オルロフの尋問を担当していたCIA女性職員イヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、オルロフからスパイとして名指しされ、嫌疑をかけられて逃走。一方、オルロフもCIA職員を殺害して逃亡した。
果たして、真実は何処にあるのか!!
何とも面白そうな予告編を見せられたせいもあって、過剰に期待してしまった部分大だった。
真の敵の姿や目的が中々見えないところ、種明かしされる人間関係が強引なところ、政府機関の中枢が理不尽なほどスパイだらけ、挙句の果てにちゃんと完結しない。
そう書いたところで、お気付きかもしれないが、この作品は、一言で言うとアンジェリーナ・ジョリー版「24 Twenty-Four」みたいな話だ。
最も残念なのは、複雑な背景を持った主人公のソルトを突き動かしている「愛」や「信頼関係」に強い説得力を持たせる演出が非常に弱く、説明不足だった上に、大事な脇役もいまひとつだったため、ストーリーとしての背骨が弱くなってしまったこと。
その上、彼女に感情移入したり、続編に対する興味を抱かせるにあたって、重要になったであろう子供時代のロシアのエピソードが、ほとんど意味不明だったせいもあり、彼女の苦悩なり、しがらみなりに共感できるものがまるで無く、キャラクターに対する魅力や興味が深まり辛かったというのも痛い点だ。
続編へ続ける気満々のラストにしても、彼女が追っている「敵」の存在を何ら観客に提示することなく終わってしまったので、次の展開や目的を観客が期待できる要素が、まるでない。
そういう意味で、発想がよかっただけに非常に惜しい、残念な映画に感じてしまった。
それでも、もちろん見所が無いわけではない。
アンジェリーナ・ジョリーは、間違いなく今、アクションが一番画になる女優の一人で、下品じゃないセクシーさは好感が持てるし、正直、彼女の魅力に映画は大いに助けられている。
アクションシーンも、何処かで見たような内容ではあるものの、スピード感があって中々よかったし、ロシア大統領相手にそりゃ無いだろという様な「8時だよ!全員集合」の大仕掛けのセット落ちみたいな爆笑爆破シーンなんて、思わず「ドリフかよ!」と膝を叩きたくなる馬鹿っぽさで、笑えるものがある。
そうなんだよ。
社会派っぽいテーマでドラマを撮るのが好きな監督のフィリップ・ノイスは、今回もっと、思い切って「馬鹿」に徹するべきだったんだと思う。結果として、この作品はドラマなんてトンと弱くて、単なる馬鹿映画になっちゃったんだから。
アンジェリーナ・ジョリーのファンと、「24 Twenty-Four」のシリーズが大好きって類の人にのみお奨めしておきます。
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