2012年2月11日土曜日

ドラゴン・タトゥーの女/最初から最後まで、「完璧じゃね?」と思える完成度

記者ミカエル・プロムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)はスウェーデンを揺るがせる財界汚職事件を告発したものの名誉棄損で敗訴。信用が失墜し、多額の賠償金支払いにさらされていた彼の元に、財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人(クリストファー・プラマー)から家族史編纂の依頼が舞い込む。
しかしそれは表向きで、彼の真の目的は40年前に殺害されたとされる親族の娘ハリエットに関する真相究明だった。


あの不気味かつスタイリッシュな予告編を劇場で見てから、気になって仕方なかった本作。
間違いなく、久々に「映画を見た」満足感に浸れる秀逸なサスペンスだった。
原作は世界的なスウェーデン発のベストセラー「ミレニアム」シリーズ。
この3部作は元々映画化されていたらしいが、この第一部をハリウッドがデヴィッド・フィンチャー監督でリメイクしたのがこの作品。
シリーズとは言え、ちゃんと一本でストーリーが完結するので、最近多い、話の途中で続編へ続いて「おやつ」を取り上げられた感じを味わわせられることもない。

雪深く一本の橋で隔離された島に住む、怪しげな富豪一族。
次々と明らかになる未解決の殺人事件。
誰もが怪しく、陰鬱なこの島で、封印されていた事件の真実を社会から追われた記者が追う。
そのうえ出てくるキャラクターは変態ばかり。
何かが起きる予感、満々な内容なわけだが、名優ダニエル・クレイグを完全に喰ってしまう存在感で、観客を圧倒するのが、存在自体に緊張感と危険を匂わせるいわくつきの調査員リスベット(ルーニー・マーラー)。
中盤までストーリーの本筋に絡んでこないものの彼女こそが、作品タイトルにもなっている「ドラゴン・タトゥーの女」だ。
触れただけで、こちらが切られてしまいそうな雰囲気を醸しつつ、ストーリーの進行とともにその卓越した能力、異常性、そしてたまに見え隠れする女の子らしさで観客を虜にする強烈なキャラクター「リスベット」。
これを演じているのが実は、「ソーシャルネットワーク」で大学時代の主人公の彼女エリカを演じていたあの可愛い女優さんだとは到底気付かない。
アカデミーのノミネートも納得だ。

最初から最後まで、「完璧じゃね?」と思える完成度で、158分という長さを全く感じさせない衝撃作。
それだけにお願いだから監督を変えず、デヴィッド・フィンチャー監督、ルーニー・マーラー、ダニエル・クレイグの布陣のままで是非とも三部作全てを味わってみたい。


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