前にもスタローンが往年のアクションスターを集めて無敵の傭兵軍団のスカスカな馬鹿映画を撮っていたけれど、この作品は、似て非なるもの。いや、圧倒的に面白い。
そもそも、アクションスターが集まって悪をボコボコにしたところで、初めこそその豪華な顔ぶれに驚きこそすれ、意外性は皆無だ。しかし、「RED」には、意外性の魅力があふれている。
引退したスパイたちの顔ぶれは、ブルース・ウィリスはまぁ、良いとして(笑)、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンと個性あふれるいずれも演技派揃い。
筋肉りゅうりゅうってワケじゃないし、到底、凄腕のスパイには見えないけれど、そんな彼らが、ブチ切れて、キレまくる、そのギャップが既に可笑しい。ツボなのだ。
特に威厳ある女王陛下なんかをいつもなら重厚に演じる名女優ヘレン・ミレンが、マシンガンを嬉しそうにぶっ放す画のイッちゃってる感。
いや、彼女に限らず、爺さんたちも、みんなが元気で、やたらと活き活きしている。
かつての敵は今日の友と、ロシアの老スパイまでもが手を貸して、現役世代に嬉々として対峙する。
老人特有ののんびりした可愛さと、激しいアクションのギャップ。友情と、愛。そして、ほとばしる馬鹿。
原作は僅か60ページばかりのグラフィックノベルらしいが、あの老人たちが暴れまわる続きを出来れば俺は、もう一度、見てみたい。