大阪の銀行の地下に眠る240億の金塊強奪を企む6人の男たちの姿を描く、高村薫デビュー作の映画化。
高村薫原作の映画って、これまでの経験からあまり期待していなかった俺。
でも妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、西田敏行って、豪華なキャスト陣が気になったし、監督はなんと言っても他人の映画をいつも目茶目茶に言ってる井筒和幸ってことで、何ぼのもんじゃいと見極めに行ってみた。
ちなみに原作は未読(笑)。
大阪の銀行の地下に眠る金塊強奪計画....つまりは銀行強盗のお話。
そんな題材、日本でやって盛り上がるのかいなと懐疑的だった俺だけど、計画のために集められた濃いキャラクターにはそれぞれ、背景があり、特に爆弾に強い元北朝鮮工作員のモモ(チャンミン)の身柄を巡って、銃弾が飛び交ったり、過激派やヤクザ者が嗅ぎ付けてきたりと、強盗に行くまでの段階でも魅せる魅せる。
大阪と言う土地柄や、どこかちょっと平和ボケした日本を上手に舞台にして、熱く硬派な犯罪サスペンスに仕上げている。
限られた時間の中で、かなりのボリュームになる要素を上手く纏め上げ、スピード感たっぷり、エキサイティグに構成された129分は、全く長さを感じさせない。
硬派な人間ドラマと、犯罪サスペンスと、エンタテインメントが高度に両立し、単なるハッピーエンドでは終わらない、ダークな作品になっていて、実に映画らしい映画を見たと、満足できる一本。
脇役も含めて凄いバランス感覚で描かれた脚本だけに、まだまだ映画が描ききれなかったキャラクターの背景が原作にはありそうなので、映画から原作を読んでみたくなった久々の作品だった。
演者、制作陣共に、このレベル感の映画ばかりなら、日本映画って、本当に凄いんだけどなぁ。
2012年11月24日土曜日
高地戦 THE FRONT LINE
朝鮮戦争の激戦地。
板門店では2年前に始まった停戦協議が難航し、アメリカと北朝鮮、中国の三者が南北境界の線引きを巡って火花を散らしていた。
停戦協定成立から発効までの12時間に行われた最後の戦闘に参加した兵士たちの姿を描いた戦争映画。
未だに終結していない朝鮮戦争停戦の現実を最前線の視点から描いた戦争大作。
真っ直ぐ立つのも困難な高地を、何十回も奪い奪われる戦場で、軍隊の規律や国家の正義といった正論では語れない「生き残る」ための「正義」、人間らしく「生き続ける」ための最前線での「正義」を描いた作品になっている。
同じ高地の主が何度となく変わる激しい攻防の果てに、いつからか始まった敵への置手紙や、タバコや酒の交換と言ったエピソードから、この手の題材の韓国映画でお馴染みのウエットな人間ドラマへと発展し、やがて舞台となる中隊が抱える恐ろしいトラウマが明らかになっていく。
一貫して描かれるのは同じ民族どうしで殺しあうと言う虚しさだ。
敵味方に分かれても、根底にお互い複雑なシンパシーを感じあうという複雑なドラマをリアリティをもって描けるのは、韓国映画ならではだと思う。
中央から左遷されるように異動してきた防諜隊中尉カン・ウンピョ(シン・ハギュン)の視点を通じて、安全圏からは窺い知れない戦場の現実を観客も目の当たりにする。
韓国版の「プラトーン」とか「ハンバーガーヒル」なのだな。この作品は。
2年間で二等兵から中尉に特進し、戦場で自分の信じる正義と倫理観のもとに部下を従えるキム・スヒョク(コ・ス)や、どこか死に場所を探しているようにも見える中隊長のシン・イリョン(イ・ジェフン)は、病める戦闘の実態を観客に突きつけ、監督のチャン・フンは、南北どちらに寄ることなく、あくまでその戦争の虚しさに焦点を当て続ける。
戦闘シーンの迫力も、徴兵制が未だ残る国の映画で現代戦を描いているだけに、リアルに迫るものがある。
クライマックス。 停戦の知らせに生還した実感を噛み締める両軍の前線。
しかし、その発効が12時間後である事が告げられる「ぬか喜び」感と、12時間後の占領地で国土が決まるとばかりに、最後の総攻撃を命じる両軍の上層部。
救いのない戦闘がこの作品のラストに待っているわけだが、中国やアメリカと言った大国の利害に翻弄され、代理戦争として血を流し続けなくてはならなかった怨嗟をスクリーンから感じずには居られない。
停戦協定成立から発効までの12時間に行われた最後の戦闘に参加した兵士たちの姿を描いた戦争映画。
未だに終結していない朝鮮戦争停戦の現実を最前線の視点から描いた戦争大作。
真っ直ぐ立つのも困難な高地を、何十回も奪い奪われる戦場で、軍隊の規律や国家の正義といった正論では語れない「生き残る」ための「正義」、人間らしく「生き続ける」ための最前線での「正義」を描いた作品になっている。
同じ高地の主が何度となく変わる激しい攻防の果てに、いつからか始まった敵への置手紙や、タバコや酒の交換と言ったエピソードから、この手の題材の韓国映画でお馴染みのウエットな人間ドラマへと発展し、やがて舞台となる中隊が抱える恐ろしいトラウマが明らかになっていく。
一貫して描かれるのは同じ民族どうしで殺しあうと言う虚しさだ。
敵味方に分かれても、根底にお互い複雑なシンパシーを感じあうという複雑なドラマをリアリティをもって描けるのは、韓国映画ならではだと思う。
中央から左遷されるように異動してきた防諜隊中尉カン・ウンピョ(シン・ハギュン)の視点を通じて、安全圏からは窺い知れない戦場の現実を観客も目の当たりにする。
韓国版の「プラトーン」とか「ハンバーガーヒル」なのだな。この作品は。
2年間で二等兵から中尉に特進し、戦場で自分の信じる正義と倫理観のもとに部下を従えるキム・スヒョク(コ・ス)や、どこか死に場所を探しているようにも見える中隊長のシン・イリョン(イ・ジェフン)は、病める戦闘の実態を観客に突きつけ、監督のチャン・フンは、南北どちらに寄ることなく、あくまでその戦争の虚しさに焦点を当て続ける。
戦闘シーンの迫力も、徴兵制が未だ残る国の映画で現代戦を描いているだけに、リアルに迫るものがある。
クライマックス。 停戦の知らせに生還した実感を噛み締める両軍の前線。
しかし、その発効が12時間後である事が告げられる「ぬか喜び」感と、12時間後の占領地で国土が決まるとばかりに、最後の総攻撃を命じる両軍の上層部。
救いのない戦闘がこの作品のラストに待っているわけだが、中国やアメリカと言った大国の利害に翻弄され、代理戦争として血を流し続けなくてはならなかった怨嗟をスクリーンから感じずには居られない。
2012年11月23日金曜日
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
衛星軌道上に封印されていたエヴァンゲリオン初号機から、ミサトたちにサルベージされた碇シンジは厳重な監視下に置かれていた。
目覚めた世界では14年が経過。
今やミサトたち旧ネルフ職員らは、反ネルフ組織「ヴィレ」を立ち上げ、使徒とネルフ側エヴァと戦っていた。
状況を呑みこめないシンジだったが、14年前、綾波レイを助けようとした自分が「サード・インパクト」の引き金を引き、世界を半壊させてしまった事実が次第に明らかになる。
よくも悪くも想像を裏切った上で、中身については、さっぱり理解できなかった。
これが感想。
まず、突然、前作から14年経過した世界に放り出される置いてけぼり感が半端ない。
観客はシンジ同様に、どうなっているのかよく分からないまま、映像的興奮のつるべ打ちにあう。
カネ掛かってんな、スゲぇな!でも、全然、判らないぞ。
どういう経緯で「ネルフ」が分裂したのかも、全然、人の気配が感じられない描き方をされている「ネルフ」に何があったのかも、全く描かれない(笑) 。
にも関わらず、最後まで興味を削がれる事なく突っ走られた感じ。
作画も演出も、スゲぇよ。 そう言う意味では力業で持ってかれて、なんか疲れた作品。
結局、この作品は完結編となるであろう次回作への豪華な導入編だ。
テレビシリーズの展開をほぼ踏襲した「序」、そこから発展して最後には異なる展開に驚かされた「破」。
ここまでが「ホップ」「ステップ」だったとすると、今回はあまりに「ジャンプ」し過ぎて、ついていくのが大変だ。
絶対余計なことするなと言われた男が、青臭いほどの信念に従い行動した結果、やっぱり最悪の結末を引き起こす。
言ってしまえばそれだけの内容。
しかし、「前と同じ話をするつもりはない」まさに作品を創り変えたいという「意思」が物凄く明確にされた分、進化して予測不能のこの後の展開に興味を感じずにはいられない。
気になる人は、まぁ見てくれ。 意味はわからんが、映像は興奮する。どうせ見るならフルスペックに凄さを体感できる劇場へ!
目覚めた世界では14年が経過。
今やミサトたち旧ネルフ職員らは、反ネルフ組織「ヴィレ」を立ち上げ、使徒とネルフ側エヴァと戦っていた。
状況を呑みこめないシンジだったが、14年前、綾波レイを助けようとした自分が「サード・インパクト」の引き金を引き、世界を半壊させてしまった事実が次第に明らかになる。
よくも悪くも想像を裏切った上で、中身については、さっぱり理解できなかった。
これが感想。
まず、突然、前作から14年経過した世界に放り出される置いてけぼり感が半端ない。
観客はシンジ同様に、どうなっているのかよく分からないまま、映像的興奮のつるべ打ちにあう。
カネ掛かってんな、スゲぇな!でも、全然、判らないぞ。
どういう経緯で「ネルフ」が分裂したのかも、全然、人の気配が感じられない描き方をされている「ネルフ」に何があったのかも、全く描かれない(笑) 。
にも関わらず、最後まで興味を削がれる事なく突っ走られた感じ。
作画も演出も、スゲぇよ。 そう言う意味では力業で持ってかれて、なんか疲れた作品。
結局、この作品は完結編となるであろう次回作への豪華な導入編だ。
テレビシリーズの展開をほぼ踏襲した「序」、そこから発展して最後には異なる展開に驚かされた「破」。
ここまでが「ホップ」「ステップ」だったとすると、今回はあまりに「ジャンプ」し過ぎて、ついていくのが大変だ。
絶対余計なことするなと言われた男が、青臭いほどの信念に従い行動した結果、やっぱり最悪の結末を引き起こす。
言ってしまえばそれだけの内容。
しかし、「前と同じ話をするつもりはない」まさに作品を創り変えたいという「意思」が物凄く明確にされた分、進化して予測不能のこの後の展開に興味を感じずにはいられない。
気になる人は、まぁ見てくれ。 意味はわからんが、映像は興奮する。どうせ見るならフルスペックに凄さを体感できる劇場へ!
2012年11月10日土曜日
シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語
あの世界最高峰のサーカス・エンタテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユ初の映画化。
特定の言語に頼らず、音楽と肉体を駆使したパフォーマンスで全世界を魅了してきた彼らだけに、この作品にも台詞は殆どない。
もっと言えばストーリーすらない。
大スクリーンに繰り広げられるのはシルク・ドゥ・ソレイユが誇る最高峰のステージの壮大なショ-ケースだ。
田舎町のサーカスに遊びに来た主人公のミア(エリカ・リンツ)が、空中ブランコの青年に魅せられ、砂漠の中にテントが点在するシルク・ドゥ・ソレイユの異世界を彷徨う。
3Dメガネを掛けて、観客たちも彼女と共にラスベガスの専用劇場で上映されている "O"(オー)、KÀ(カー)、Mystère(ミステール)、Viva ELVIS(ビバ・エルビス)、CRISS ANGEL Believe(クリス・エンジェルビリーブ)、Zumanity(ズーマニティ)、The Beatles LOVE(ザ・ビートルズ・ラブ)など、シルク・ドゥ・ソレイユの7つのステージ世界に迷い込む。
それぞれの狂言回してきなキャラクターが顔を出し、専用劇場ならではの圧倒的規模の装置と、目を見張るパフォーマンスが展開される。
そもそもシルク・ドゥ・ソレイユは、ドラマチックで映画的なエンタテインメントなのだ。
そして映画では再現が難しかったリアルでライヴな迫力を最新の3D撮影技術は、全国のスクリーンに届けることに成功している。
どこまでも、シルク・ドゥ・ソレイユの映画なので、監督の個性が作品にどう影響したのかは謎だ。
しかし、監督のアンドリュー・アダムソンは「シュレック」や「ナルニア」を手掛けてきた人物。
ファンタジー的世界に対する表現力を期待するには良い人選だったのかもしれない。
見所は、客席では不可能なアングルや至近距離でのパフォーマンスを立体映像で楽しめること、これに尽きる。
高度な技であっても、それが映画で、しかもあまりに優雅で美しく、静かだとついつい眠気に襲われる。
そして、このフィルムは時として、エンタテインメントというよりアートに近い印象を抱かせる。
91分はこの題材としては、ギリギリ興味を繋ぎ止めておける時間の限界ラインだった。
パフォーマンス同様の絶妙なバランス。
そして幾つかの作品は、いつか生で見て見たいと強く思わせられた。
そういう意味では、映画としてはともかく、ショーケースとしては大成功だと思う。
薄々、予想は付いていたものの内向的で気が弱そうに見えた主人公のミアも、演じているのはシルク・ドゥ・ソレイユのアーティストなワケで、ラストは本領を発揮!!
あんた、凄いじゃないのという技のつるべ打ちになるところは、個人的にちょっとしたツボだった。
ラストシーンは、シルク・ドゥ・ソレイユらしさ満点の美しい大円団。
しかも、エンドロールにかぶせる様に7つのステージそれぞれの感動的なカーテンコールが次々と繋がれて、観客とステージ、 両者の化学反応で訪れるシルク・ドゥ・ソレイユのステージの最高の瞬間を紡いでいく。
そんな素敵なエンドロールなだけに、途中で、誰も客席を立たなかったのが印象的だった。
しかし、やはりシルク・ドゥ・ソレイユは生で見たいっすね。(笑)
特定の言語に頼らず、音楽と肉体を駆使したパフォーマンスで全世界を魅了してきた彼らだけに、この作品にも台詞は殆どない。
もっと言えばストーリーすらない。
大スクリーンに繰り広げられるのはシルク・ドゥ・ソレイユが誇る最高峰のステージの壮大なショ-ケースだ。
田舎町のサーカスに遊びに来た主人公のミア(エリカ・リンツ)が、空中ブランコの青年に魅せられ、砂漠の中にテントが点在するシルク・ドゥ・ソレイユの異世界を彷徨う。
3Dメガネを掛けて、観客たちも彼女と共にラスベガスの専用劇場で上映されている "O"(オー)、KÀ(カー)、Mystère(ミステール)、Viva ELVIS(ビバ・エルビス)、CRISS ANGEL Believe(クリス・エンジェルビリーブ)、Zumanity(ズーマニティ)、The Beatles LOVE(ザ・ビートルズ・ラブ)など、シルク・ドゥ・ソレイユの7つのステージ世界に迷い込む。
それぞれの狂言回してきなキャラクターが顔を出し、専用劇場ならではの圧倒的規模の装置と、目を見張るパフォーマンスが展開される。
そもそもシルク・ドゥ・ソレイユは、ドラマチックで映画的なエンタテインメントなのだ。
そして映画では再現が難しかったリアルでライヴな迫力を最新の3D撮影技術は、全国のスクリーンに届けることに成功している。
どこまでも、シルク・ドゥ・ソレイユの映画なので、監督の個性が作品にどう影響したのかは謎だ。
しかし、監督のアンドリュー・アダムソンは「シュレック」や「ナルニア」を手掛けてきた人物。
ファンタジー的世界に対する表現力を期待するには良い人選だったのかもしれない。
見所は、客席では不可能なアングルや至近距離でのパフォーマンスを立体映像で楽しめること、これに尽きる。
高度な技であっても、それが映画で、しかもあまりに優雅で美しく、静かだとついつい眠気に襲われる。
そして、このフィルムは時として、エンタテインメントというよりアートに近い印象を抱かせる。
91分はこの題材としては、ギリギリ興味を繋ぎ止めておける時間の限界ラインだった。
パフォーマンス同様の絶妙なバランス。
そして幾つかの作品は、いつか生で見て見たいと強く思わせられた。
そういう意味では、映画としてはともかく、ショーケースとしては大成功だと思う。
薄々、予想は付いていたものの内向的で気が弱そうに見えた主人公のミアも、演じているのはシルク・ドゥ・ソレイユのアーティストなワケで、ラストは本領を発揮!!
あんた、凄いじゃないのという技のつるべ打ちになるところは、個人的にちょっとしたツボだった。
ラストシーンは、シルク・ドゥ・ソレイユらしさ満点の美しい大円団。
しかも、エンドロールにかぶせる様に7つのステージそれぞれの感動的なカーテンコールが次々と繋がれて、観客とステージ、 両者の化学反応で訪れるシルク・ドゥ・ソレイユのステージの最高の瞬間を紡いでいく。
そんな素敵なエンドロールなだけに、途中で、誰も客席を立たなかったのが印象的だった。
しかし、やはりシルク・ドゥ・ソレイユは生で見たいっすね。(笑)
2012年11月4日日曜日
のぼうの城
天下統一を目前に控えた豊臣秀吉(市村正親)は最後に残った敵勢力、北条家を滅ぼそうと大軍を投入。
才覚はありながらも将器に欠ける腹心の石田三成(上地雄輔)に手柄を立てさせようと、すでに自軍に内通し降伏する旨を表明してきていた成田氏の拠城忍城攻略を三成に言い渡した。
一方、忍城には農民や子供たちと楽しそうに戯れ、親しみをこめて「のぼう」様と呼ばれる成田長親(野村萬斎)がいた。
しかし、三成軍の不遜な態度に長親は一転、闘う事を決意。
軍勢2万にたった500名の多勢に無勢ながら、長親を慕う多くの農民も立ち上がり歴史に残る篭城戦に突入するのだった。
実話を基にした和田竜の脚本は、小説化され大ベストセラーに。
魅力的な登場人物が多数登場する、空前の歴史スペクタクルとして映画化が待ち望まれ、犬童一心 、樋口真嗣のダブル監督体制で映画化。
ところが公開準備中に3.11の震災が発生、津波を髣髴とさせる水攻めのシーンに配慮して公開がほぼ1年延期されたいわく付きの作品だ。
「でぐのぼう」を意味する「のぼうさま」は、原作では大男でのそのそと動くキャラクター。
正直なところ野村萬斎はキャスティングミスなんじゃなかろうかと、違和感を感じていたのだが、蓋を開けてみれば、彼にしか演じられないであろう「のぼう」様がスクリーンに息衝いていた。
長親の幼馴染で歴戦の強者、丹波(佐藤浩市)。その丹波をライバル視する豪傑・豪腕の和泉(山口智充)。戦の経験は無いが“軍略の天才”を自称する靭負(成宮寛貴)。
忍城で、のぼうを盛り立てるキャラクターたちは、イメージどおり。
榮倉奈々の甲斐姫も中々ツンデレな感じが良く出ていて可愛かった。
三成軍も、脇を固める大谷吉継(山田孝之)、長束正家(平岳大)が、これまた素晴らしい。
久しぶりに老若男女が映画館で一緒に笑ったり、熱くなれる、時代劇の誕生だ。
思わず笑えるが、小気味よい人間ドラマと、スペクタクルシーンの両立がこの作品の最大の魅力。
北海道の苫小牧に東京ドーム20個分のオープンセットを建設し、CGIだけでなくライブアクションにもこだわって、素晴らしい戦国エンタテインメントを成立させた。
「こころ」を感じる戦国スペクタクル。
大きなスクリーンで成田一族のユニークな戦いぶりを是非、堪能してほしい。
才覚はありながらも将器に欠ける腹心の石田三成(上地雄輔)に手柄を立てさせようと、すでに自軍に内通し降伏する旨を表明してきていた成田氏の拠城忍城攻略を三成に言い渡した。
一方、忍城には農民や子供たちと楽しそうに戯れ、親しみをこめて「のぼう」様と呼ばれる成田長親(野村萬斎)がいた。
しかし、三成軍の不遜な態度に長親は一転、闘う事を決意。
軍勢2万にたった500名の多勢に無勢ながら、長親を慕う多くの農民も立ち上がり歴史に残る篭城戦に突入するのだった。
実話を基にした和田竜の脚本は、小説化され大ベストセラーに。
魅力的な登場人物が多数登場する、空前の歴史スペクタクルとして映画化が待ち望まれ、犬童一心 、樋口真嗣のダブル監督体制で映画化。
ところが公開準備中に3.11の震災が発生、津波を髣髴とさせる水攻めのシーンに配慮して公開がほぼ1年延期されたいわく付きの作品だ。
「でぐのぼう」を意味する「のぼうさま」は、原作では大男でのそのそと動くキャラクター。
正直なところ野村萬斎はキャスティングミスなんじゃなかろうかと、違和感を感じていたのだが、蓋を開けてみれば、彼にしか演じられないであろう「のぼう」様がスクリーンに息衝いていた。
長親の幼馴染で歴戦の強者、丹波(佐藤浩市)。その丹波をライバル視する豪傑・豪腕の和泉(山口智充)。戦の経験は無いが“軍略の天才”を自称する靭負(成宮寛貴)。
忍城で、のぼうを盛り立てるキャラクターたちは、イメージどおり。
榮倉奈々の甲斐姫も中々ツンデレな感じが良く出ていて可愛かった。
三成軍も、脇を固める大谷吉継(山田孝之)、長束正家(平岳大)が、これまた素晴らしい。
久しぶりに老若男女が映画館で一緒に笑ったり、熱くなれる、時代劇の誕生だ。
思わず笑えるが、小気味よい人間ドラマと、スペクタクルシーンの両立がこの作品の最大の魅力。
北海道の苫小牧に東京ドーム20個分のオープンセットを建設し、CGIだけでなくライブアクションにもこだわって、素晴らしい戦国エンタテインメントを成立させた。
「こころ」を感じる戦国スペクタクル。
大きなスクリーンで成田一族のユニークな戦いぶりを是非、堪能してほしい。
2012年11月2日金曜日
リンカーン秘密の書
1800年代のアメリカ。
南部では黒人奴隷を餌にしてヴァンパイア達が繁栄していた。
開拓農民の家に生まれ育ったリンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は、最愛の母を死にいたらしめた地元の名士、ジャック・バーツ(マートン・ソーカス)がヴァンパイアであることを知り、復讐を誓う。
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの夜の顔はヴァンパイアハンターだったという設定のアクションホラー映画。
ティム・バートンがプロデュース、監督は「デイ・ウォッチ」や「ナイト・ウォッチ」で名を馳せたロシア人監督のティムール・ベクマンベトフ。
この二人がタッグを組んで料理した絶好の題材がこの作品。
原題はシンプルにズバリ、「ABRAHAM LINCOLN: VAMPIRE HUNTER」。
邦題がなんでここまでカッコ悪いのかは置いておいて、久しぶりにテンション駄々上がりのアクションホラーを見ましたよって感じ。
ホント、今年は映画の当たり年だ。邦題は死ぬほどダサいが、この作品も是非見てほしい。
誰もが知っているリンカーン大統領。 彼が掲げた奴隷解放運動は、実はヴァンパイアとの対決、殲滅戦のためのもので、南北戦争はヴァンパイアと人類の戦争だったという荒唐無稽アクション。 凄まじい馬鹿設定にも関わらず、一貫したダークなトーンと、伏線。
巧妙に史実を絡ませて知られざるヴァンパイアとの戦いを描く魅力的なシナリオで、ついつい引き込まれてしまった。
この監督、とにかくアクション描写が美しい。
カーチェイスならぬ、あり得ない群馬チェイスや、悪乗りスタイリッシュな機関車のファイトシーンなど、おいおい、そりゃねーだろと、突っ込みながらも拍手をしたくなる衝動に駆られるアクション描写の数々。
実は、まだ戦いは終わっていないということを示唆するラストシーンはお約束だが、流石にリンカーンが最後にどうなるかは誰もが知っているわけで、続編を作るのは難しいだろう。
いや、むしろこれは、これ一発で綺麗に終わってほしいね。
ティム・バートンがプロデュース、監督は「デイ・ウォッチ」や「ナイト・ウォッチ」で名を馳せたロシア人監督のティムール・ベクマンベトフ。
この二人がタッグを組んで料理した絶好の題材がこの作品。
原題はシンプルにズバリ、「ABRAHAM LINCOLN: VAMPIRE HUNTER」。
邦題がなんでここまでカッコ悪いのかは置いておいて、久しぶりにテンション駄々上がりのアクションホラーを見ましたよって感じ。
ホント、今年は映画の当たり年だ。邦題は死ぬほどダサいが、この作品も是非見てほしい。
誰もが知っているリンカーン大統領。 彼が掲げた奴隷解放運動は、実はヴァンパイアとの対決、殲滅戦のためのもので、南北戦争はヴァンパイアと人類の戦争だったという荒唐無稽アクション。 凄まじい馬鹿設定にも関わらず、一貫したダークなトーンと、伏線。
巧妙に史実を絡ませて知られざるヴァンパイアとの戦いを描く魅力的なシナリオで、ついつい引き込まれてしまった。
この監督、とにかくアクション描写が美しい。
カーチェイスならぬ、あり得ない群馬チェイスや、悪乗りスタイリッシュな機関車のファイトシーンなど、おいおい、そりゃねーだろと、突っ込みながらも拍手をしたくなる衝動に駆られるアクション描写の数々。
実は、まだ戦いは終わっていないということを示唆するラストシーンはお約束だが、流石にリンカーンが最後にどうなるかは誰もが知っているわけで、続編を作るのは難しいだろう。
いや、むしろこれは、これ一発で綺麗に終わってほしいね。
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