2011年11月17日木曜日

スポ根ではない! これは経営の映画/マネーボール

メジャーリーグの貧乏球団アスレチックス。プロ野球選手から球団のGMに転身したビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、データ分析が得意なピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)と出会い、データを基に“低予算で強いチームを作り上げる”という挑戦を開始。
経験と勘がまかり通ってきた古株のスカウトマンや、アート・ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)らの激しい反発に会いながらも徹底したデータによるチーム改造を行った結果、各球団から低評価の選手ばかりを安くトレードさせて構成したチームは、奇跡の快進撃を始める。


 寄せ集めメンバーの弱小チームが奇跡の快進撃という、スポ根映画は過去に幾らでもあった。しかし、この作品は選手たちの葛藤や成長を描くことは無く、華やかさや、興奮のスポーツエンタテインメントという切り口で大リーグを映画化した作品ではない。

選手たちやチームで采配を振る監督ではなく、勝つためのチームを経営し、チームの人事を握るゼネラルマネージャーが主人公。試合のシーンよりもオフィスのシーンが劇中の殆どを占める。
電話を掛け捲り、商品のように安値でお買い得な選手を買い叩き、これまでの主力選手を高値で放出する。
冷徹なビジネスとして大リーグのチーム経営が描かれ、自分の信念を掛け、激情をぶつける経営者を描いた地味なドラマが繰り広げられる。
派手なシーンは無い。華もない。しかし、どのシーンも非常にエキサイティング。
チームの快進撃を現場ではなくラジオで聞き、あるいはモニターで眺めるだけのゼネラルマネージャーの姿ばかりで試合シーンが構成されているのに、彼にいつしか感情移入してしまった俺のテンションは、いつのまにかだだ上がっていた。

大リーグについて、殆ど何も知らない俺が、ここまで興奮したのだから、選手やチームについての知識が少しでもあったら、これは相当面白いに違いない。なにせ実話である。

最後にキャスティングについて。あまりにも地味な題材だから、主役にブラッド・ピットをもってきたんだと思うけど、これは勿論当たり。
しかし、それ以上に太っちょのデータマンで、GMの片腕として活躍するピーターを演じたジョナ・ヒルが光っていた。
彼は元々コメディアンだということを調べて知ったのだが、彼のこの作品に果たした役割は凄く大きかったと思う。

見応えのある、硬派なドラマ。
オススメ。

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