2009年4月27日月曜日

スラムドッグミリオネア/NARIZO映画レビュー

巨額の賞金が懸かったクイズ番組に出場したスラム街出身の少年ジャマール。
周囲の予想に反して正解を連発した彼は、不正を疑われて警察に拘束されてしまう。
何故、スラム育ちでろくに教育も受けていない彼が、次々と難問に答えられたのか...彼の口から語られたのはスラムを生き抜き走り抜けてきた驚愕の半生だった。


アカデミー賞8部門をことごとく掻っ攫った話題作。土日は半端じゃない混み具合で、断念。
とうとう、会社帰りのレイトショーで、そんな話題作「スラムドッグ$ミリオネア」を見てきた。

冒頭から、完全にヤラレタ。
眩暈のするような路地を必死に駆ける少年達。灼熱を感じさせる映像。人々の熱気。暑い!熱い!
先ず、インドのスラムから立ち昇る「生」のパワーに圧倒される。
そしてダニー・ボイルらしくカメラは疾走。観客は何時の間にかムンバイの路上に連れ去られた気分だ。
完璧な導入部じゃないか。

スラム育ちの少年は、学校とは違う形で様々な知識を過酷な人生から学んでいく。
悲惨でも、理不尽でも決して諦めないハングリーさ。そこに悲壮感は微塵も無い。
街自体の生命力。生きることに懸命だからこそ、一途で正直な少年の生き様。
何処と無く忘れかけてしまっていた色んなものを思い出させてくれる熱気と力に溢れた作品である。

そして今年は、このインド人しか出てこないイギリス映画がアカデミー賞を総なめにした。
凄いことだが、この作品の凄さはその栄誉を称えられて余りあるほどのものなのだ。

無学なスラム街の少年がクイズに勝ち進んで一躍、注目を浴びる存在になる。
ストーリーはまるで、オトナのおとぎ話だ。
しかし、リアルな描写と作品全体に流れるとてつもない生命力が、ストーリーに真実味を加えている。

彼の目的はカネではなく愛を貫くこと。
これは、貧しくても高潔な魂と、愛の物語なのだ。

人生は悲喜こもごも、貧富の差は大きく、益々過酷だ。それでも希望を捨てなければチャンスはある。
そういう前向きなメッセージを放つのに、インドは最高の舞台だった。

そして突如、踊りまくりのエンドクレジットは、ああ...インド映画っぽい底抜けの明るさ。
ホント、元気をもらえるエンタテインメントでした。

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