2010年8月29日日曜日

特攻野郎Aチーム THE MOVIE/NARIZO映画レビュー

米軍レンジャー部隊のメンバーから結成されたAチームの面々は、数々の作戦を成功させてきた。
ところが、CIA捜査官リンチ(パトリック・ウィルソン)の情報からイラクでの偽ドル紙幣の原版奪回作戦を展開している最中、謀略により無実の罪で逮捕されてしまう。
名誉挽回と無実を証明するため、リーダーのハンニバル(リーアム・ニーソン)は、刑務所から脱獄、部下のフェイス(ブラッドリー・クーパー)、B.A.(クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン)、マードック(シャルト・コプリー)も相次いで脱獄させ、黒幕に迫っていく


小学生時代に、ハマっていたアメリカのテレビドラマ「特攻野郎Aチーム」が設定を現代に置き換えて映画になって帰って来た。
元々荒唐無稽でユーモアにあふれたシリーズだったが、プロデュースするのがリドリー・スコットとトニー・スコットの兄弟タッグ。キャスティングも、奇想天外な作戦を立案するハンニバル大佐がリーアム・ニーソンだなんて、どうなっちゃうのか気になってしょうがなかった。

内容は、当然の馬鹿仕様。

監督・脚本のジョー・カーナハンの演出は、素晴らしいテンションと最新技術による悪ノリのアクションシーンに溢れていて、頭を空っぽにして楽しめる荒唐無稽な映画シリーズの1作目として申し分の無い完成度。

80年代のオリジナルを知らない新しい観客を魅了しつつ、B.A(日本の吹き替えドラマ版だと「コング」って愛称だったよね)が飛行機嫌いになる理由を盛り込むなど、随所でオールドファンの笑いもきっちり取って来るシナリオからは、オリジナル版への愛情やリスペクトが感じられ、「何でこんな映画になったんだ!」なんて悲しい思いをすることは、おそらくないだろう。

逆境でもポジティヴなメインキャラクターたちが画面狭しと暴れまわりながら、ほとんど漫画のあり得ないアクションの連続で大活躍。その一方、正しいことをしても正当に評価が得られない。

正義とアメリカを愛しているにもかかわらず、国から追われ続ける...これがドラマ版にも映画版にも共通する「Aチーム」の設定だ。
単純明快に正義や悪が色分けし辛く、自信に満ち溢れた能天気なマッチョが「アメリカ万歳」と叫んでれば、課客が満足してくれるような、そんな時代ではないからこそ、今、この作品がリメイクされ、蘇ったチームの面々が再び愛されるのかもしれない。

ラストでスカッと解決を見せつつ、当然これは序章と言わんがばかりのエンディング。
新しいAチームの続き、勿論、期待大だ。

2010年8月8日日曜日

横須賀米海軍基地 ネイビーフレンドシップデー2010 レポート

2010年8月7日(土)

今年はまだ花火を見ていない事に、ふと気付いた俺は横須賀の開国祭で米軍基地が開放され、横須賀花火大会もそこから見られるらしいよ(しかも花火大会は神奈川最大規模らしい)という情報と、お誘いに飛びついてみた。

前日は、いつものごとく明け方まで飲んでしまい、当日は午後12時に京急横須賀中央駅に集合。
花火が19時30分からであることを考えると、余裕の到着....のつもりだった。
これが、大きな誤算の始まりである。

駅に着けば、そこは既に人の波でごった返していた。
門が開放されている三笠ゲートまで行ったものの入場待ちの列は、幾重にも折り重なり三笠公園まで続いて、なんと三笠ゲートに入るまでに1時間30分も掛かってしまった
完璧な誤算である。

荷物と金属探知機のチェックを受けて基地に入ると、流暢な日本語を喋るインフォメーションの兵隊さんに、今日はもう、艦船見学は出来ないかも...ゴメンネ。などと言われてしまう。
14時最終受付けで、15時までが見学時間。あまりに広い横須賀基地、ドッグまでたどり着いた時、既に時間は13時30分。目の前には絶望的とも思える長蛇の列が出来ていた。

この日、見学可能だった艦船は、米海軍のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦 「ラッセン」と海上自衛隊護衛艦 「はるさめ」(下の写真は「はるさめ」)。

時間は限られている上に、ここは米軍基地。どうせならばと、護衛艦は華麗にスルーして、米海軍の「ラッセン」の最後尾に並ぶことにした。

ミサイル駆逐艦「ラッセン」

パノラマ写真でドッグを望む。気温は35度近いが、空軍基地と違って容赦なく太陽に照り付けられても海風を感じられるのが、せめてもの救い。左側に見えるのが「はるさめ」で右が「ラッセン」。

クリックして大きな画像で是非ごらんあれ↑

ここでも、1時間以上並ぶことに。
背後では、自衛艦「はるさめ」の見学が打ち切りになっていた。本当にこれに並び続けていて、見学できるのだろうかとチョッと不安になりつつも、暇なので大きなクレーン等の港湾設備をカメラに収める。

とにかく、この日は空が綺麗だった。

自衛艦がガンガン見学者を船に乗せて船内に人があふれているのが外からも分かるような状態だったのに対して、長蛇の列が出来ていようとも米軍の方は常に一定数の見学者しか乗船させない方針のようで、列は驚くほど進まないのだが、一度中に入ってしまうと、のんびり見学出来そうな雰囲気。


ようやく乗船できた甲板から下を見下ろすと、まだまだおびただしい人の列が乗船を待っていた。


俺たちが乗船した段階で、15時近かったのだが、どうやらその時点で列を作っていた見学者は、見学させてもらえたっぽい。

とは言え、半端じゃない暑さで、屋台で売られていた「あり得ない色のゲータレード」を大量消費する羽目になった。






船内の通路は、思っていたほど狭くなかったのだが、外との対比でえらく暗い気がした。
陽射しが遮られるだけで、「涼しい」とか感じられてしまう罠。



艦橋と夏空。
艦首にはためく旗の向こうには、見学者が居なくなった自衛艦の「はるさめ」が見える。

防火服姿の兵士と2ショット。防火服がとてつもなく重くて暑いことを知っている俺としては、この炎天下で見学者とニコヤカに写真に納まっている彼の根性に拍手を送りたいキモチ。
最後に握手したら、彼はあり得ない手汗をかいていた。そりゅそうだ。(爆)

機関銃を構えちゃったりしている。
通常は、据え付けて使うタイプの銃だと思うんだけど、これ、半端なく重かったです。
訓練用の銃も、おそらく重さは本物と同じ。かなり、ずっしりしていた。

ドッグ脇には戦闘機も展示されていた。
いや、柵も何も設けられていなかったので、展示というより置いてあった感じだったんだけど(笑)。
軍港と、艦船と、戦闘機と夏空。日本じゃないね。この風景。

日本とアメリカ国旗のあしらわれた鯉のグラフィックデザインが面白かったので、購入したフレンドシップデーのTシャツ。1800円。オマケで星条旗のピンズを付けてくれたのだが、使い道ないなぁ...(笑)。

ようやく食べ物を口にして花火までの数時間を過ごす。
あまりにも巨大なピザ。しかも、大味。3人がかりでも結局、食べきれず。途中で飽きた。
物凄く分厚い生地は、パン生地に近かった。
遊ぶ、食べる、そして寝る。花火大会までの2時間、もう横にならずには居られない状態。


そして、花火大会へ。米軍基地から望む花火は中々、よい見晴らし。
海面に反射する花火って綺麗だなぁ....と、久々の海でやる花火大会に来て見て改めて感想。
ちなみに、iPhone3GSでも、頑張ればこの程度には撮れます。
最後は、横須賀基地から撮った「よこすか開国花火」のクライマックスをハイデフ動画でどうぞ。


2010年8月1日日曜日

ソルト/NARIZO映画レビュー

CIAに投降してきたロシアの諜報部員オルロフがもたらしたのは、訪米中のロシア大統領を暗殺するために、ロシアからスパイが送り込まれるという情報だった。告げられたそのスパイの名は“ソルト”。
オルロフの尋問を担当していたCIA女性職員イヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、オルロフからスパイとして名指しされ、嫌疑をかけられて逃走。一方、オルロフもCIA職員を殺害して逃亡した。
果たして、真実は何処にあるのか!!


何とも面白そうな予告編を見せられたせいもあって、過剰に期待してしまった部分大だった。

真の敵の姿や目的が中々見えないところ、種明かしされる人間関係が強引なところ、政府機関の中枢が理不尽なほどスパイだらけ、挙句の果てにちゃんと完結しない。
そう書いたところで、お気付きかもしれないが、この作品は、一言で言うとアンジェリーナ・ジョリー版「24 Twenty-Four」みたいな話だ。

最も残念なのは、複雑な背景を持った主人公のソルトを突き動かしている「愛」や「信頼関係」に強い説得力を持たせる演出が非常に弱く、説明不足だった上に、大事な脇役もいまひとつだったため、ストーリーとしての背骨が弱くなってしまったこと。
その上、彼女に感情移入したり、続編に対する興味を抱かせるにあたって、重要になったであろう子供時代のロシアのエピソードが、ほとんど意味不明だったせいもあり、彼女の苦悩なり、しがらみなりに共感できるものがまるで無く、キャラクターに対する魅力や興味が深まり辛かったというのも痛い点だ。

続編へ続ける気満々のラストにしても、彼女が追っている「敵」の存在を何ら観客に提示することなく終わってしまったので、次の展開や目的を観客が期待できる要素が、まるでない。
そういう意味で、発想がよかっただけに非常に惜しい、残念な映画に感じてしまった。

それでも、もちろん見所が無いわけではない。
アンジェリーナ・ジョリーは、間違いなく今、アクションが一番画になる女優の一人で、下品じゃないセクシーさは好感が持てるし、正直、彼女の魅力に映画は大いに助けられている。

アクションシーンも、何処かで見たような内容ではあるものの、スピード感があって中々よかったし、ロシア大統領相手にそりゃ無いだろという様な「8時だよ!全員集合」の大仕掛けのセット落ちみたいな爆笑爆破シーンなんて、思わず「ドリフかよ!」と膝を叩きたくなる馬鹿っぽさで、笑えるものがある。

そうなんだよ。
社会派っぽいテーマでドラマを撮るのが好きな監督のフィリップ・ノイスは、今回もっと、思い切って「馬鹿」に徹するべきだったんだと思う。結果として、この作品はドラマなんてトンと弱くて、単なる馬鹿映画になっちゃったんだから。

アンジェリーナ・ジョリーのファンと、「24 Twenty-Four」のシリーズが大好きって類の人にのみお奨めしておきます。