2012年。太陽系の惑星が直列し、マヤ文明の予言した終わりが始まろうとしていた。各国政府は密かに巨大船を製造し、限られた人間だけを脱出させる準備に着手。科学者達の予想を上回る速度で、それは起こった。
ロサンゼルスを皮切りに世界各地で、大地震や大津波、大洪水、大噴火が発生。
ロシアの富豪の運転手をして生計を立てている売れない作家のジャクソン(ジョン・キューザック)は、別れた妻・ケイト(アマンダ・ピート)と二人の子供を守るため、車を駆り、密かに準備された方舟を目指す。
崩壊する世界の中で、人間は、愛する者のために最後に何ができるのだろうか……。
今や映画業界イチの破壊者。ローランド・エメリッヒの最新作は、またもディザスター・ムービー。超ビックに予算を掛けて世界規模の「日本沈没」みたいな映画を世に送り出した(笑)。
地殻が溶けだしちゃった理由とか、そんなのは、真剣に追及してはいけない。SFとして唸れる要素は相変わらずゼロで、起こる事態に全く説得力は無いのだが、とにかく破格の予算2億ドルを掛けて描かれる崩壊の映像は笑っちゃうほどの凄まじさ。ただし、ワールド・トレードセンターひとつ倒壊しただけでも実際には物凄い土埃や砂埃が大変な規模で舞うという事実をテレビの前で固唾を呑んで見ていた、あの現実の記憶と比較すると、なんだか派手なゲーム映像を見たような気になってしまうのも確か。
つまり、痛さとか、悲惨さとかの無い、どこかアクション映画的なディザスター・ムービーなのだ。何処まで行っても「よく出来た創りもの」にしか見えない。この辺りが彼のCG演出の限界なのかもな。
さて、この作品で頑張る主人公はうだつの上がらない、普通の...いや、どちらかというと、あまりハッピーに人生を送れていない父親。演じるジョン・キューザックは、スター性全開の役者ではないし、これは良いキャスティングだった。それから、今回、彼の娘を演じた子役も中々良かった。群像劇として様々なキャラクターが当たり障りない感じで筋に絡んで来ては死んでいくわけだが、マーケティング的な配慮でハンパな日本のシーンを入れるのは逆効果だから止めた方が良いと、いい加減、この監督に誰か教えてやって欲しい(笑)。
まぁ、毎度のことなので、今度も出てくるかなと、期待していたには期待していたんだけどさ。ありゃないだろ(爆)。
そのほか脇役の話題として、ダニー・クローヴァーが大統領を演じる時代になったよ。凄いよな。
それから、久し振りに「ミッション・インポッシブル2」でヒロイン演ってた美貌のタンディ・ニュートンが出てるのもポイント高かった。
作品は、ジャクソンが必死に家族を救おうとする姿を軸に描くのと平行して、密かに進行する地球崩壊の日に向けてコツコツと準備する科学者や、官僚、政治家達の脱出計画を対比して見せる。
そして珍しく、最後の最後まで、ひとは「ひとらしく生きられるか」という真面目な問いかけを放ったエメリッヒ。
慣れないコトをされて、面食らった観客の俺。中途半端に描かれるヒューマンな展開。しかし、まぁ、これまでのエメリッヒ監督の「だって有名な都市とかを壊してみたかったんだもん」的、なスカスカディザスタームービーと比較すると、多少、何らかのメッセージを放とうとした事だけは、伝わってきた。
頑張ったね。エメちゃん。
いつもよりは、良かった気がするよ。馬鹿映画としても。
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