トラウマを持ったカネ持ちの生身のおっさんが、カネにモノを言わせて作った凄いスーツと戦闘メカの数々を駆使して、変態な強敵と闘う...。
そんなバッドマンは以前にも実写映画がシリーズ化されていたことがあったわけだが、ぐっとダークにオトナな「バッドマン」を再構成したクリストファー・ノーラン監督のシリーズは、前作「ダークナイト」で悪役ジョーカー(ヒース・レジャー)の狂気が、この手のアメコミ映画に反応しないような映画ファンをも興奮させ、さらに直後にヒース・レジャーが急死してしまった事から、伝説化した。
そんな前作で、あまりにも悪の華が強い薫りを放っていただけに、そこらの悪役と、主人公のトラウマを持ったカネ持ちの生身のおっさんでは、到底パワー不足になるだろうと思っていた。
そもそもカネ持ちのおっさんは、なんか共感され辛い。
しかし、この作品では、まさに先の戦いでボロボロになって引き篭もっているブルース・ウェインが、再び立ち上る姿が主題になっている。
策略で全ての財産を失い、満身創痍、絶望の底へ落ちた男が、立ち上がり、這い上がって闘う、まさに「闇の騎士が立ち上る」ストーリー。
観客も共感できるヒーローとなってバットマンが、本当の意味で主役を取り戻した。
ジョーカーほどの強いインパクトは残念ながら無く、尺の割には映画だけでキャラクターの魅力が描ききれていないようにも思えた今回の悪役ベインだが、ちょっと想像を超えるような護送機からの空中脱走劇に始まり、見せ場は盛り沢山。
相変わらず長い(165分もある)このシリーズの尺を長いとまるで感じさせないのは、ベインの暴れぶりの賜物だろう。
更には旧シリーズのミシェル・ファイファーを超えたなと個人的には感じた、アン・ハサウェイのセクシーなキャット・ウーマンの登場。最後の最後まで美味しいところを横からさらう活躍は見ていて小気味よい。
何より、ラストシーンはシリーズ最終作を飾るに相応しく、満身創痍のヒーローに安息の時を与え、なんとも幸せなキモチにさせられた。
映像の完成度は、予告編の段階で言わずもがなだったが、ドラマとしてもクリスチャン・ベイルのバットマンにとって完璧な完結編だった。
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