2012年11月24日土曜日

黄金を抱いて翔べ

大阪の銀行の地下に眠る240億の金塊強奪を企む6人の男たちの姿を描く、高村薫デビュー作の映画化。

 高村薫原作の映画って、これまでの経験からあまり期待していなかった俺。
でも妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、西田敏行って、豪華なキャスト陣が気になったし、監督はなんと言っても他人の映画をいつも目茶目茶に言ってる井筒和幸ってことで、何ぼのもんじゃいと見極めに行ってみた。 

ちなみに原作は未読(笑)。

大阪の銀行の地下に眠る金塊強奪計画....つまりは銀行強盗のお話。
そんな題材、日本でやって盛り上がるのかいなと懐疑的だった俺だけど、計画のために集められた濃いキャラクターにはそれぞれ、背景があり、特に爆弾に強い元北朝鮮工作員のモモ(チャンミン)の身柄を巡って、銃弾が飛び交ったり、過激派やヤクザ者が嗅ぎ付けてきたりと、強盗に行くまでの段階でも魅せる魅せる。

 大阪と言う土地柄や、どこかちょっと平和ボケした日本を上手に舞台にして、熱く硬派な犯罪サスペンスに仕上げている。

限られた時間の中で、かなりのボリュームになる要素を上手く纏め上げ、スピード感たっぷり、エキサイティグに構成された129分は、全く長さを感じさせない。

 硬派な人間ドラマと、犯罪サスペンスと、エンタテインメントが高度に両立し、単なるハッピーエンドでは終わらない、ダークな作品になっていて、実に映画らしい映画を見たと、満足できる一本。

 脇役も含めて凄いバランス感覚で描かれた脚本だけに、まだまだ映画が描ききれなかったキャラクターの背景が原作にはありそうなので、映画から原作を読んでみたくなった久々の作品だった。

 演者、制作陣共に、このレベル感の映画ばかりなら、日本映画って、本当に凄いんだけどなぁ。


0 件のコメント: