2009年9月22日火曜日

カムイ外伝/NARIZO映画レビュー

自由を求めて忍びの世界を去り、抜け忍として追われる身となったカムイ。しかし自由に「生きる」道を選んだ彼が、見つけた束の間の幸せの直ぐ近くにも、既に追手は迫っていた。

漫画家、白土三平の代表作を崔洋一監督と官藤官九郎脚本、主演が松山ケンイチで映画化。....なんだけど、これ、原作の漫画はこの際、忘れて愉しむべき作品だ。

 決してつまらなくは無いのだが、「カムイ外伝」の本来持つ、部落差別などの重めのテーマは娯楽エンタテインメントとして成立させるために、極力抑えられ、その代わりに幸せを壊しに迫り来る追忍(追っ手の忍者)との攻防を中心に描かれる。
内容的には、もう、勢いで見るしかない。悪いけど、クドカンと監督の共同脚本は、突っ込みどころ満載で、とても真剣にどんな話だったか後から振り返る気になれない。(爆)
VFXを使った忍術の数々は、「どろろ」や「GOEMON」より見られるし、役者陣も小林薫とか、佐藤浩市とか、小雪とか伊藤英明とか、ナレーションなんて山崎努だし、何故か香港のイーキン・チェンまで出てきて、中々豪華ではあるんだけどね。

印象に残ってるのは、ロケ地沖縄のエメラルドの海(とっても違和感)と、何故か鮫を殺すシーンばかり連続した事と、釣りの道具作りが目当てならどの馬でも良かったろうに、敢えて殿様の愛馬の足を切りに行った漁民役の小林薫の不可解さとか、両腕を切られた伊藤英明が直後から急に巨乳になったことなど、いずれも馬鹿映画的笑いどころばかり。

特に最後のは、あれだけCGIの制作協力会社がクレジットされていたわけだから、ちゃんとCGで処理しとけばいいのにと思わずには居られない。
それか、胸元に隠した役者の手をもう少しきつく、サラシで巻いとけ!でも、巨乳の伊藤英明が笑えたから、俺はこの作品を馬鹿映画ファンに薦めて回ろうと思う。

どうしてこうなっちゃったのか、しかも、まだ続きを作るつもり満々の終わり方で、「カムイ外伝」...ある意味、最高です。

2009年9月21日月曜日

レコメンドカードごっこ

書店員の手書きポップごっこができてしまうという、その名もPOP itというサービス。
実はその昔、レコード業界に居たときはレコード店向けのコメントカードを作るような仕事もやっていた俺。
久々に、そんなのが懐かしくなって遊んでみました。
この「POP it」は、たった3行と言う制約の中で、商品の核心を伝えるコメントが書けるかが命なワケですが、どうでしょう?伝わりました?(爆)









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2009年9月19日土曜日

火天の城/NARIZO映画レビュー

天正4年、熱田の宮番匠・岡部又右衛門は、織田信長から安土に山一つ丸ごと全てを城郭とした五重の城の建設を命じられる。
又右衛門は即座にその命を即座に引き受けるが、城造りを指揮する総棟梁の座を名だたる番匠たちと競うことになってしまう。総棟梁の座を掴むため、城の図面作りに没頭する又右衛門と一門。
伝説の名城 安土城築城を成し遂げた男達、女たちのドラマ。




これは言うなれば戦国の「プロジェクトX」。
当時としては史上最大級の巨大建築プロジェクトを命じた男、信長とそれに応えた宮番匠の一門の物語。
本編2時間19分は、最近の作品としてはかなり長い方だが、ドラマチックかといわれれば、かなり淡々と進んでしまい、ビックプロジェクトが成し遂げられた達成感をスクリーンの中と一緒に味わえるような感情移入が出来なかったのは非常に残念だった。
原作未読なんですが、原作でも突然、忍者アクションが挿入されるんですかねぇ。
ストーリーが淡白に進み過ぎるからか、唐突にアクションやらを入れたようにしか見えなかったから辛いところだった。
題材は面白いのにねぇ。
もっと、宮大工とその家族たちといった人物中心にそれこそ「プロジェクトX」の様に掘り下げていってもらったほうが映像としては良かったと思う。
完成した安土城のシークエンスに、あそこまで無感動だと、「つまらなかった」ワケではないだけに、ホント、勿体無い(爆)。

ブラッカウズ/ヤザワミートのハンバーガー店オープン

あのヤザワミートが、恵比寿に9月14日にオープンさせたハンバーガー店「ブラッカウズ(BLACOWS)」へ行って来た!
何故か、Webにもちゃんと住所や地図が記載されていないが、場所は東京都渋谷区恵比寿西2丁目11−9
になる。
写真は平日の昼時の店舗。席数は57席もあるし、バーガー店という特性上、回転も速いので、あまり待たされたりはしない。


メニューの裏には、こだわりの説明書き。



この日オーダーしたのは、アボカドバーガー(1300円)に生ビール(400円)。
他店のバーガーと比較すると見た目は小振りで、食べ易い。
お皿を見てもらっても判るとおり、上品なくらいの付けあわせなので、女子でも苦にならない量に見える。



パクっとやったところ。肉汁したたる良い感じなのに、全く重さとかしつこさを感じさせないのが凄い。
この肉はリッチだが、実にあっさりとした味わい。肉肉しいだけのハンバーガーとは一線を画している。
食べてみればもちろん、きちんと、ボリュウムはあるので、ビールまで呑んだら腹はかなり満たされる。



ヤバイね。通ってしまいそうだよ。(爆)

■ブラッカウズ
■東京都渋谷区恵比寿西2丁目11−9
■03-3477-2914
■11:00-23:00(年末年始のみ休業)

2009年9月12日土曜日

ウルヴァリン:X-MEN ZERO/NARIZO映画レビュー

驚異的な治癒能力ゆえに死ぬ事も無く、ミュータントとしての高度な戦闘能力を隠しながら、戦いに身を投じてきたローガンとビクターの兄弟。しかし、ビクターとの確執と、彼に最愛の女性を殺されたローガンは、彼を追い、敵を討つ決心をするのだった。

「X-MEN」と言えば超能力や変異体のヒーロー達が活躍するアメコミシリーズ。
正直なところ、全く面白いと思えなかった映画1作目以降、このシリーズとは距離を取っていたのだが、今回、予告編が意外にも面白そうだったことから、久々に見る気になった。
この作品は、サブタイトルにゼロが付いている事からも判るとおり、「バッドマンビギンズ」みたいに、言わばシリーズにおけるエピソードゼロにあたる話。
長寿シリーズならではの複雑な設定や、豆知識、予備知識ナシで楽しめたと言うのは、でかかった。

で、感想のほうはこれがまた、失礼ながら嬉しい誤算だった。
手堅いシナリオは、程よいスピード感の中で、アメコミを知らない客を置いていく様なこともないし、ちゃんとローガンに感情移入して見るコトが出来る。そして、ローガンが「ウルヴァリン」を名乗るようになった切っ掛けや、お馴染みの革ジャケットの由来に触れたりして、シリーズのファンを喜ばせる事も忘れていない。
近年のアメリカから来たアクション映画の中で比較すると、そこそこ以上の作品だと思うのだが、多くの日本の観客からは「Xメンでしょ?ああいうのは、いいわ。見なくても...」とかって、あっさり、選択肢から却下されそうで、なんとも残念だ。
監督は、キャヴィン・フット。初めてのアクション映画だと思うのだが、それを全く感じさせない非常にうまい演出だったと思う。
今回、製作にも名を連ねるウルヴァリン役のヒュー・ジャックマン。自分の当たり役だけに続編も作る気満々らしい。何でも、次回作は日本が出てくるとか。今から、心配だ。(爆)

ところで、ヒュー・ジャックマンは世界一セクシーな男に選ばれたコトがあるらしい。
ムキムキでギャランドゥーで鋼鉄の爪。....アメリカ人のセクシーってこういう基準なんだ。

2009年9月6日日曜日

グッド・バッド・ウィアード/NARIZO映画レビュー

清朝が滅亡の際に残したという1枚の地図を巡って、善人(賞金稼ぎ)、悪人(ギャング)、変なやつ(コソ泥)、そして日本軍もが満州を舞台に争奪戦を繰り広げる韓流マカロニウエスタン。



「ムチャクチャデイイノダ」とキャッチ・コピーで開き直っちゃうほど、無茶苦茶かつ頭空っぽで楽しめる韓国製ウエスタンムービー。
舞台を人種が入り混じる旧満州にしているあたり、実に上手い。
よってコトバも韓国語、中国語、日本語などが散りばめられている。例によって悪役の日本軍も、ちゃんと日本人が日本語で演じていたりして、はなから国外で売ること前提で作られたエンタテインメントだということが判る。キム・ジウン監督の野心作というわけだ。
このあたり、似たようなアプローチでありながら全編英語にこだわった三池監督の「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」をついつい思い出してしまった。(エンタテインメントとしては本作の方が楽しめたと思う)

アクションシーンについては、限りなくライブアクションを大切にしていて、アクション映画のファンなら喝采ものの危険度のシーンが連続する。ただし、カメラが目まぐるしく動きすぎて、たまに何がなんだか判らないのが勿体無い。

荒唐無稽なストーリーに、クールとスタイリッシュとユーモアを添えて極上のエンタテインメントに昇華させたのは、勿論、主演の大物スター3人。

ギャングのボスを演じるイ・ビョンホンは、カリスマ性と何をするかわからない危険なオーラがガンガン漂って魅せる魅せる。映画館に来ていた韓流大好きなオバチャンたちにはチョッと刺激が強すぎる程の残虐シーンもインパクト大だった。
一方、実はこの作品の実質的な主役といってもいいコソ泥を演じたソン・ガンホは、ご存知の通り二枚目とは到底いえない役者。しかし、性格俳優としての演技力の全てをこの馬鹿映画にも妥協無く注ぎ込み、最も印象に残る演技で他を圧倒。
賞金稼ぎを演じるチョン・ウソンは非常にクールだし、ガン捌きなんかはイチバン美しくて、しかもいい男なんだが....残りの二人の個性が強すぎて、やや可哀想。(特にソン・ガンホとのシーンでは美味しいところを全て彼に持っていかれた感が強い。)

話を収束させるにあたって、あのラストには、ちょっと異論の一つも唱えたくなる勿体無さがあったけど、アイディアの勝利。韓国も中国も日本もなく、盛り上がれるエンタテインメントだったと思う。

南極料理人/NARIZO映画レビュー

西村は、富士山よりも高い標高にある南極のドームふじ基地へ南極観測隊の料理人としてやってきた。
ここにあるのは雪だけ。ウイルスさえも生存できないまさに極寒の地。
それは、約1年半、8人の男たちだけで過ごす日本から14,000Km離れた南極での究極の単身赴任の始まりだった。




実際に南極に料理担当として赴任した西村淳氏の原作をインディーズで短編を撮り続けていた沖田修一監督が映画化。エピソード積み重ね型で、正直、ストーリーらしいストーリーが無い作品だし、はっきり言って物凄く地味なのだが、南極という非日常な場所に閉じ込められて1年以上も日常生活を送る個性あふれるオッサン6人が居るだけで、ひたすら愉しい。
そんな彼等の共同生活が暖かくも可笑しく描かれた本作は、大笑いしながら最後まで楽しめる作品だった。

タイトルが「南極料理人」だけに、見所は、西村(堺雅人)が、限られた食材を工夫して美味しそうな料理を作っていくプロセス。
それぞれの隊員が日本に残してきた思いや、家族。1年は長くて色々なコトが起きる。ホームシックにかかったり、離婚の危機を迎えたり、超遠距離恋愛で彼女に振られたり、それでも見渡す限りの雪原でポジティヴに共同生活を送るしかない男達の笑える姿は、ついつい応援したくなる。
そして、そんな男たちを元気にするのが、「料理」なのである。

それからこの作品は、オヤヂになろうと男はいつまでも、どこか子供、無邪気な子供だという事実を赤裸々に描く。
バリバリシゴトをするばかりじゃなく、スネたい日だって、ワガママ言いたい日だって、ある。
野郎ばかりで、長く過ごせば、NHKの体操に出てくるレオタードのお姉ちゃんのオッパイやお尻でも大盛り上がり出来る。
男しか居ない極限の地で、中学生ノリのオヤジ達。これ、凄く判る。(笑)
こういう学生ノリの共同生活が、懐かしいし、危なく羨ましくさえ感じてしまうほど、生瀬勝久や、きたろう等の脇の個性が魅力的なのだ。

それから、脇役でほんの少ししか出てこなかったのに強烈に面白かったのが嶋田久作。

西村の妻を演じた西村尚美と娘の小野花梨の二人もとってもキュートだった。
表面上は、軽口叩いてばかりだけど、実はとっても気に掛けていたり、距離が離れていても心が繋がっている素敵な家族像が、嫌味なく描かれていて、チョッと感動。

なんとものんびりした雰囲気の、ユルイ良作でした。