2012年7月16日月曜日

BRAVE HEARTS 海猿

海難救助の「最後の砦」と呼ばれる羽田の特殊救難隊に異動していた仙崎大輔(伊藤英明)と後輩の吉岡(佐藤隆太)。吉岡にはキャビンアテンダントの美香(仲里依紗)という恋人が出来ていた。そんなある日、羽田空港に向けて飛行中のジャンボ旅客機のエンジンが炎上する事故が発生。その飛行機には美香も乗務していた。
夕闇が迫り視界が悪くなる中、旅客機の村松機長(平山浩行)は前代未聞の東京湾着水に向けて降下を開始した。


羽田空港に隣接したあの基地が、特殊救難隊なのか...と、今まで救難機の離着陸をたまたま目にしても、それが何かをあまりよく知ずにいた地元民の俺も、さすがに羽田沖にジャンボが緊急着水するというプロットには興味をそそられずには居られなかった「海猿」最新作。

奇をてらって3Dにした前作よりも一層シンプルに、かつダイナミック。
この作品だからこその本物の艦艇や救難ヘリが画面を所狭しと動き回り、ひたすらドラマは男くさい。

お気楽で平和な日々→未曾有の大事故→絶体絶命の救出劇→しかし、二次遭難発生→生還という、すっかり映画版でお決まりの「海猿」フォーマットに綺麗にはまった本作には、良くも悪くも全くと言っていいほど意外性が無い。
言い換えれば、観客がこのシリーズに期待したとおりのモノを期待通り見せてくれる。
羽住英一郎監督のシリーズ集大成とも言える出来栄えだと思う。

エンジンが壊れて、脚も出ないジャンボを生還させるために前代未聞の決断として描かれる東京湾着水。
ライヴアクションもCGも頑張っていて、パニック映画のシズル感が好く出ていた。
本音を言えば、もっと見応えが欲しかった気もするけど、これは絶対、大画面とよい音響で見て欲しい映画。
テレビ放送やレンタル版で見るのはちょっと、勿体無い。

ところで、前作の公開後、映画以上にインパクトの大きな災害と事故を日本は体験した。
本作ではちょっと力み過ぎだけど(笑)、未曾有の大事故に際して、行政も民間も、立場や役割を超えて協力し合い、限られた時間でベストを尽くす姿が感動的に描かれる。
こうして非常に理想的に美しく描かれる映画の中の救出劇が「映画」だからのファンタジーに終わってほしくは無いと、つい考えてしまう。それだけの事が、この1年の間に日本人の記憶に刻み込まれている。

いずれにしても、アメコミヒーローなんかではなく生身の人間である海上保安庁の救難隊を描くドラマは、3.11を挟んで、より大衆にリアリティと強い関心を抱かせるものになった。
本来ならシリーズ最終作になるはずだった前作から2年、作られるべくして作られた熱を感じる好企画だ。


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