2011年1月22日土曜日

ソーシャル・ネットワーク/NARIZO映画レビュー

世界最大となったSNS“Facebook”を作ったマーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、かつての親友であり共同創立者だったエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)とウィンクルボス兄弟との間で、それぞれ大きな訴訟を抱えていた。ハーバードの学生時代。
ガールフレンドのエリカ(ルーニー・マーラ)と別れた晩に腹いせと悪戯心でマークが立ち上げたサイト“フェイスマッシュ”はハーバード中の女子学生たちの写真を並べてランク付けするというものだった。そして、それが全ての始まりだった。


監督は「セブン」のデヴィッド・フィンチャー。彼が今回題材に選んだのは、世界最大のSNSの創業者で史上最年少で億万長者の仲間入りを果たしたマーク・ザッカーバーグのエピソード。登場するのも実在の人物たちだ。
ここで誤解する人も居るかもしれないが、これは、IT業界やインターネットサービスについて描いた作品ではない。まだ若く未熟さを残しながら、僅か数年で成功の階段を駆け上がった青年の苦悩を描いたドラマだ。
むしろ、“Facebook”やSNSについて何も知らなかったとしてもこの映画は楽しめるものになっている。

作品は終始これまで見たことの無いテンションで貫かれ、早口で膨大な量の台詞が飛び交う。その殆どのシーンは会話で、画的に興奮させるようなアクションは殆ど何も無いにもかかわらず、そのテンポに飲み込まれた観客は、あたかもその場に居合わせたかのような興奮を体験するコトになる。
まさに新しいアイディアが形になり、サービスとして成長していく過程の熱量が描かれる。
しかし、その反面の虚しさ、孤独も同じくらい強く描かれ、リアルで見応えある人間ドラマが展開する。
この辺り、デヴィッド・フィンチャーの卓越した演出センスが冴え渡っている。

若くして成功をおさめ、富を手中にし、世界最大のソーシャルネットワークを築いたはずのマークが、実は誰よりも友達が少なく、孤独で、全く幸せそうに見えない...真実はともかくとして、この作品の彼は一貫して孤独だ。
変化と成長の過程で何かを見失い、置いてきてしまったかのような、虚しさと寂しさで溢れている。
それが何なのか、一番、美しく描かれていたのがかつて、気まずく別れたガールフレンド、エリカであり、成功者となった彼がその彼女に友達申請を送るのをためらう、そんなシーンひとつとっても、これは間違いなくネット全盛世代のほろ苦くて痛い、青春映画なのだと思う。


0 件のコメント: