2009年5月17日日曜日

天使と悪魔/NARIZO映画レビュー

かつて、教会に弾圧された科学者達が結成したとされる秘密結社イルミナティ。新たなローマ教皇を選ぶための教皇選挙を控えたバチカンで、4人の有力候補の聖職者が誘拐され、その殺害が予告された。更には研究室から盗み出され、バチカンはおろか、ローマさえも破壊しつくす威力を持つ「反物質」による、爆破計画も明らかに!! バチカンから事件解決の協力を依頼されたラングドン教授は、事件に隠されたメッセージからイルミナティの復活を確信する。

2006年に公開されて、話題になった宗教ミステリー「ダ・ヴィンチ・コード」の続編に、ロン・ハワード監督、トム・ハンクスが再び挑む。
ぶっちゃけ、複雑な原作を映像化することの難しさとか、そもそも俺にキリスト教に対する基礎知識が少なかったとか、それでもぐたっと疲れるほど長いとか、説明的な展開になりすぎて字幕を追うだけで疲れるとか、まぁ、色々な理由から、「野心作」であってもエンタテインメントとしては、評判負けに感じた前作。
アレを見て、「ぐたっ」と疲れたヒトには、「ホント?」って思われるかもしれないが、この作品のエンタテインメントとしての魅力は、前作の比ではない位、強いものになっている。
宗教的・歴史的な謎かけを施された、犯罪事件が、教皇選挙でごった返すバチカンを舞台に発生し、そこに次々とタイムリミットが設けられることで、テーマは絞られていく。スピード感も上がり、キャラクターの数も、彼らの立ち位置も非常にシンプルで明確。前作を見たことが無くても、充分楽しめる。

特に今回、非キリスト教圏の日本人にとってありがたいのは、ニュース映像や観光、旅番組なんかの浅いイメージしかないバチカンという場所に、部外者のラングドン教授の目を通して潜入する無理の少ないプロセスから徐々に作品に入っていける構成になっていること。登場する聖堂や礼拝堂の見事な美術やリアリティに溢れたCGセットにも目を見張る。そして、陰謀の意外な真相が明らかになるあたりも、最後にきてやや拙速に感じる部分は残念だけど、全体的には極めて満足度の高い見応えのあるサスペンス・ミステリーだった。


今回、原作は未読だけど、確実に前作よりも映画向きの題材だったんじゃなかろうか。
それから、ユアン・マクレガーが事件の鍵を握る聖職者を演じているのを見て、改めていい役者だなぁ...と思った。内容が浅かったから、何だか演技まで浅く見えた「スター・ウォーズ」なんかよりも、こういう作品でやっぱ、キャリアを築いていくべき役者さんだよねと(爆)。(まぁ、スター・ウォーズも好きだけどさ)

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