2011年6月19日日曜日

127時間/面白おかしく生きてる男が初めて「生」と向かい合う感動作

陽気で自信家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、その週末も自分の庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで一人、ロッククライミングを楽しんでいた。
そんな彼を突然、落石が襲い、右腕を挟まれた彼は谷底から一歩も動けなくなってしまう。
あらゆる手を尽くして岩を撤去しようとするが、ガッチリと挟まった岩はピクリとも動かず、助けが来るあても無い。死をも覚悟した彼は、極限の状態で初めて、今まで省みることが無かった自分の人生と向き合い、生きる事への執着に目覚めるのだった。そして127時間後の彼の決断とは...。


 ロッククライミングこそしないものの、深く物事を考えることなく、毎日面白おかしく生きているアーロンの姿に、思わず自分が重なった。(笑)
実話を基に「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督が極限の状態に追い込まれた青年の苦悩と、再生を描くこの作品。劇中の殆どのシーンは、主人公が岩に挟まれた状態で進行。回想と後悔と妄想とが入り混じったアーロンの心象風景が、監督お得意のテクニカルな映像手法とテンポのよい編集で畳み込まれるように展開する。
ただ、片腕が挟まっているだけの退屈な画に終わることなく、観客は、アーロンとともに彼の人生を見つめ直す。そして大切なものに気付くプロセスを共有することになる。

谷底にひと時注ぐ暖かい陽射し。遠くに開けた青い空。キモチよさそうに飛翔する鳥。
しかしそれは、美しいだけでなく絶望的なまでに自由への遠さを感じさせる。
次第に湧き上がる「生への執着」。
ポジティヴに、諦めることなく、彼が選択した手段は、死を待つことではなく、片腕を落としてでも生きることだった。


リアリティいっぱいの切断シーンは、映像の衝撃度以上に観客に「痛み」を共感させる。

まさに極限状態を共感する「127時間」。それを印象付けるのはポジティヴさだった。
彼が失ったものと引き換えに得た「生」への喜びにテンションが上がりつつ、エンドロール。
俺まで歓喜して、ちょっと目頭が熱くなった。

よし!
俺も明日からの生き方について、少し毎日を大事に考えてみよう。
いや、今までもそのつもりだったけど、それ以上に。

しかし、なんだろう。
時間が経つにつれ、痛そうだった切断シーンのインパクトしか思い出せなくなってくる。
あれれ...どんな映画だったんだっけ?(笑)


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