2011年12月31日土曜日

宇宙人ポール/イカれた地球人とイカした宇宙人による、SF友情ロードコメディ

コミコン帰りのオタクイギリス人。
SF作家クライヴ(ニック・フロスト)とイラストレーターのグレアム(サイモン・ペッグ)は、アメリカ西部のUFOスポット巡りの最中、自動車事故に遭遇。
軍の施設から逃亡してきたという、英語ペラペラの宇宙人ポールから、ヒッチイクされる。
彼を故郷へ帰すんだ!イカれた地球人とイカした宇宙人による、SF友情ロードコメディ。


2011年を締めくくる1本として、肩の凝らない、ご機嫌馬鹿映画を選んでみました。
伝統的なビジュアルのエイリアンが、想像を超える口の悪さとナイスキャラぶりで、地球人の俳優二人以上に大活躍。ありとあらゆるSF映画をパロディにしつつも、元ネタをまったく知らない観客でも充分笑えます。

この作品は、「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」などブラックでシニカルな笑いに定評のある、サイモン・ペッグとニック・フロストが主演と脚本を務めた、びっくりするくらい何も残らない馬鹿映画。
でも、最後にはとても愛おしくなってしまう程にポールが魅力的なので、 女子受けも間違いなし(笑)。
見終えたら、少しだけ幸せなキモチになれちゃいます。


あと、殆ど出オチのシガニー・ウィーヴァーね。
意外と豪華です。


2011年12月25日日曜日

ワイルド7/70年代のバイカーファッションがスゲェ違和感

毒をもって毒を制す。
凶悪犯罪者を抹殺するために飛葉大陸(瑛太)ら選りすぐられた犯罪者たち7人で構成された、超法規的警察組織“ワイルド7”の活躍を描く。70年代に生まれた望月三起也の漫画を映画化。


 飛葉大陸(瑛太)、セカイ(椎名桔平)、パイロウ(丸山隆平)、ソックス(阿部力)、オヤブン(宇梶剛士)、ヘボピー(平山祐介)、B・B・Q(松本実)。彼らの指揮官、草波警視正に(中井貴一)と、偉くバラエティに富んだ配役で、「海猿」シリーズの羽住英一郎監督が、70年代の人気漫画「ワイルド7」を舞台を現代に移して映画化。

初めてこの作品の存在を知ったのは、仕事で出入りしている日テレさんの廊下に貼られた、ポスター。
後述するけど、このポスターから匂い立つ芳ばしい馬鹿映画の薫りに誘われて劇場へ行ってきました。
しかも、これ、シネコンを意識した邦画製作事業をコツコツやって日テレと組むことが多いワーナー配給なのね。(最近だと「デス・ノート」もこの座組だったよね)

最初に言っておくと、この作品を楽しめるかどうかは、現代を舞台にしているのに原作を引き摺って70年代を彷彿とさせる「ワイルド7」達のバイカーファッションや、なんとなくチグハグな配役に覚える違和感を笑ってやり過ごせるかどうかに懸かっている(笑)。
40年以上前のバイオレンス漫画を映画化するという時点で、ある程度の無理は想像つくわけだけど、ワーナーが本国で製作している「バットマン」みたいに、古い原作を現代に蘇らせるにあたって、キャラクターやビジュアルを今風に一新して、再生させる方法論もあったはず。
しかし、キービジュアルにもなっている瑛太の革ジャンに赤いスカーフという出で立ちのサマにならなさに代表されるように、この映画は見ているこっが気恥ずかしくなってしまうカワイイ・イケてなさに溢れている。でも、嫌いじゃないよ。愛すべき馬鹿映画なんだ。

アクションに関しては、現代版「西部警察」(これも古いね。古いけど、ホント、そんな感じ。)みたいだった。ロケ地の北九州市が色々協力して、市街地や道路を使ったライヴのモーターアクションを荒唐無稽に繰り広げ、撃ちまくる。
洋画なら市街地の激しいアクションシーンなんて珍しくも無いわけだけど、都内だったら絶対無理なシーンがかなり出てきて、映画に協力的なんだな北九州市は...と、本編と関係ないところで妙に感心させられた。

まぁ、やはり致命的なのは、ただでさえ線の細い主演の瑛太がナイーヴに見え過ぎるコトと、バイクがまるで似合わないコトなんじゃなかろうか。ファッション含めて。
一応、ヒロイン的に深田恭子も出てきて、(でも、やっぱりバイクとかバイカーファッションは似合ってない)続編作る気満々のラストへ突っ走っていくわけだけど、ゴメン。続きが商業的に成立する気が全然しない。
個人的には記者役の本仮屋ユイカの方が全然良かったんで、彼女はもう少し見たかったんだけどね(笑)。


2011年12月18日日曜日

突っ込みどころ満載/ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル

核戦争による世界の再生を信じるテロリストの手掛かりを追って、ロシアのクレムリンに潜入したイーサン・ハント(トム・クルーズ)とそのチーム。しかし、直後にクレムリンは爆破された。
ロシア側はこの攻撃をアメリカのスパイ組織によるものと断定。イーサンの所属するIMFは解体され、ロシアで長官も暗殺されてしまう。
国と組織の後ろ盾を失い、容疑を掛けられたイーサンは逃亡。黒幕を追い詰め、核テロを未然に防ぐことは出来るのか!

冷戦崩壊後のスパイシリーズとして、すっかりお馴染みになったミッション:インポッシブルの最新作。
毎度、気鋭の監督が起用されるこのシリーズの今回の監督は、「アイアンジャイアント」とか「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」など、ファミリー系のアニメばかり撮ってきたブラッド・バードってコトで、どんなになるのかまるで予測がつかなかったが、予告編の時点でクレムリンが爆発しているど派手映像を見て、これは見るしかないなとニヤニヤしてしまった俺。
中身は、突っ込みどころ満載ながらも楽しめる一級のアクション映画に仕上がっている。

正直なところストーリーの起伏や、気の抜けない展開、どんでん返しの面白さ等、どっと疲れるテンションで一気に走り抜けたJ・J・エイブラムス監督の前作「M:i-3」には遠く及ばない気がしたが、ドバイにある高さ世界一の超高層ビル、ブルジュ・ハリファでのスタントとか、砂嵐の中でのアクション、立体駐車場での乱闘シーンなど視覚的な面白さは、流石、このシリーズ。全く飽きさせない。

トム様が走り、トム様が跳び、トム様が撃つ、トム・クルーズ全開のノリからも完全に決別していて、前作同様チームワークで窮地を潜り抜けていく展開も、気に入っているところ。
孤立無援の追い込まれ感を然程、感じないヌルさは何とかして欲しいが、前作が面白かっただけに、脚本のしょうもなさが、ちと気になる。
それでも、このシーズンでスカッとしたアクションを見たければ、やはり外せない作品なんじゃないだろうか。
俺は、これを見て前作「M:i-3」のDVDを棚から掘り返してもう一度見返してみたくなった。
やっぱ、前作は凄まじかったね。

2011年12月11日日曜日

リアル・スティール/ロボットもいいけどキャストが最高

人間の戦うボクシングの時代は終わり、高性能のロボットたちが死闘を繰り広げる“ロボット格闘技”が盛んに行われている2020年。
生きる場所を失ったプロボクサー崩れのチャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)は、ロボット格闘技のプロモーターとして業界に何とかしがみ付いているものの連戦連敗でロボットは屑鉄状態。資金は尽き、どん底のすさんだ生活を送っている。
そんな折、赤ん坊の時に別れたきりの息子マックス(ダコタ・ゴヨ)が最愛の母を亡くして目の前に現れる。
最悪の親子関係の始まり。しかし、旧式ロボット「Atom」をゴミ集積場で掘り起こしたことを切っ掛けに、チャーリーは、親子の絆とすさんだ生活から決別して戦う勇気を徐々に取り戻していく。


糞野郎が、実の息子と再会し絆を取り戻す不恰好な「家族愛」の映画であり、スポ根要素も入ったアクション映画であり、何といってもロボット映画。
監督は「ナイトミュージアム」のショーン・レヴィという事で、色んな要素を欲張って入れた割に、馬鹿がつくほど単純明快で気持ちいいテンポに仕上げてくるのはお手のもの。
子供からオトナまで見る人を選ばずに楽しませてくれる正月映画にピッタリのエンタテインメントだ。

当然だけどロボットのアクションシーンは、本当にそこにそれが居て戦っている様に見える。CG技術と役者の演技は、違和感を感じさせることは無いし、ロボット同士の格闘技は試合形式で進行するから、はるかに「トランスフォーマー」なんかよりも見ていて解りやすく、感情移入できる。
言ってしまえば極めてアニメ的なロボット格闘技を実写で見せて、容易に予測可能な親子のドラマで構成した映画。これが安い印象で終わらなかった最大の功績は、素晴らしいキャスト陣の演技にありそうだ。
とんでもない糞野郎でも、愛すべきキャラクターに変えてしまうヒュー・ジャックマンの魅力は光っているし、子役のダコタ・ゴヨもいちいち可愛くてしかも、演技派。
決して派手ではないけど、母性を感じさせるヒロインのエヴァンジェリン・リリーも素敵だ。
そして、別に喋るわけじゃないし、プログラム通りに動く設定でしかないにも関わらず、あたかも感情があるかのようにロボット「Atom」を描く演出も良かった。

とにかく試合シーンは、テション上がるので、難しいコト言わずに、子供に戻って楽しもう。


2011年12月3日土曜日

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密/まだ、終わって無かったよ、スピルバーグは!

少年タンタンが購入した古い帆船の模型。その模型は、17世紀に海上で財宝とともに忽然と消えたといわれる伝説の“ユニコーン号”だった。
模型のマストに隠されていたのは、暗号が記された羊皮紙の巻物。だがその直後から、彼は正体不明の男たちに狙われることに。


全世界80か国語で翻訳され、2億部以上もの売り上げを記録するベルギー生まれの人気コミックとか、そういう商業的売り文句が踊ってはいても、そもそもこのキャラクターのことは、たいして知らなかった。
それだけに正直なところ、俺は全く期待していなかった(笑)。

超話題作でなければ、先ず見ることは無かった気がするけど、それだけに今回は言っておきたい。
騙されたと思って、3Dでこれは、絶対見るべき作品だ。
と言うのも、俺の中でスティーヴン・スピルバーグ監督作品して10年ぶりくらいに、「面白い」と思えた作品だったから。
期待していなかっただけに、その喜びや驚きも大きいのかもしれないが、3Dアニメーションに表現の手法が変わってはいるものの、その展開やアクションシーン、演出は、懐かしの「レイダース」とか、「インディ・ジョーンズ」のシリーズを彷彿とさせるものがあってニヤニヤ出来るし、久しぶりに、躍動感のあるワクワクな冒険活劇を見せてくれる。

ライヴアクションで培われた、演出テクニックが持ち込まれたCG冒険活劇は、アニメであるが故の利点としてカメラアングルや舞台に制約を受けることが無く、その上、全部CGだから3Dの効果も発揮し易いわけで、新しいアニメーション映画の可能性をビンビン感じた。

ストーリーは、スピルバーグの冒険活劇らしく、お子様も安心して楽しめる無害なものになっていて、続編作る気満々で終わっている。
個人的には、この話の続きよりも別エピソードを見てみたいのだけど、兎に角、期待できる新しいシリーズがスピルバーグ監督作品として公開されたのは喜ばしい限り。
父ちゃん、まだ、終わって無かったよ、スピルバーグは。

俺の周囲も「えっ?タンタン?」って感じで、興味もなさそうだし、テンション全然上がってないけど、これ、子供に戻って楽しめる作品として、オススメ。

インモータルズ神々の戦い/ミッキー・ロークが全てをもっていった

古代ギリシア。
残忍な征服者ハイペリオン(ミッキー・ローク)はオリンポスの神が造った武器“エピロスの弓”を捜し求めギリシアの地を侵攻していく。彼の目的は、封印されていた闇の神「タイタン族」を解放すること。
ハイペリオンの野望を阻止すべく、オリンポスの神の頂点に立つゼウス(ルーク・エヴァンス)が選び出したのは、自らが鍛え上げた人間、テセウス(ヘンリー・カヴィル)だった。


ターセム・シン監督のダーク・ファンタジー。神と人間の距離が近かった古代ギリシャ時代を舞台に、子供(人間)の喧嘩に親(神)が出て(笑)収拾のつかない闘いが繰り広げられていく。
兎に角、派手なアクションシーンと劇画調の演出が目を惹く。
「ザ・セル」(この監督のデビュー作)の頃からずっとこの監督の作品で衣装を担当している石岡瑛子によるユニークなコスチュームの数々も、邪悪だったり、呪術的だったり、キンピカだったりで、作品の世界観に貢献している。
でも、俺にとって最大の見所になったのは、名作「スラムドッグ$ミリオネア」で運命の恋人ラティカを演じていたインド出身、美貌のエキゾチック女優フリーダ・ピントが巫女パイドラという重要な役で登場すること。これは見る前には知らなかっただけに、大収穫だった。3Dで見れば、彼女も画面から飛び出してくるわけで、もう、これだけでも個人的には満足(笑)。
あとは、やはりミッキー・ロークだろう。いかに神々の絶大な力がCGで派手に繰り広げられようと、ミッキー・ロークのイカレ狂人キャラクター振りの前には無力。
映画が終われば、ミッキー・ロークとフリーダ・ピント以外の出演者のコトを俺は何も思い出せないくらい。
あのオヤヂは他の出演者が哀れになるくらい、美味しいところをすべて持っていってしまった。
まさにこの作品は、悪役ミッキー・ローク色なので、イカレオヤヂのファンは、絶対劇場で見るべきだ。

痛そうなシーンが多く、爽快さとは無縁。スタイリッシュで、残酷でマッチョに古代の肉弾戦的な戦いが延々と描かれる。製作チームは「300」のメンバーらしいが、今回は神々まで出てきて「300」に輪を掛けたワルノリが繰り広げられているので、あの手の作品が嫌いなら、絶対にオススメできない。
一方、あのノリが好きだったら、終わっちゃう前に出来れば3Dで是非、見てみていただきたい。(笑)