2012年6月3日日曜日

外事警察 その男に騙されるな

朝鮮半島で濃縮ウランの流出が判明。一方、日本では原発事故による立ち入り制限地域の研究所から、核兵器開発に利用可能な軍事機密データの消失が発生し、日本での核テロが懸念される事態となった。
日本に密入国するテロリストを取り締まるためなら、あらゆる手段を使う警視庁公安外事課の住本(渡部篤郎)は奥田正秀という男を工作員ではないかと睨み、その妻・果織(真木よう子)に接近。
韓国諜報機関NISも潜入捜査官を日本に送り込み、テロリスト、NIS、外事警察の思惑が交錯する中、事態はいよいよ切迫していく。


オウム真理教と警察との攻防を徹底取材のドキュメンタリー「極秘捜査」等、徹底的に取材して警察組織を描く作家 麻生幾の小説が原案。
これまで殆どスポットを浴びることが無かった警視庁公安部外事課をリアルに描き、2009年に放送されるや、異色の警察ドラマとして大きな評判をよんだNHKの「外事警察」の映画化。
水面下で組織が暗躍するドラマのダークな世界観そのままに、メガホンを取ったのはテレビ版に続いて堀切園健太郎。
ついでに大半のシーンも暗がりだ(笑)。

今回は、渡部篤郎、尾野真千子、石橋凌といったお馴染みのキャストに加えて、核の鍵を握る重要人物に、田中泯や、キム・ガンウを加え、緊張感溢れる演技バトルが火花を散らす。

徹底取材の末、映画的な嘘を巧みに織り交ぜた古沢良太の脚本は、誰も信じられない諜報戦を抑えたトーンで描き、リアリティにこだわった画の創り出す静かな迫力が、130分近い時間、観客にも緊張を強いる。

全てが明らかになるラストで、観客の前に提示されるのはまさに目的のために手段を選ばないダークな世界。
テレビドラマとは独立したエピソードになっているので、ドラマを知らなくても楽しめるが、ドラマ版に夢中になった記憶があるならば、ぜひ、劇場へ住本に会いに行ってみるべきだ。
「その男に騙されるな」。



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