2010年12月11日土曜日

SPACE BATTLESHIP ヤマト/NRIZO映画レビュー

2194年、外宇宙に現れた正体不明の敵ガミラスが、地球に向けて遊星爆弾を投下。人類の大半は死滅。大気は放射能に覆われ、地球は赤茶けた星と化し、僅かに生き残った人類は地下都市へ避難して生活していた。
最後の地球防衛艦隊が、冥王星空域でのガミラス宇宙艦隊との交戦で壊滅し、地球の希望は絶たれたかに見えたが、14万8千光年先にある惑星イスカンダルからの通信カプセルが地球に落下。そのカプセルから、イスカンダルの高い科学技術が産み出した波動エンジンの設計書を手に入れた人類は、その星に放射能除去装置があると確信。最期に残された宇宙戦艦ヤマトに波動エンジンを搭載し、イスカンダルを目指して地球を出発するのだった。





監督は、「リターナー」や「ALWAYS」の山崎 貴。という事は、VFXは彼が所属する白組で、制作プロダクションはROBOT。彼らが本格的にSF映画に戻ってくるというのは、非常に楽しみなことではあったし、それが事もあろうに「ヤマト」なわけだから、かなり前から俺の周りでも話題に上っていた。
気になるキャスティングが古代進=木村拓哉で、森雪=黒木メイサだと知ったときは、ちょっとした不安を覚えつつ、その一方、予告編を見て沖田艦長(山崎努)がイメージ通りに見えたりもして、色んな意味で気にならずにはいられない作品だった。

これだけの名作を実写化したわけだから、どう転んでも批判する人は出てくるだろうが、これはもう、アニメとは完全に別物と考えて鑑賞すべき作品だと思う。
事実、宿敵ガミラスは帝国でもないし、あの青い顔のデスラー総統も出てこないあたりで、子供の頃再放送を夢中になってみていた記憶のある、あの「ヤマト」ではない。
オトナの映画にしようとしたのか、現代風にするための手段だったのか、えらく概念的な存在としてガミラスやイスカンダルを再定義してしまったために、ヤマトが対峙しているものの存在を判り辛く、ぼんやりしたものにしてしまった脚本が不満だった俺。ちなみに、脚本は山崎監督の奥さんで映画監督の佐藤嗣麻子氏。
もっと、別の人だったらどんな風に描いただろうと、思わずには居られない(笑)。
明確な敵、目的、そこに向かって突き進む、ヤマトと乗員たちの物語を期待して見ると、物足りない作品だった。

キャスティングは端役も含めて豪華。柳葉敏郎や緒形直人、池内博之、高島礼子、西田敏行...。時間の問題もあるんだろうが、乗員たちの物語もあまり描けて居ないので、いまいち、活かしきれず宝の持ち腐れのように終わってしまった。
いつも一升瓶を抱えてる軍医の佐渡先生が高島礼子とか、意外性の部分も含めて面白かったのにホント、残念。

138分はこの手の映画としてはかなり、長い尺だけど、見ている限り時計が気になったりはしなかった。
しかし、ストーリーやキャラクターに関心が深まらず、ぺらっぺらに薄い作品になってしまった辺り、なんだかもどかしい。
それでも、常にカッコいいと思った映画にオマージュを捧げるように自作にエッセンスを借りてくる山崎監督の遊びココロは健在で、アナライザーがR2-D2の様に活躍したり、挙句、巨大ロボ化したり、ラストは「アルマゲドン」だったりで、突っ込み甲斐は満載。
実はキムタクが黒木メイサに破動砲を撃っていた...とか、シモネタ的にも、もう堪らないね。
終映後も尽きない話題を提供してくれる作品であることは確か(爆)。

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