2010年2月28日日曜日

Six cafe Octobre 中延の隠れ家Cafe

朝からの冷たい雨が上がって、日差しが降り注いできた日曜の午後。
地元、品川区 中延の駅前アーケードの中に昨年10月にオープンした隠れ家カフェ「Six Cafe Octobre」へ。



中延アーケード街「スキップロード」の中程。額縁屋の脇にある、油断すると見落としてしまいそうな路地。このアーケードの雑踏とはまるでテンションの違う、洒落た路の先がカフェの入り口だ。
通路にはいろんな写真が額縁に飾られている。

路の行き止まりで階段を昇れというコルクボードの貼り紙。ここで靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて二階へ。そう。このカフェは額縁やさんが自宅の一画を改造して造った「おうちカフェ」。まさに隠れ家だ。


うあっ、なんともお洒落で気持ちの良い空間が、そこには開けていた。
特に陽光降り注ぐ窓際席は心地よく、ちょっとした天国。

牛肉のワイン煮500円。ビール(ナッツ付)600円、200円でパンを付けてみた。




いつまでも居られそうな、気持ちの良い空間。

営業時間

[日・月・木]
11:30~20:30
[金・土]
11:30~23:30  火曜日、水曜日定休

詳細ページ


2010年2月21日日曜日

インビクタス/NARIZO映画レビュー

反アパルトヘイト運動により27年を監獄で過ごしたネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は、釈放後の1994年、遂に南アフリカ共和国初の黒人大統領となった。だが南アフリカは、依然として少数の白人に富と権力が独占され、人種差別と経済格差は深刻な問題だった。そして、1995年。南アフリカで開催される事が決まっていたラクビーワールドカップを機に、スポーツで国民を一つにまとめられると信じたマンデラとチームキャプテンのフランソワ・ピナール(マット・デイモン)は、弱小だった南アフリカ代表ラグビーチームの再建を決意、不可能といわれた優勝を目指すのだった。

弱小スポーツチームが不可能と思われた挑戦で勝利を掴む。
非常にありがちな内容に見えそうだが、実はこの作品、ありがちスポ根ドラマとは大きく異なっていると思う。
なぜなら、この作品が描いているのはあくまで「ラクビー」を通じて見た「南アフリカ」であり、ラクビーチームではなく、南アフリカが起こした奇跡とも言えそうな実話を題材にしているからだ。

時に実話は、よく出来たフィクションを超えてしまう。それ程にドラマチックな題材を扱っているからこそ、淡々としているくらいに抑えられたクリント・イーストウッド監督の演出は、必要以上に登場人物たちをヒロイックに描いたりはしない。しかし、エピソードと役者の強さはそれでも強烈なメッセージ性とインパクトを放っているので、ラクビーのことはよく判らない俺であっても、魂が震えてしまうのである。

トイレも、バスも、住む場所も別。富と権力を独占し、抑圧していた人種と、抑圧されていた人種が、あるとき、平等になったと言われて、簡単に一つにまとまれるものだろうか。
消費税が導入されたとか、自民党が野党に転落したとか、そういう変化とは比較にならない程の大きな転換が突如やってきて、しかも抑圧されていた側の囚人だった男が、大統領になってしまった。これは南アフリカの人たちにとって明治維新ぐらいのインパクトだったに違いない。理解は出来ても当事者で無い限り、イメージも付かない様な、混乱と歓喜の中で映画は始まる。

マンデラの唱える理想は、頭では理解できても、感情で納得できるもので無かったであろう事は想像に難くない。マンデラのスタッフ達の混乱を描くことで、イーストウッドはそんな状況を上手く説明してみせる。人種的に自分たちを抑圧していた側とともに働くのも、抑圧していた相手の政権で働くこともそこに居た人間達にとって簡単に許容できることではなかったはずだ。

しかしながら、マンデラ政権のスタッフ達も、選手たちも、そして国民の多くも、困難に打ち勝つチームの姿に夢を求め、人種ではなく「国」を意識しはじめる。

一つの国が再生し、一丸となるための最初の小さな、しかし、確かな切っ掛けを追ったこの作品は、技術の進歩や、コミュニケーションの多様化だけで、解決されない普遍的な問題を問いかけているように感じた。
それだけに、これは今、選ばれるべくして選ばれ、作られるべくして作られた作品なのだと思う。
流石は、イーストウッドだ。




2010年2月3日水曜日

No Man’s Land 【ノーマンズ ランド】解体前のフランス大使館旧庁舎を見る唯一のチャンス!

東京港区のフランス大使館。
新庁舎オープンに伴い、旧庁舎では日仏のアーティスト70人が参加するアートイベント『No Man’s Land』が開催中だ。
早速、行ってきたわけだけど、国際的に有名な、あるいは頭角を現し始めた、フランスおよび日本の多くのアーティストが参加して、事務室、廊下、資料室、階段、地下室、中庭など、これまでは決して自由に立ち入るコトが出来なかった大使館の旧館の屋内外ありとあらゆる空間を解放して作品を展示するというかつてない試みだけに大盛況だった。

1月末までだった会期は、2月18日まで延長。
ただし2月以降の開館時間は、木・金・土・日の午前10時から午後6時までで、月・火・水は休館ということなのでご注意を。

場所:在日フランス大使館旧庁舎
〒106-8514 東京都港区南麻布4-11-44



























2010年2月1日月曜日

ゴールデンスランバー/NARIZO映画レビュー

仙台の気の優しい宅配便ドライバー・青柳雅春(堺雅人)は、どこか落ち着かない様子の大学の旧友・森田森吾(吉岡秀隆)と数年来の再会を果たしていた。後ろの大通りでは、首相がパレード中に暗殺。驚く青柳に「逃げろ、お前はオズワルドにされるぞ」と言い遺して森田も爆死してしまう。青柳は身に覚えのない証拠とともに見えない力によって無実の暗殺犯に仕立てられていく。青柳は、彼の無実を信じる大学時代の後輩カズ(劇団ひとり)や、元恋人の樋口晴子(竹内結子)、仕事仲間らに助けられ、次々と窮地を切り抜けていくのだが.....


原作は、井坂幸太郎原作のベストセラー。監督は、伊坂作品の映画化では、すっかりお馴染みになった中村義洋。

伊坂作品の映像化といえば、当たりハズレが非常に激しく、そのせいで見る前にはいつも心配になってしまう俺。しかし、今回は独特のテンポやキャラクター、ストーリーに散りばめられた仕掛けの数々が特徴の伊坂作品を魅力的に映像化することに成功していると思う。
ホント、これは中村監督の演出とキャスティングの勝利だ。

何処か抜けてる優しい逃亡者の役に境雅人は、ぴったりとハマっている。
そのほかも、脇を固める竹内結子や劇団ひとり等のメインキャラだけでなく、運送会社の同僚を演じた渋川清彦や、青柳の父親を演じた伊藤四郎、花火屋のオヤジのベンガル、無表情のターミネーターみたいな刑事に永島敏行、それから青柳を追い詰める警察庁の官僚 佐々木を演じた香川照之など、大勢の豪華キャストが登場。かなりの数のキャラクターが登場し、それぞれの出演シーンはいずれもたいして多くないのだが、全員が強烈な印象。
ニホンらしからぬ、首相暗殺という大きなストーリーを絶妙なユルさと、それでいて2時間越える尺を長いと感じさせないテンポで展開させ、最後には心の中でガッツポーズしたくなるような優しいオチをつけて...何だか幸せな気持ちに包まれてしまう作品だ。

そしてもうひとつ。伊坂作品といえば舞台は仙台である。
今まで以上に、スケールの大きな本作では、仙台市が撮影に全面協力。
だから、なんと定禅寺通りを封鎖して、パレードシーンを大規模に撮影したり、そのほか、見覚えのある交差点や路地を縦横無尽に青柳が逃げ回る。こういう撮影を日本でも出来るようになってきたんだなぁ...と思わせるようなシーンが色々登場。映像から匂い立つ、仙台というこじんまりと集約された街の魅力も、もう一つの見所だと思う。

実は俺にとって仙台は最高に仲の良かった同世代の仲間たちと、10年前、働き、呑み、遊んだ想い出の街。
主人公達が学生時代に花火を見上げる素敵な回想シーンを見て、忘れ掛けていた自分にとっての特別な時間、今は亡き仲間達のコトなんかを映画に思い出させてもらった気がした。