2009年8月2日日曜日

ボルト/NARIZO映画レビュー

人気テレビドラマのタレント犬「ボルト」。
彼はスーパー・パワーの持ち主で、飼い主の少女ペニーを守っている。ハリウッドのスタジオで人間達に全てが真実であると信じ込まされていたボルトは、ある日、迷子になったことで、自分がただの犬であることに気付いてしまう。しかし彼にはひとつだけ信じて疑わないものがあった。それは、ペニーとの絆。途中で出逢った捨て猫の"ミトンズ"とボルトの大ファンのハムスター"ライノ"を加えて、3匹のハリウッドを目指した冒険が始まる。


ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオは、天才的なクリエイターであるウォルトが生み出した、キャラクターや信念を彼の死後も守り続けてきたアニメーションの老舗。しかし、ひとりのクリエイターの生み出した壮大な夢の後継者たる人物は、そう簡単には現れず、次第にマーケティング志向の粗悪な続編モノビデオシリーズや、オリジナリティ欠如の作品乱造で夢の遺産を食い潰してきた。
しかし、2006年にフルCGの先端技術を用いながら、「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」などオリジナリティの強いハート・ウォームなストーリーで次々とヒット作をディズニーに供給してきたピクサーを完全子会社化し、ピクサー最高責任者のジョン・ラセターがジョイン。新体制下で、ラセターが製作総指揮をとった新生ディズニーの記念すべき第一作になる。

結論から言うと、このアニメーションはディズニー・アニメーションスタジオとしては久し振りの傑作になった。新しく魅力的なキャラクターを生み出す創造力や、ファミリー・エンタテインメントに対する強い信念は、ピクサーの方が紛れも無く、優れていただけに、本作は乱暴に言ってしまえば、ピクサーの精神、ストーリーテリング、キャラクター、テクニックをディズニーの組織と予算で実現させた作品に思える。

2001年以降、ディズニー・アニメの新作と聞いても、さっぱりそそられない、もはや関心の対象にならない長い冬が続いたが、これで第二の創業期が幕を開くかもしれない。そんな記念碑的作品になったと思う。

近年のアニメ大作の例にもれず、声の吹き替えは豪華にボルトをジョン・トラボルタが演じている。
だから、日本語吹き替えではなく、洋画ファンなら字幕版がオススメ。

「地位」や、「人気」よりも、大切なのは「家族」や「愛」。
考えてみるとこいつは、オモチャが持ち主の少年の元に帰る為のロード・ムービーだった「トイ・ストーリー」と、ほぼ同じエッセンスだけど(笑)、犬が愛を求めて飼い主の下へ戻るロード・ムービーは、やっぱり、ほっこリ暖かくて、ちょっと泣けて、そして、なんともシアワセだ。



■こっちの吹き替え版の「ボルト」は佐々木蔵乃介

0 件のコメント: