こう言っちゃ申し訳ないが、この作品を見る気になったのは全くの惰性だった。
俺に言わせれば、回を重ねるごとに酷い作品になっていった「ダイ・ハード」は、完全に終わったシリーズだった。
最後の作品は馬鹿映画なんて呼ばれ方で愛してもらえるレベルではなく、間違いなく糞映画だった。
だから全く何の期待もしていなかった。
完全に好みの問題ではあるが、そもそも「ダイ・ハード」は、地味で冴えない男が、不運を悪態つきながら乗り越えつつ、知恵と機転で絶体絶命のピンチから大逆転するような作品だった。
予算は少ないが、アイディアはあった。
この作品には、そういうよさは微塵もない。
しかし、今回は力技で楽しませてくれる。
アメリカから舞台をロシアに移し、ロシアの大物の悪事と抗争に巻き込まれたマクレーン親子が、過去のわだかまりを乗り越え、危機を乗り切るバディ・ムービーとなってシリーズを再生させた。
ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)の息子ジャック役は新鋭のジェイ・コートニー。
可もなく不可もなく、特に華のある役者ではなかったけど、少なくとも、過去のシリーズに漂っていたマンネリ感の外にある作品にはなっている。
とは言え行き当たりばったり感の強い脚本は三流だし、ブルース・ウィリスはもう高齢。
感動できる要素も、感慨にふける要素も勿論ない。
だが、この作品を見終えた後の俺は、高揚していた。
メガホンを取ったのは「マックス・ペイン」のジョン・ムーア監督。
派手な馬鹿アクション映画としては最高レベルで楽しませてくれるし、予算も掛けまくっている。
笑っちゃうくらい滅茶苦茶に、破壊しまくるカーチェイスのシーンや、軍用ヘリを使ったアクションシーンは、実に素敵。テンポも最高。
暇つぶしには最適だ。
でも、この親子のアクション映画で続きが見たいかといわれれば、もう結構。
この手のアイディアが使えるのは、今回の一回が限界だろう。
頑張ったが、マクレーン刑事は、企画的にもう定年だ。
そろそろ、新しいキャラクターとアイディアのあるアクション・ヒーローが欲しい。
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