2011年9月29日木曜日

まだまだ終わらせるつもりナシ?/ワイルド・スピード MEGA MAX

前科者のドミニク(ヴィン・ディーゼル)と、彼を脱獄させた元FBI捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)。
指名手配され追われる身となった彼らは、ブラジルの裏社会に身を隠していた。
やがて二人は、逃亡生活から抜け出し、永遠の自由を得るために、裏社会を牛耳る黒幕から1億ドルを奪う計画を立てて動き始める。


危険なカースタントシーンがウリのこの作品も、いつの間にやらシリーズ4作目。
相変わらず滅茶苦茶なストーリーとど派手なカーアクションの連続で、ストレス解消にピッタリの作品になっている。
今回は、1億ドル強奪がメインのストーリー。それを実現するために集まった懐かしの顔ぶれや、「永遠の自由」を得るための最後の仕事なんて台詞が飛び出ることもあって、シリーズ最後の作品か!!なんて宣伝も行われているようだったが、いやいや。
詳しくは書かないものの、製作陣はこのシリーズでまだまだ儲けたいようだ。

とにかく、この作品の見所はしょうもないストーリーではなく、カーアクションの数々。
CGも多用しながらではあるけれど、悪乗りとしか言いようが無い、滅茶苦茶なアクションの数々で、おびただしいパトカーを横転させ、街の建物をなぎ倒す。
こんな作品こそ、3D向きかもしれないな、なんて思ったけど、これ3D映画ではありません。
久々にヴィン・ディーゼルの姿を拝んで、何も考えずにスカッとしたいなら、オススメです。




昔の映画の薫りがする洒落っ気の効いた、サスペンス/ミケランジェロの暗号

ユダヤ人画商のカウフマン家は、失われたミケランジェロの絵を密かに所有していた。
ある日、一家の長男ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)は、親友ルディ(ゲオルク・フリードリヒ)に絵の在りかを教えてしまう。
しかし、ナチスに傾斜していたルディは、軍で昇進するためにそれを密告、イタリアとの同盟維持の材料にムッソリーニに絵を贈ろうと画策したナチスにより、一家は絵を奪われ収容所へと送られる。
しかし、それはこの日を予期していた父が描かせた贋作だった。
息子に謎のメッセージを残して収容所でこの世を去った父。
本物を探すナチスに対し、ヴィクトルは絵の在りかも分からぬまま、母の命を救うための危険な駆け引きに出る。


ユダヤ人画商の一家が主人公だが、この作品は陰惨なホロコーストを描いたこれまで多くの映画とは異なる視点で、新しい形のコンゲーム(confidence gameの略で相手を信用させて詐欺をはたらく)として大いに楽しませてくれる。
冒頭の輸送機の墜落シーンから、時間が巻き戻されて語られるストーリーはまさに二転三転。
輸送機の墜落を利用して主人公のヴィクトルがナチス将校に成り代わる展開などは、まさしく「映画」の痛快さ。ルディはじめナチス側のキャラクター達も、ちょっと抜けていて憎めない。
父親の残した謎のメッセージは、観客にもおおよそ察しが付く様なもののため、ラストの展開は色んな意味で読めてしまう。
それでも絵の在り処に気付かない振りを装ったヴィクトルがそれを取り戻す過程は見ていて楽しかった。
詳しくは、ここでは書かないので本編を是非、ご覧いただきたい。
昔の映画の薫りがする洒落っ気の効いた、サスペンス。
地味ながら小粋で映画らしい映画だった。

2011年9月18日日曜日

世界侵略 ロサンゼルス決戦

突如として地球に迫る無数の隕石。それは各地の海岸線15キロの水域に落下し、やがて海岸線から未知の生命体が各地の都市に上陸し始める。
危機迫るロサンゼルスでも、侵略者の侵攻は予想を超える勢いで瞬く間に市内を制圧しつつあった。
郊外の最前線基地では、空軍による一斉反攻のプランが練られ、マイケル・ナンツ曹長(アーロン・エッカート)の海兵隊2-5小隊に、既に敵に征圧された地に取り残された市民の救出命令が下された。


宇宙からの侵略という古典的テーマを最新技術で描いたこの半年間の新作の中で、間違いなく一番テンションが上がったのがこの「ロサンゼルス決戦」だ。
原題の「Battle: Los Angeles」のままで良かっただろと突っ込みいれたくなる、ダサい邦題になったのは悔しい限りだが、予告編の段階から凄く楽しみにしていた作品。本来、春の公開予定だったものが、都市が丸ごと壊滅させられる話ということもあり、東日本大震災に配慮して公開が秋まで延期されたといういわくつきの作品でもある。

この作品のエイリアンの侵攻は、極めて迅速。よくありがちな、ホワイトハウスのシークエンスなんて全く無いし、科学者が異変に気付くような描写も、殆ど無い。
突如として平和な日常に、在り得ない脅威が迫り、為す術も無いまま姿もろくに判らない敵に、一気に攻められる。
前半は、パニックの大きさに対して殆どエイリアンの姿が登場しない。
どうでも良い政治家や軍の高官の会議シーンが無い代わりに、海兵隊員たちのそれぞれのエピソードに観客は結構な時間、つき合わされる。ここは、狙いなのかもしれないが、ちょっとばかりイライラするところだ。

しかし、この作品の主題はその小隊の兵士たちを中心に描かれるエイリアンとの死闘と地獄の戦場だ。
現場では、全体の戦況がまるで判らず、その場その場の決断が生死を分ける。あたかも「ブラックホークダウン」の宇宙人侵略版と言いたくなる様な、リアルで埃っぽい戦闘シーンが延々と続く。

心に傷を負って退役するつもりだったナッツと、彼に不信感を抱き続ける部下たちが、戦闘を通じてまとまっていくストーリー展開は、敵がエイリアンだというだけで典型的なミリタリー映画だ。

「コンバット」や「プライベートライアン」を見ているような気にさせられる位、そこに力点を置いているので、その手の作品が好きならエイリアンはチョッと...と思っていたとしても絶対楽しめるだろう。

一方、エイリアン映画らしいエンタテインメント性についてもきちんと持ち合わせていて、王道と言って良い展開を見せるあたりバランスも取れている。
もっとも、そのせいかSFファンを喜ばせるような新しさは殆ど無いのだが、大きくがっかりすることも無い。
ちゃんと、最終的にはエイリアンを撃退するカタルシスも味あわせてくれるし。
戦闘シーンの、カット割やカメラの構図が凄くイケてたと思う。
お気に入りは編隊飛行するヘリコプターのシークエンス。アニメ的な構図をCGでやっている感じだけど凄くよかった。


2011年9月1日木曜日

衝撃、笑劇?の超絶パニックムービー/ ピラニア 3D

毎年恒例の春フェスタが開催されているアリゾナ・ビクトリア湖は、マリンスポーツや享楽にふけり馬鹿騒ぎを繰り返すパーティピープルたちであふれ返っていた。
その頃、湖底を震源とした地震が発生。地割れから地底湖の口が開くと、そこには太古に絶滅したと考えられていた獰猛な肉食魚の大群が棲息していた。
獲物を求める太古のピラニアたちは何も知らずに馬鹿騒ぎするパーティーピープルや、水着美女の尻やら乳やらを目掛けて今まさに襲い掛かろうとしていた。


70年代のカルト的パニック映画「ピラニア」をなんと、立体でリメイク。
とうとう、出てきた3Dの歴史に刻まれるであろう飛び出すエログロ馬鹿映画。
手掛けたのはフランスのスプラッタ映画界の急先鋒、アレクサンドル・アジャ監督。ぶっ壊れてます。

3Dメガネを掛けると、見事な乳とか尻とかが画面から飛び出て大はしゃぎ。ピラニアの大群も飛び出て、大騒ぎ。そして、馬鹿騒ぎするアメリカ人を踊り食いするピラニアさんたちの映画。
ストーリーなんて、ホントそんだけ。

あまりにブラックで、しょうもない残酷シーンって笑えてしまうんだよね。「ピラニア3D」は久しぶりにそういう感覚を味わえる映画。歴史に残る名作になると思う。

とにかく馬鹿を徹底的に追求し、徹底してワルノリしまくるこの作品。最初の犠牲者はあの名作「ジョーズ」のリチャード・ドレイファスだったり、ピラニアの正体を究明する魚博士が「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」でドクを演ってたクリストファー・ロイドだったり、カメオ出演の脇役が先ず、とんでもなく豪華。
そんでもってケリー・ブルックはじめ、ゴージャスな水着美女たちはマジで目の保養。
パニックシーンは、もう呆気にとられるほどハチャメチャで真っ赤っか。
千切れたチン○ンをピラニアが奪い合うという、馬鹿映画の映像史に残るであろうワルノリまでやってのけ、R15指定の限界に挑戦。
しかも、これで終わるわけが無いお約束のラストシーンは、期待を裏切らないというか、ある意味期待以上。
そりゃ、天下の東宝洋画系でもレイトショーでしかやれないわ(爆)。