ある日、彼は父の部屋のクローゼットで、花瓶を割ってしまう。
そして割れた花瓶から出てきた「Black」と書かれた封筒の中に1本の“鍵”を見つけた。
オスカーはその鍵に父親の面影を求め、鍵の謎を探すため、ニューヨーク中の「Black」さんに会ってみようと決意して、街へ飛び出した。
まだ2012年は始まったばかりだけど、今年最高の映画だった。
原作のベストセラーは未読だったけど、見終えた後、ネタバレに気を遣うことなく、みんなでこの作品について色んな話をしてみたくなる、そんな作品。
突然最愛の家族を失った混乱から立ち直れずに、触れただけで切れそうな危うさを抱えた少年が、街を走る。
トム・ハンクスの父親、母親にサンドラ・ブロック。
主人公オスカーを演じたトーマス・ホーンは、これだけ豪華な出演者たちと対等以上に渡り合い、喪失感にさいなまれた少年の混乱、素直であるが故の残酷さや、瑞々しさを見事に演じて魅せてくれる。
スティーヴン・ダルドリー監督が少年を描くのは「リトル・ダンサー」以来か。
この作品でもテーマになっているのは家族の絆だ。
父親との思い出、おばあちゃんの家で会った謎の間借り人、街で知り合った沢山の「Black」さんたち。
映画が語る沢山の出会いと記憶の中で、物語のピースが次第に観客の前で埋められていったとき、この奇妙なタイトル「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」の意味を俺はそこに感じ、隠されていた真実、普遍的な愛の大きさに、思わず涙した。
それはテロで引き裂かれた家族の特別な話ではなかった。
ありえないほど近くにあっても、直接は気付けないような愛情についての物語。
みなさんは、この作品から何を見つけるだろうか?
0 件のコメント:
コメントを投稿