2010年4月19日月曜日

アリス・イン・ワンダーランド/NARIZO映画レビュー

婚約者のプロポーズから逃げ出したアリス(ミア・ワシコウスカ)は、懐中時計を持った白ウサギの後を追って穴に転がり落ちアンダーランドと呼ばれる不思議の国へ。
アリスはすっかり忘れてしまっていたが、そこは、幼い頃彼女が訪れた事のある不思議の国だった。
しかし、いまやアンダーランドは独裁者、赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)が君臨する暗黒時代。
そこに伝わる“預言の書”には、なんと、救世主アリスが現れてこの暗黒時代を終わらせると書かれているのだった....。


 ディズニーで製作されたティム・バートン監督の最新作は、あの「不思議な国のアリス」の続編として構成されたオリジナルストーリー。
ティム・バートンといえば、無邪気な悪趣味。笑えるブラックさと、可愛さ、妖艶さと不思議さが同居するなんとも魅力的な名作の数々を産み出してきた鬼才。
今回も、彼の作品では欠かすことの出来ないジョニー・デップをマッドハッター役に起用して、果たしてどんなアリスが見られるのかと大きな話題を呼んでいた。

しかし、この作品は、良くも悪くもディズニーだった。
立体メガネを装着し、冒頭の3Dになって輝くシンデレラ城のディズニーロゴから先、まさにその108分は3Dで体験するディズニーのアトラクションそのものだった様に思う。
キャラクターの造形、美術、あらゆるビジュアルにティム・バートンらしさは感じられた。
チョッとした毒や、不気味だがどこか可愛い雰囲気ももちろん、あった。
しかし、それはどこまでもお子様にも安心してお楽しみいただけるレベルのディズニーアトラクションの枠の中にちょこんと収まっているようにしか見えなかった。
ストーリーも、判り易いがいつものバートンを期待していると肩透かしを食らった気になってしまう。
禁忌的なものに挑戦するような冒険なんて当然無い。
なにせディズニー製作で、あの有名な「アリス」を借りてきて作ったストーリーなのだ。
自ずと、限界はあったのかもしれない。

それでも、誤解なきように言っておくと、これは3Dメガネで見る立体映像アトラクションとして、文句ない出来栄えの作品だった。
ディズニーランドの延長線上的に、とにかく子供が見ても安心で、コドモに飽きられるほど長尺じゃなく、興奮したり、笑顔になれたりする話題の立体映像映画を1本、今、薦めろといわれれば、俺は「アバター」ではなく、こちらを薦めるだろう。


しかし、アトラクション的過ぎる楽しいだけの立体映画には、客単価の高い立体映像作品が、またしても単なる一過性ブームに終わりかねない匂い、ちょっとした残念さを感じてしまったりもするのだ。
特にそれが、大好きな監督の最新作だったりすると。





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