身の丈を超える長大な剣を自在に操る屈強な剣士ガッツは、ある日、傭兵集団“鷹の団”を率いるグリフィスと出会う。グリフィスは、己の夢の実現のためにガッツを団に引き入れ、やがてガッツとグリフィス、そして鷹の団の仲間たちは、数々の激戦を潜り抜け、固い絆で結ばれてゆく。
人気漫画「ベルセルク 黄金時代篇」を三部作とし映画化、2012年中に立て続けに公開するというSTUDIO4℃制作、窪岡俊之監督の野心的プロジェクト。
一気に観客を作品世界に惹き込む冒頭の戦闘シーンでは、城に殺到する兵士の視点から空を舞う鳥の視点まで、3DCG制作環境でこそ可能になった自在なカメラワークが戦場を駆け抜ける。
中世の戦いを再現した殺陣は、モーションキャプチャで演出され、打撃や斬撃で千切れる肉片などその表現もテレビアニメの基準では不可能な、リアリティを追求したものになっている。
注目なのは、3DCGで起こしたキャラクターの動きに、表情だけはアニメーターの手で2Dで作画するという技法が用いられていること。リアルで正確なキャラクターの動きだけでは、表現しきれない画による「感情表現」をCGを補う形で実現させたこの方法は、映画本編3作をまとめて、クオリティを重視しながらも効率よくプロダクションマネジメントすることを追求した結果のかなりユニークなアプローチだったのではないかと思う。
ところが、俺にはどうもこれが気になって仕方なかった。
2Dで作画されたメインキャラのすぐ脇や、後ろにいる兵士など「その他大勢」の表情はどれもマネキンのように生気が無く、同じ顔で、動きもどこか「ぬらぬら」としていて、ある程度の工数を掛けて描かれたキャラと並ぶと、同一シーン上のそのギャップが何ともキモチ悪かった。
どうやらこの手法。この作品においては、効率化、コスト削減の方向により大きく貢献する形で用いられたようだ。
作品としては、原作をほぼ知らない俺もついていける内容によくまとめられている。
少なくともその良さを台無しにしてしまうような映画化にはなっていないんじゃなかろうか。
映画ならではの音響は迫力あるし、平沢進の音楽に至っては言うことないくらい本当に素晴らしい。
声優陣もキャラにあっている。
言うなれば作品の世界観と人物紹介編と言えなくも無い本作は、最後に6月公開予定の次回作の予告で終わる。
続きを見てみたくなるのは間違いなく、魅力的な原作のチカラによるものだろう。
色々書いた気がするけど、次回作、楽しみ。