アーノルド・シュワルツェネッガーの「ターミネーター3」以来10年ぶりの主演復帰作。
それだけで、もうどうであれご祝儀鑑賞だ。映画の日だし。(笑)
シュワルツェネッガー演じるオーウェンズは元凄腕刑事ながら、多くの仲間を失った刑事生活に疲れて、平和な国境のど田舎で保安官として余生を過ごしている。
そこに脱走した麻薬王と、その手下どもが現れて、孤立無援の田舎町で、頼りない地元の保安官と多勢に無勢の闘いを繰り広げる。
かつては辣腕だった老保安官が立ち上がるというプロット自体には、何の新鮮さも無いが、まぁ、それはいい。
しかし、その設定に真新しさは無くても、幾らでも面白いアイディアを用いることは出来たはずだ。
しかしどうだろう、この余りにも大味な内容は。
誰ひとりとして、魅力を感じられるキャラクターがおらず、シュワルツェネッガーと対峙する麻薬王にも、なんら悪の魅力が無い。
アクションにもまるで新鮮味はないし、FBIの指揮官を演じたフォレスト・ウィテカーなんて、いい役者なのにただの無能なデブでしかない。
決してつまらなくはない。
退屈ではなかったし、眠くなったりもしなかった。
しかし、二度見たいと思えるような愛せる映画ではなかった。
どうせご祝儀鑑賞だから、たいして期待してなかったというのもあるが、これは、シュワルツェネッガーの復帰作という前振りに助けられただけの小品だ。
最近の邦画の出来が、以前にも増して上がってきているだけに、見た目だけ派手で大味な作品の見劣り感を半端なく大きなものに感じるのだ。
と、思ったら監督は、キム・ジウンじゃないか。
彼の作品は、韓国らしい義理人情を感じるものや、韓国製西部劇の「グッド・バッド・ウィアード」みたいに挑戦心にあふれたものが多かった。
しかし、この作品には人情も真新しさも無い。
ただ、どこかで見たような薄っぺらなパーツをかき集めて作ったようなアクション映画だ。
そんな彼の新作が、人生たった一度でもう充分のつまらない暇つぶしにしかならないだなんて、なんだか、余計に残念だ。
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