今年を締めくくる最後の映画に選んだのは「レ・ミゼラブル」。
キャメロン・マッキントッシュによって創り出されたこのミュージカルは85年の初演以来、世界43か国で上演。
学生時代の大半を日本版を何度となく上演してきた帝国劇場で過ごした自分としては、特別な思い出のあるミュージカルだったりする。
それだけに映画化の話は、若干不安だったのだが、次第に予告編を劇場で目にするようになって、傑作が生まれた事を確信した。
ミュージカルはちょっと....。
俺もこの作品に初めて出会ったときは、そう思った。
しかし、ミュージカルについて食わず嫌いで、仕事の上で仕方なく見たはずの俺を物語に惹き込ませたあのステージの興奮が、映像の力でさらに大きくなって、スクリーンに完全再現されている。
ほぼ全編、歌でストーリーが紡がれ、魂を揺さぶる重厚な物語。
究極にガチなミュージカル映画になっていた。
監督トム・フーパーと製作のキャメロン・マッキントッシュがこだわったのは、すべての歌を実際に歌いながら、生で収録する撮影方法。
つまり、ステージさながらのライヴ感と感情に載せて歌が歌われる。
ジャン・バルジャンをヒュー・ジャックマン、彼の宿敵ジャベール警部がラッセル・クロウ。
ファンテーヌにアン・ハサウェイ。
コゼットがアマンダ・サイフリッド。
エポニーヌのサマンサ・バークスは舞台版のオリジナルキャストと、非常に豪華。
全員歌える歌える。
名曲「On My Own」のせつなさも「Do You Hear The People Sing」の熱情も、とにかくステージと同じ。
いや、それ以上にエキサイティングで、とにかく熱かった。
数多くの登場人物、台詞がほぼ全部歌。
複雑なストーリーと時代背景。
これを150分あまりで何処まで再現できるのか、ステージ版だって、ぶっちゃけ歌に載った台詞が聴き取りにくくて、一度見たくらいでは意味わからない部分いっぱいあったし..。
そのあたりが映像化でどうなるのかは、いちばん重要で、興味深いところだった。
しかし、この映画は完璧だった。
むしろ映像化により字幕で歌詞が追えることによって、ストーリーの把握は容易になった。
初めて作品に触れる人にもとっつきやすい。これは舞台版にない魅力だ。
映画企画側の期待通りだと思うが、映画から興味を持って、舞台を見に行く新たなファンが生まれる予感がする。
またシンプルな装置で観客にパリを想像させていた舞台版と異なり、映像の広がりから、その時代のパリの空気を感じることができるのも、映画の魅力。
バルジャンが天に召され、先に死んでいった者達に迎えられるラストから、ステージならカーテンコールにあたるくだりは、映像ならではのカタルシスにあふれ、思わず拍手をしたくなった。
あらゆる意味で、ミュージカル映画の歴史に残る、王道的な作品の誕生。
この先、何度となく見てしまいそうだ。
最後に劇場予告編と、本作の「On My Own」。
そして、日本版キャストで唯一、最高のエポニーヌとして、エリザベス女王の前でも歌った島田歌穂の「On My Own」を貼っておく。
この年末年始に是非、劇場へ!
■予告編
■予告編「On My Own」/サマンサ・バークス
■「On My Own」/島田歌穂
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