2012年11月4日日曜日

のぼうの城

天下統一を目前に控えた豊臣秀吉(市村正親)は最後に残った敵勢力、北条家を滅ぼそうと大軍を投入。 
才覚はありながらも将器に欠ける腹心の石田三成(上地雄輔)に手柄を立てさせようと、すでに自軍に内通し降伏する旨を表明してきていた成田氏の拠城忍城攻略を三成に言い渡した。 
一方、忍城には農民や子供たちと楽しそうに戯れ、親しみをこめて「のぼう」様と呼ばれる成田長親(野村萬斎)がいた。
 しかし、三成軍の不遜な態度に長親は一転、闘う事を決意。
 軍勢2万にたった500名の多勢に無勢ながら、長親を慕う多くの農民も立ち上がり歴史に残る篭城戦に突入するのだった。

 実話を基にした和田竜の脚本は、小説化され大ベストセラーに。
 魅力的な登場人物が多数登場する、空前の歴史スペクタクルとして映画化が待ち望まれ、犬童一心 、樋口真嗣のダブル監督体制で映画化。
ところが公開準備中に3.11の震災が発生、津波を髣髴とさせる水攻めのシーンに配慮して公開がほぼ1年延期されたいわく付きの作品だ。
「でぐのぼう」を意味する「のぼうさま」は、原作では大男でのそのそと動くキャラクター。
正直なところ野村萬斎はキャスティングミスなんじゃなかろうかと、違和感を感じていたのだが、蓋を開けてみれば、彼にしか演じられないであろう「のぼう」様がスクリーンに息衝いていた。

長親の幼馴染で歴戦の強者、丹波(佐藤浩市)。その丹波をライバル視する豪傑・豪腕の和泉(山口智充)。戦の経験は無いが“軍略の天才”を自称する靭負(成宮寛貴)。
忍城で、のぼうを盛り立てるキャラクターたちは、イメージどおり。
榮倉奈々の甲斐姫も中々ツンデレな感じが良く出ていて可愛かった。
三成軍も、脇を固める大谷吉継(山田孝之)、長束正家(平岳大)が、これまた素晴らしい。
久しぶりに老若男女が映画館で一緒に笑ったり、熱くなれる、時代劇の誕生だ。

思わず笑えるが、小気味よい人間ドラマと、スペクタクルシーンの両立がこの作品の最大の魅力。
北海道の苫小牧に東京ドーム20個分のオープンセットを建設し、CGIだけでなくライブアクションにもこだわって、素晴らしい戦国エンタテインメントを成立させた。
「こころ」を感じる戦国スペクタクル。
大きなスクリーンで成田一族のユニークな戦いぶりを是非、堪能してほしい。


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