧れの夏希先輩から田舎に行くというアルバイトを頼まれる。実は夏希の田舎は武家の血筋を受け継ぐ旧家、陣内家。バイトの内容は曾祖母である烈女・栄のために夏希のフィアンセのふりをするというものだったのだ。ニセ彼氏であるコトが見破られたにも関わらず、栄は健二を認めた...そのころ、世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界、OZ(オズ)では何者かによるハッキングでリアル世界をも巻き込んだ大事件が始まろうとしていた。
2006年に「時をかける少女」で国内外の映画賞を次々受賞した細田守監督と、制作スタジオ「マッドハウス」による最新作。今回は、日本テレビが出資して、配給はワーナーと、前作とは比較にならない事業規模のオリジナルの劇場アニメーションとして公開された。
スタッフ周りも「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」でキャラクターデザインをやった貞本義行だったり、仮想世界のシーンのアバターのデザインが、「アフロサムライ」の岡崎能士だったり、色々な才能が結集している感じ。ちなみに音楽は「踊る大捜査線」の松本晃彦。
で、肝心の中身の方だが、ひと夏の青春+大家族+アクション+SF×エンタテインメントって感じで、なんだかごった煮感たっぷりだけど、非常に愉しい作品になっていた。
正直なところ、内容的に「時をかける少女」の方がはるかに良かったことは間違いない気がするが、仮想世界が現実社会と無視できない繋がりを持ち始めているという設定は、2009年の今、リアリティがそれなりにあり、そんな先端性と、戦国武将の末裔大家族の家族愛という真逆の要素が絶妙にブレンドされて、そこに手を繋ぐだけで赤くなっちゃうような、なんだか懐かしい、最近見ねぇよな、でも、そういうのいいよな...てな、高校生のカワイ気な恋愛描写が加わった、とても魅力的ごった煮なのだ。
それから声のキャスティング。これも素晴らしく良かったと思う。
内気な感じの主人公に 神木隆之介の雰囲気はぴったりだったし、相手役の桜庭ななみも現役感たっぷりで高校生を自然に演じていたと思う。そして何より何より...富司純子が素晴らしかった。昭和の女優のかもしだす迫力と暖かさがアニメキャラに魂を吹き込んでた。
アニメなのに夏空や、田舎の空気感が凄く出ていて、田舎がある人っていいなぁ...なんて思わせる作品だった。
しかし、今年の夏は大人が楽しめる劇場アニメーションが充実だねぇ...。
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