2011年9月18日日曜日

世界侵略 ロサンゼルス決戦

突如として地球に迫る無数の隕石。それは各地の海岸線15キロの水域に落下し、やがて海岸線から未知の生命体が各地の都市に上陸し始める。
危機迫るロサンゼルスでも、侵略者の侵攻は予想を超える勢いで瞬く間に市内を制圧しつつあった。
郊外の最前線基地では、空軍による一斉反攻のプランが練られ、マイケル・ナンツ曹長(アーロン・エッカート)の海兵隊2-5小隊に、既に敵に征圧された地に取り残された市民の救出命令が下された。


宇宙からの侵略という古典的テーマを最新技術で描いたこの半年間の新作の中で、間違いなく一番テンションが上がったのがこの「ロサンゼルス決戦」だ。
原題の「Battle: Los Angeles」のままで良かっただろと突っ込みいれたくなる、ダサい邦題になったのは悔しい限りだが、予告編の段階から凄く楽しみにしていた作品。本来、春の公開予定だったものが、都市が丸ごと壊滅させられる話ということもあり、東日本大震災に配慮して公開が秋まで延期されたといういわくつきの作品でもある。

この作品のエイリアンの侵攻は、極めて迅速。よくありがちな、ホワイトハウスのシークエンスなんて全く無いし、科学者が異変に気付くような描写も、殆ど無い。
突如として平和な日常に、在り得ない脅威が迫り、為す術も無いまま姿もろくに判らない敵に、一気に攻められる。
前半は、パニックの大きさに対して殆どエイリアンの姿が登場しない。
どうでも良い政治家や軍の高官の会議シーンが無い代わりに、海兵隊員たちのそれぞれのエピソードに観客は結構な時間、つき合わされる。ここは、狙いなのかもしれないが、ちょっとばかりイライラするところだ。

しかし、この作品の主題はその小隊の兵士たちを中心に描かれるエイリアンとの死闘と地獄の戦場だ。
現場では、全体の戦況がまるで判らず、その場その場の決断が生死を分ける。あたかも「ブラックホークダウン」の宇宙人侵略版と言いたくなる様な、リアルで埃っぽい戦闘シーンが延々と続く。

心に傷を負って退役するつもりだったナッツと、彼に不信感を抱き続ける部下たちが、戦闘を通じてまとまっていくストーリー展開は、敵がエイリアンだというだけで典型的なミリタリー映画だ。

「コンバット」や「プライベートライアン」を見ているような気にさせられる位、そこに力点を置いているので、その手の作品が好きならエイリアンはチョッと...と思っていたとしても絶対楽しめるだろう。

一方、エイリアン映画らしいエンタテインメント性についてもきちんと持ち合わせていて、王道と言って良い展開を見せるあたりバランスも取れている。
もっとも、そのせいかSFファンを喜ばせるような新しさは殆ど無いのだが、大きくがっかりすることも無い。
ちゃんと、最終的にはエイリアンを撃退するカタルシスも味あわせてくれるし。
戦闘シーンの、カット割やカメラの構図が凄くイケてたと思う。
お気に入りは編隊飛行するヘリコプターのシークエンス。アニメ的な構図をCGでやっている感じだけど凄くよかった。


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