2011年6月19日日曜日

吸い上げるだけじゃなくて惹き込ませてくれ/スカイライン 征服

ロス上空から降り注ぐ青い閃光。吸い上げられる人間たち。空を覆う巨大な飛行物体。それは人類絶望の3日間の始まりに過ぎなかった。

人間が吸い上げられる...何のために?って、展開のユニークさはあれど、巨大な飛行物体も、ぬるぬるしたエイリアンも、何処かで見たようなヴィジュアルで真新しさは殆ど無い。
地上を高速で動き回る巨大生物なんて、まるでウ○コみたいな印象だったけど、大丈夫か?(笑)

しかし、美女がいて、水着シーンもあるし、圧倒的な宇宙生物と斧で戦おうとしたり、実は家族を守るというテーマがあったりと、もう少しやりようによっては、面白く出来たであろう要素が散りばめられていただけに、終わってみればコンピューターゲームのCGムービー部分を1時間半も見せられた様な気になるこの作品の仕上がりが残念で仕方ない。
どうせなら、「クローバー・フィールド」もどきではなく、愛せるB級映画であってほしかった。
あの手の作品は、初めてだから斬新なのだ。いまさらやられた所で、とても見られたものじゃない。

そしてラストのあの消化不良な感じ。
「第9地区」みたいな斬新な宇宙人映画を目指したのだろうか。
もう、全然、意図が解せずに残尿感が残った。
この手のSFアクションで、半端なことはしないで欲しいね。続きがあっても見る気がしない。
こんな画を作りたかったぜ、低予算でも作れるぜ、凄いだろってのは充分伝わってきたんだが、もう少し、まともな脚本とか、アイディアがあれば、吸い上げるだけじゃなくて、ちゃんと観客が惹き込まれるSFに出来たかもしれない。




127時間/面白おかしく生きてる男が初めて「生」と向かい合う感動作

陽気で自信家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、その週末も自分の庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで一人、ロッククライミングを楽しんでいた。
そんな彼を突然、落石が襲い、右腕を挟まれた彼は谷底から一歩も動けなくなってしまう。
あらゆる手を尽くして岩を撤去しようとするが、ガッチリと挟まった岩はピクリとも動かず、助けが来るあても無い。死をも覚悟した彼は、極限の状態で初めて、今まで省みることが無かった自分の人生と向き合い、生きる事への執着に目覚めるのだった。そして127時間後の彼の決断とは...。


 ロッククライミングこそしないものの、深く物事を考えることなく、毎日面白おかしく生きているアーロンの姿に、思わず自分が重なった。(笑)
実話を基に「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督が極限の状態に追い込まれた青年の苦悩と、再生を描くこの作品。劇中の殆どのシーンは、主人公が岩に挟まれた状態で進行。回想と後悔と妄想とが入り混じったアーロンの心象風景が、監督お得意のテクニカルな映像手法とテンポのよい編集で畳み込まれるように展開する。
ただ、片腕が挟まっているだけの退屈な画に終わることなく、観客は、アーロンとともに彼の人生を見つめ直す。そして大切なものに気付くプロセスを共有することになる。

谷底にひと時注ぐ暖かい陽射し。遠くに開けた青い空。キモチよさそうに飛翔する鳥。
しかしそれは、美しいだけでなく絶望的なまでに自由への遠さを感じさせる。
次第に湧き上がる「生への執着」。
ポジティヴに、諦めることなく、彼が選択した手段は、死を待つことではなく、片腕を落としてでも生きることだった。


リアリティいっぱいの切断シーンは、映像の衝撃度以上に観客に「痛み」を共感させる。

まさに極限状態を共感する「127時間」。それを印象付けるのはポジティヴさだった。
彼が失ったものと引き換えに得た「生」への喜びにテンションが上がりつつ、エンドロール。
俺まで歓喜して、ちょっと目頭が熱くなった。

よし!
俺も明日からの生き方について、少し毎日を大事に考えてみよう。
いや、今までもそのつもりだったけど、それ以上に。

しかし、なんだろう。
時間が経つにつれ、痛そうだった切断シーンのインパクトしか思い出せなくなってくる。
あれれ...どんな映画だったんだっけ?(笑)


2011年6月13日月曜日

最大の見所は、素人のオヤヂ主役で1本撮ってしまったこと/さや侍

無断で脱藩し、追われる身となった野見勘十郎(野見隆明)は、一人娘のたえ(熊田聖亜)と共に幾度と無く殺し屋に命を狙われつつも流浪の旅を続けていた。
ある日遂に多幸藩の追っ手によって捕らえられた野見勘十郎。
そして殿様(國村隼)が勘十郎に処したのは「三十日の業」。
それは母君を失った悲しみで笑顔をなくした若君を、一日一芸で三十日の間に笑わせられたら無罪放免、できなければ切腹というものだった。


ウケない芸人が手酷い罰ゲームを喰らう。
そんなバラエティ番組にありがちな設定を時代劇に持ってきた。
乱暴に言ってしまえば、そういう代物だ。

ただし、この作品は観客の想像や期待を良くも悪くも、小さいところから大きなところまで裏切り続ける。
バラエティ番組の脱力したお笑い感覚を残しつつ、バラエティではかなわぬ表現を実現したのも事実なら、見ているこちらが恥ずかしくなるような演出をしれっとしてのけたりもしている。

ひとつの価値観に囚われた不器用な侍と、その娘の「愛情」を描くストーリーはオリジナル。
原作無き映画を制作することが、すっかり困難になった最近。その一点においては、間違いなく快作だろう。

そして最大の見所は、バラエティ番組「働くおっさん劇場」で発掘した素人の野見隆明で1本映画を撮ってしまったところ。これに尽きると思う。
不安げで余裕の無い、汚らしいオヤジが、いつしか愛おしく、ときにカッコ良くさえ思えてしまう。
まるで松本人志の分身のように感じられるシーンもあるが、しかし、松本は出なくて正解だったのかもしれない。松本には決して出せないであろう野見の表情の素晴らしさ、キャラクターの強烈さにこの作品は救われている。

2011年5月29日日曜日

ブラックスワン/生理的に痛い精神自壊映画

バレエダンサーのニナ(ナタリー・ポートマン)に、「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。
だが演出家は優等生的な彼女が得意とする純真な白鳥の女王役だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥を演じることも要求。そのプレッシャーに次第に押し潰されていく。
奔放な新人ダンサー、リリー(ミラ・クニス)が代役に選ばれたことで、さらに追い詰められたニナは、黒鳥を完成させつつも、精神的に自壊していくのだった。



「白鳥の湖」と言えば、あまりにも曲が有名なのでついつい知っている風な気になっていた俺だけど、あれ、あの話に黒い鳥なんて出てきたっけ?と不思議に思ってたら、なんと俺の頭ん中「醜いアヒルの子」と物語がゴッチャになっていた(笑)。

そんな残念な俺だけど、この作品が描くのはプレッシャーに押し潰されるプリマの話。その緊張感はバレエなんて知らなくても共感できる世界。

壊れていくナタリー・ポートマンの演技は凄い。ダンスのみならず際どいシーンも含め、かなりの体当たりだけど、確かに彼女自身の課題なのかと思っちゃうほど、どんなシーンでもあまり、官能的な感じが無い。

とにかく観客が共有させられるのは「不安感」。
縦揺れ激しい手持ちカメラが動きまくるカメラワークで冒頭から嫌な感じではあるんだが、本格的に病みはじめてからは指の付け根までササクレがめくれる妄想とか、生理的にイメージ可能な痛い描写のつるべ打ち。

観客も何が現実で何処までが妄想なのか、次第に分からなくなっていく。

とにかく、ナタリー・ポートマンの病みっぷりは半端ない。怖いくらいだ。
緊張でご飯が食べれなくなるとか、眠れなくなるとか、もうそういう次元じゃない。

黒鳥は拍手喝采で完成に向かうも、とにもかくにも破滅的。
これはこれで、デートで見ても見終えた後、ある意味話題が盛り上がりそうなレベル。
でも、スーパー・ネガティヴシンキングが主人公なだけに、自分のテンションが堕ちてるときにはこの映画、お奨めしない(笑)。

あと、ウィノナ・ライダーがすっかり年老いててビックリ。
まぁ、「レオン」に出てたナタリーがこんなに大人になるんだから、当然だけどね。


2011年5月21日土曜日

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉 /NARIZO映画レビュー

永遠の生命をもたらすという伝説の“生命の泉”をめぐり、キャプテン・ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)と史上最恐の海賊“黒ひげ”(イアン・マクシェーン)と、かつての恋人、女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)、英国海軍に寝返った宿敵バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)さらにはスペイン国王までが乗り出して、激しい争奪戦が繰り広げられる。

 ジャックが3Dになって帰ってきた。前作は馬鹿映画を愛する俺といえども、全く好きになれなかった呪われた駄作。それでも、続編といわれれば思わず劇場に足が向いてしまうのは、勿論、ジョニー・デップ演じるキャプテン・ジャック・スパロウの魅力によるところが大きい。

今回も、弱い脚本ながら3Dと彼の魅力でこれをカバー。前作に比べれば、はるかに楽しめる娯楽作品になっている。
特筆すべきは、人魚役で登場するスーパーモデルのアストリッド・ベルジェ=フリスベの美しさ。
俺は、高いこの3Dの映画チケット代の半分は彼女に、もう半分はジョニー・デップに捧げるね。(笑)


2011年5月19日木曜日

「岳 ガク」 小栗旬の当たり役! /NARIZO映画レビュー

世界中の巨峰を登り歩いてきた島崎三歩(小栗旬)は、北アルプスの山岳救助ボランティアをしながら山で生活する変わり者。北部警察署山岳救助隊の隊長・野田正人(佐々木蔵之介)を先輩として慕いつつ、遭難者の救助に手を貸している。そんな中、山岳救助隊に配属されたばかりの新人、椎名久美(長澤まさみ)は、能天気にさえ見える三歩の姿勢に反感を覚えつつも、遭難救助を通じて多くを学び、成長していくのだった。
ある日、北アルプスを爆弾低気圧が襲い、多重遭難が発生。雪山の脅威を前に、久美や三歩は果たして遭難者を救えるのか!


俺は山に登らないんだけど、山好きの呑み友達があまりに絶賛だったので、鑑賞。
確かに美しい空撮シーンの数々や、雲の上の頂、一面に広がる澄んだ空と広大なパノラマには目を見張るものがあった。

主人公の三歩を演じるのは小栗旬。
どんなに過酷な状況でも、どポジティヴに天然な雰囲気を発しつつ、冷静な判断力と、熱い情熱を秘めたこのキャラクターを好演。今後、当たり役として演じ続けていくことになりそうな予感漂う魅力的な演技に、心掴まれた。しかも、なんと彼、高所恐怖症だったらしい。

物語は、自然の美しさ、恐ろしさを淡々と描く。
遭難した人が亡くなる描写も多く、単に「ヒーローの映画」にはなっていない厳しさがある。
そんな中で、全く何で生計を立てているのか判らない三歩の存在には興味をかき立てられるものがあり、原作の漫画を読んでみたくなった。
そう。この作品は、映画を見て原作を読みたくなる効果を生んでいるのだ。珍しいことに。(笑)

しかし、なにより実はこの作品で一番、俺が気になったのは長澤まさみの熱演。
雪山なので、もこもこに厚着だし、彼女の役柄は恋愛するというより成長するところに重点を置かれたキャラクターだから、女優さんが美しく華麗にスクリーンを彩るようなシーンは皆無と言って良い。
しかし、泥まみれになりながら、必死で成長しようとするその姿もまた、実に魅力的だった。

山の美しさと恐ろしさ、その両面を描いて「山へおいでよ」と語りかけてくるこの作品。
しかし、山はやっぱり相当のココロの準備と装備が必要なのね。と、登山への心理的ハードルが、これのせいでまた、一段上がった気がする。
この景色の続きは、映画第2弾で味わいたい。


2011年4月17日日曜日

セーラー服に日本刀 ! アニメ的ヴィジュアルの洪水/エンジェルウォーズ

養父の陰謀で精神病院に送られたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、想像の世界の中で自由を求めて戦うことを決心する。
彼女はそこでロケット(ジェナ・マローン)、ブロンディー(ヴァネッサ・ハジェンズ)、アンバー(ジェイミー・チャン)、スイートピー(アビー・コーニッシュ)らと出会い、ワイズマン(スコット・グレン)の援助を受け、自由を求めて、サムライや悪魔が襲いかかる幻想的想像世界の中の戦いに挑んでいく。
戦いに勝利して自由を勝ち取ることを夢見て。


「300(スリーハンドレッド)」のザック・スナイダー監督初のオリジナル作品は、まさに精神病院で繰り広げられるセクシーでバイオレンスな「不思議な国のアリス」だ。
現実逃避のように見える想像世界の中で、ベイビードール率いる少女たちは戦い、希望を見出そうとする。

ブロンド女子+セーラー服+日本刀(笑) まさに日本のサブカルチャー、アニメ的な虚構世界をザック・スナイダー仕込のバイオレンスとヴィジュアルの洪水で、料理した、混沌としたエンタテインメント。
そして主演のエミリー・ブラウニング、ジェナ・マローン、ェイミー・チャン...みんなそろってエロ可愛い!

現実と虚構が入り乱れ、皮肉が利いていて、到底ハッピーエンドとは言い難い、ハリウッドのメジャースタジオが喜ばなさそうな陰鬱なテーマを、幻想世界だから何でもありとばかりに、ど派手に破壊しまくり、セクシー美女に大暴れさせる事でエンタテインメントにしてしまった強引な作品。

真新しさは無いものの、アニメ的構図で実写化されたアクションを見るのは、非常に楽しい。
俺はこっちのダークな「不思議な国のアリス」の方がディズニー製より好きだった。

しかし、原題の「SUCKER PUNCH」がどうして「エンジェルウォーズ」なんだか。
これじゃ、まるでレンタルの片隅に置いてあるビデオストレートのB級映画みたいじゃないか。
その路線ギリギリの作品として確信犯でタイトルつけてたりして(笑)。

それから、殆どの上映館が何故か日本語吹き替え版。
幸い俺は、品川プリンスシネマが近いから、字幕版で鑑賞できたけど、ブロンドのセーラー服が日本刀持って暴れる作品が吹き替えなんて、どこまでもアニメ的過ぎる。

子供向け作品ではないので、絶対にオトナを意識して編成されているものと思われるんだけど、これはアニメファンに、アニメ的に見て欲しいというワーナーの狙いだったりするんだろうか?(笑)。