いつまでもコドモのココロを忘れない。
そんな一握りのクリエイターの作品は、凄く魅力的だ。
ティム・バートンは間違いなくその手の監督のうちの一人。
その昔、実写短編で撮ってお蔵入りになった苦い経験のある題材「フランケンウィニー」を彼は再びディズニーで、しかもモノクロクレイアニメでの3D撮影と言う野心的手法で長編映画化した。
主人公の少年ヴィクターは、引きこもりがちの変わった少年で、ティム・バートンそのものと言っていい存在。
大好きなペットの犬。死んでしまったけど彼との幸せな暮らしが、ずーっと続いたらいいのに。
ティム・バートンは自分の子供の頃の犬との思い出と、かなわぬその想いをこの題材にぶつけている。
舞台となる街、ニューオランダは、風車が丘の上に建つ郊外の住宅街。
郊外の街に風車小屋。最後は風車小屋で対決と言う設定は、彼の多くの作品で見掛ける展開だが、モチーフになったのは監督が育った街、かつてのバーバンクだと言う。
ヴィクターの愛犬スパーキーは、作品の殆どの時間、愛くるしいゾンビ状態なのだが、生前にもまして活き活きしている(笑)。
決して、飼い主のことは裏切らないし、いつまでも良き友達で居続ける。
一方、雷の電流でスパーキーが蘇った事を知ったクラスメイト達が、彼を真似て蘇らせてしまったものは、全て、邪悪で危険。
子供時代に苛められっ子だったという、監督のこれはちょとした復讐か。
日本の怪獣映画が大好きな監督らしく、今回は「ガメラ」もどきが登場するし、こそっと日本のキャラクター「キティ」ちゃんの墓らしきものが登場したりと、ちょくちょく遊びが見つかるのも大きな魅力。
ブサ可愛いゾンビ犬をこんなに愛すべき存在として描けるのは、世界でも間違いなく彼くらいのものだろう。
それ以前に、他の監督はそんな題材選ぼうとしないと思うけど。
モノクロの陰影が非常に美しく、ゾンビ犬の話なのに、ほっこりする映画。
クリスマスシーズンに、こんな映画も良いよね。
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