2012年7月21日土曜日

シャーク・ナイト

美しい水と緑に囲まれたクロスビー湖。
6人の仲間たちを連れて、別荘へ遊びに来た大学生サラ(サラ・パクストン)達を本来そこに存在しないはずの大小さまざまなサメが襲う。


訪れたムラが、なんと村ごと、とんでも無い連中の集まりだったみたいなパニックホラーは、かなり使い古された話の展開だけど、それに加えていろんな種類のサメを放ってみました..というのが、この作品。

ストーリーはあってないようなもので、間抜けで馬鹿な大学生グループが、サメを飼ってる変態野郎共の陰謀で次々と、サメの餌食になるってだけの作品。
「ジョーズ」の時代は、水面からのぞいた背鰭がどんどん近付いて、でも、その全容はなかなか明らかにならない、そういう勿体付け感がまた、味だったんだけど、CG全盛の昨今では、そりゃないだろって突っ込みどころ満載のバリエーションでサメが次々出没。3D上映じゃないけどガンガン画面に飛び出して、そりゃもう大暴れ。
そこかしこにB級感の漂うパニックが展開されます。

キャストも大半が誰だこれって役者さんばかりだし、ヒロイン含めて、可愛くて若い女の子の水着姿が売りだろうよ、この手の映画ならって思うものの肝心の女の子達がこれまた、たいして可愛くないという(笑)。
変態野郎どもは、餌代だけでも大変だろうに、まぁ、いろんな種類のサメを飼っていて、ご丁寧にサメにカメラを付けて怯える大学生たちを撮影している始末。
一番笑ったのは水上バイクで逃げるムキムキの兄ちゃんを、正面から水上に飛び出た大きなサメが一呑みにするシーン。もう、怖いとか残酷とかじゃなく、これは漫画です。

悪乗りに呆れるばかりの90分。
中途半端な悪趣味と、華の無い出演者のせいで、漂う残念感。
女の子のレベルと、話の面白さで「ピラニア3D」が群を抜いてた事を図らずとも実感することになったのであった。



ソニーの定額制音楽聴き放題サービス「Music Unlimited」に登録してみた

とうとう日本にも上陸したソニーの定額制音楽聴き放題サービス「Music Unlimited」に登録してみた。

30日間の無料体験期間以降は継続すると月額1,480円のクラウド音楽配信サービス。
ソニー、ユニバーサル、EMI、ワーナーの主に洋楽とインディの楽曲1,000万曲が、PCやPS3、外出先ではアプリを通じてAndroidやiPhoneなどのスマホ、そしてPS Vitaなどで楽しめる。

日本のレコード業界のCDの生産規模は最盛期の半分以下になってしまい、10年近くにわたってそれを違法なダウンロードのせいにばかりしているうちに、今度はケータイのスマホ化で着うたに牽引されていた配信の市場までも規模の縮小トレンドに歯止めが利かなくなってしまったというのが今の状況。
海外で盛り上がっているこの手のサブスクリプションサービスから、国内のレコード会社が目を背け続けることが得策とは、俺には思えない。
だからとっとと、邦楽の楽曲も解禁しとけよと思うわけだが、今のところは前述のとおり洋楽中心だ。

月額1,480円と言えば、輸入盤1枚くらいの価格だ。
かつては月に5,6枚はアルバムを買っていた俺が、パッケージ、配信を問わず今や年に2,3枚分しかアルバムにカネを消費しなくなっていることを考えても、1,480円×12ヶ月をユーザーが支払ってくれるかもしれないサービスは、業界全体を今より潤わせる可能性が大きい。

海外では当たり前に普及し、合法的な音楽業界の収益源として注目されている月額聴き放題のサービスが、ようやく国内でも展開できるようになったことは素直に歓迎すべきことだと思う。

ここからは、あくまでエンドユーザーの一人として使ってみて思ったこと。
「Music Unlimited」は、まだまだ発展途上だ。

結論として
個人的には1500円近く支払う価値には至っていなかった。

使用感は自分にパーソナライズされた洋楽の有線放送を聴いている感じ。
ラジオかアルバムを通して聴いている状況に、非常に近いのだが、戴けないのはたまに、というか、しばしば(笑)途切れること。
これは音楽を有料で聴かせるサービスである以上、最低限乗り越えて欲しい課題だ。
HE-AAC 48kbpsというビットレートはぶっちゃけ、アーティストが公式にYoutubeに上げているPVと然程、音のクオリティに差がでない。
むしろ、操作に対するレスポンスや、安定感は動画まで見れるYoutubeの方がはるかに上を行く様に感じた。

俺は、外で音楽を聴くなら、デジタルアンプ等を搭載して聴かせる為のシステムにこだわったウォークマンでと決めている。
しかし、なんとAndroidのOS積んだウォークマンにしか、「Music Unlimited」は対応してくれていない。つまり俺の愛機では聴けないのだ。
ソニー製のサービスなのにソニーが音楽を聴かせるために技術を磨いてきた従来からのハードウエアには未対応という悲しさ。

仕方なく、iPhoneアプリで聴くわけだが、ビットレートが低くて、哀しいくらいに薄っぺらいチャチな音質が、そもそも音が安いiPhoneで聴いているせいで余計に際立ったように感じ、一気に萎えた。(個人の主観ですw)

AndroidやPS Vitaでは、事前にインターネットに接続してプレイリストやチャンネルをキャッシュすることで、オフライン再生も可能。地下鉄や飛行機など、インターネットに接続できない環境でも、お気に入りのプレイリストやチャンネルを楽しめることになっているのだが、これにもiPhoneアプリは未対応。
ストリーミングしながらの再生で時折ブチッと音が途切れるし、早送りも巻き戻しも無くて、曲単位での送りと戻ししか出来ない。

そんなわけで、少なくともソフトバンクのiPhoneで、地下鉄通勤メインの俺にとっては、現実的に「Music Unlimited」の外での利用は楽しめないことが分かってきた。
これがAndroidのスマホやウォークマンだと、どう聴こえるのだろう。
試せる人は感想をぜひ、聞かせておくれ。

そんなわけで、ひとまず、俺は30日間の無料期間が終わったら解約する事に決めた。

それでも、この間、愛用しているVAIOの1.5TBのHDDがクラッシュして、おびただしい容量の楽曲ファイルの避難と、工場から復活して返ってきたPCへの再投入に、瞳孔が開きそうになるほどの時間を費やしたばかりの俺としては、個人が個々にとてつもない量の楽曲ファイルをストレージしておく時代より、クラウドベースで音楽を楽しむスタイルの方がはるかにスマートだと信じている。

だから、ソニー頑張れ。
はやく使い物になる、サービスに「Music Unlimited」を育ててくれ。
なんといってもお前は今や、世界最大のタイトル数を誇る音楽出版事業を抱えている企業体なんだから。
 “make.believe”させてくれよ。メッセージの意味はよく分からないけどさ。

かつてCDやDVDの流通でゴハンを食べさせてもらっていた端くれとして、そして何よりひとりの音楽ファンとして、ソニーよ。君に俺は期待している(笑)。

■今、「Music Unlimited」で一押しされてるChris Brown。
 自宅のサウンドシステムに繋げたときの音質は↓の動画とほぼ変わらない。


■「Music Unlimited」
http://www.sonyentertainmentnetwork.com/jp-ja/music-unlimited/why-music-unlimited/

*この投稿の内容は多分に個人の主観が含まれています。
だから、実際どうなのよと思った、そこのお前は、ちゃんと自分でアカウント作って、先ずは使ってみることをお奨めする。1ヶ月無料だし。

<余談>
日本レコード協会の統計資料
(2011年版) http://www.riaj.or.jp/issue/industry/pdf/RIAJ2011.pdf
(2012年版) http://www.riaj.or.jp/issue/industry/pdf/RIAJ2012.pdf

2012年7月17日火曜日

崖っぷちの男

実業家(エド・ハリス)から30億円のダイヤモンドを横領した罪で服役しているニューヨーク市警の元警察官ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)が、脱獄。
高級ホテルの高層階の窓枠を越え、飛び降りようとする。
大勢の人が固唾をのみながらニックを見守る中、彼は要求を伝えるための交渉人としてニューヨーク市警の女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)を指名する。


荒唐無稽だけど、アイディアの勝利。
まさに人生の「崖っぷち」に立たされた元警官が、自らの無実と、自分を陥れた者たちへの復讐を成し遂げようとする映画。

当初、共感不能。理不尽かつ身勝手にしか見えなかったニックの行動が、やがてどうやらある意味と、目的をもったものであると分かってくる。
次第に敵・味方も明らかになっていって、ストーリーは加速。一気に観客のキモチをつかんで、爽快感さえ感じるラストまで突っ走る。
映画的な嘘やご都合主義に一々揚げ足を取るのは忘れて、ここは作品のテンションに身を任せてしまおう。
何にしても、この手の作品に出遭えるのは、結構久しぶりだから。

地味だけど、出てくる役者は粒そろい。
「アバター」で主役を務めていたはずなのに、CGにばかり目を取られて多分、誰も覚えていないサム・ワーシントンが主役だから(爆)、多くの観客は変なイメージに引き摺られること無く、ニックの追い詰められ感に共感できると思うし、名優エド・ハリスを久々に拝めたのも嬉しかった。個人的にはニックの弟の恋人。セクシーラテン系姉ちゃんを演じてたジェネシス・ロドリゲスに釘付けでしたね(笑)。
物語で鍵を握る存在の女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)が、終わってみるとイマイチ印象に残らなかったりするのは惜しいけど、脇役もみんな魅力的。

それにしても1950年代とか60年代のヒッチコックが世に送り出したようなサスペンス映画に、付けられていそうな邦題で、ひょっとしたら随分損してるんじゃないかな。この作品は。
なんか今のセンスでは、面白く思ってはもらえなさそうだよね。このタイトルじゃ。
それにヒッチコックの作品と比較できるほど、構成が素晴らしいわけでも、粋なわけでも無いし。惜しいところだらけの気がするけど、まぁ、ドキュメンタリー畑出身、アスガー・レス監督の長編デビュー戦だって言うならそこは暖かく見守って、今後の活躍に期待しようじゃないか。


期待せずに見れば吉の掘り出し物系作品だと思うので、「1時間半くらいでサクッと楽しめる面白い映画、なんか無いかなぁ。」
なんて時の暇潰しに見る分には、最適の作品です。


2012年7月16日月曜日

BRAVE HEARTS 海猿

海難救助の「最後の砦」と呼ばれる羽田の特殊救難隊に異動していた仙崎大輔(伊藤英明)と後輩の吉岡(佐藤隆太)。吉岡にはキャビンアテンダントの美香(仲里依紗)という恋人が出来ていた。そんなある日、羽田空港に向けて飛行中のジャンボ旅客機のエンジンが炎上する事故が発生。その飛行機には美香も乗務していた。
夕闇が迫り視界が悪くなる中、旅客機の村松機長(平山浩行)は前代未聞の東京湾着水に向けて降下を開始した。


羽田空港に隣接したあの基地が、特殊救難隊なのか...と、今まで救難機の離着陸をたまたま目にしても、それが何かをあまりよく知ずにいた地元民の俺も、さすがに羽田沖にジャンボが緊急着水するというプロットには興味をそそられずには居られなかった「海猿」最新作。

奇をてらって3Dにした前作よりも一層シンプルに、かつダイナミック。
この作品だからこその本物の艦艇や救難ヘリが画面を所狭しと動き回り、ひたすらドラマは男くさい。

お気楽で平和な日々→未曾有の大事故→絶体絶命の救出劇→しかし、二次遭難発生→生還という、すっかり映画版でお決まりの「海猿」フォーマットに綺麗にはまった本作には、良くも悪くも全くと言っていいほど意外性が無い。
言い換えれば、観客がこのシリーズに期待したとおりのモノを期待通り見せてくれる。
羽住英一郎監督のシリーズ集大成とも言える出来栄えだと思う。

エンジンが壊れて、脚も出ないジャンボを生還させるために前代未聞の決断として描かれる東京湾着水。
ライヴアクションもCGも頑張っていて、パニック映画のシズル感が好く出ていた。
本音を言えば、もっと見応えが欲しかった気もするけど、これは絶対、大画面とよい音響で見て欲しい映画。
テレビ放送やレンタル版で見るのはちょっと、勿体無い。

ところで、前作の公開後、映画以上にインパクトの大きな災害と事故を日本は体験した。
本作ではちょっと力み過ぎだけど(笑)、未曾有の大事故に際して、行政も民間も、立場や役割を超えて協力し合い、限られた時間でベストを尽くす姿が感動的に描かれる。
こうして非常に理想的に美しく描かれる映画の中の救出劇が「映画」だからのファンタジーに終わってほしくは無いと、つい考えてしまう。それだけの事が、この1年の間に日本人の記憶に刻み込まれている。

いずれにしても、アメコミヒーローなんかではなく生身の人間である海上保安庁の救難隊を描くドラマは、3.11を挟んで、より大衆にリアリティと強い関心を抱かせるものになった。
本来ならシリーズ最終作になるはずだった前作から2年、作られるべくして作られた熱を感じる好企画だ。


2012年7月1日日曜日

ネイビーシールズ/まさに最前線を追体験

医師に扮してコスタリカに潜入していたCIA女性エージェントが拉致された。
黒幕は、麻薬取引や武器密輸で暗躍し財を成す、通称クリスト。
アメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALSに出動命令が下り、彼らによる急襲作戦はエージェントの救出に成功する。
押収された携帯電話を分析すると、クリストはイスラム系テロリストを支援。
新型の自爆テロジャケットを着込んだテロリストが、国境を越えアメリカへ向かおうとしていることが判明する。


「最前線を追体験」。
踊るキャッチコピーに嘘は無い。前代未聞。アメリカ海軍の誇る特殊部隊員自らが、自らを演じ、本物の装備と銃器、実践さながらの設定の下に対テロ戦争を描く、迫力いっぱいの本作。
あたかも彼らと行動を共にしているかのような映像体験は、観客にも緊張感を強いるもので、鑑賞後はどっと疲れる。

かつて無い規模と内容で米軍全面協力の映画だけに、家庭に帰ればよき夫でありよき父親、仲間とは公私共に一心同体、そしてヒロイズムと、多分に米政府のプロバカンダ的な要素が含まれて居そうな予感はあったのだが、それ以上に伝わってくるのは血と埃にまみれたリアリティだ。
時として残酷で、一瞬の判断の違いが生死を分ける戦闘へ、命令があれば実際に世界の何処へでも展開する彼らが演じているのは彼ら自身。
映画本編の殆どを占めるのは戦闘シーンだけに、役者が演じるミリタリーアクション映画と、本作はその本物感において比ではないが、ドラマ部分でも役者が演じる以上に、等身大の演技をみせる隊員たちの姿に、秘密のベールに包まれていた特殊部隊が、映画で主演を務めちゃうんだから、時代も変わったもんだと思わずにはいられなかった。

有名な役者不在。
まるでドキュメンタリーでも見ているかのような109分。