2009年9月6日日曜日

南極料理人/NARIZO映画レビュー

西村は、富士山よりも高い標高にある南極のドームふじ基地へ南極観測隊の料理人としてやってきた。
ここにあるのは雪だけ。ウイルスさえも生存できないまさに極寒の地。
それは、約1年半、8人の男たちだけで過ごす日本から14,000Km離れた南極での究極の単身赴任の始まりだった。




実際に南極に料理担当として赴任した西村淳氏の原作をインディーズで短編を撮り続けていた沖田修一監督が映画化。エピソード積み重ね型で、正直、ストーリーらしいストーリーが無い作品だし、はっきり言って物凄く地味なのだが、南極という非日常な場所に閉じ込められて1年以上も日常生活を送る個性あふれるオッサン6人が居るだけで、ひたすら愉しい。
そんな彼等の共同生活が暖かくも可笑しく描かれた本作は、大笑いしながら最後まで楽しめる作品だった。

タイトルが「南極料理人」だけに、見所は、西村(堺雅人)が、限られた食材を工夫して美味しそうな料理を作っていくプロセス。
それぞれの隊員が日本に残してきた思いや、家族。1年は長くて色々なコトが起きる。ホームシックにかかったり、離婚の危機を迎えたり、超遠距離恋愛で彼女に振られたり、それでも見渡す限りの雪原でポジティヴに共同生活を送るしかない男達の笑える姿は、ついつい応援したくなる。
そして、そんな男たちを元気にするのが、「料理」なのである。

それからこの作品は、オヤヂになろうと男はいつまでも、どこか子供、無邪気な子供だという事実を赤裸々に描く。
バリバリシゴトをするばかりじゃなく、スネたい日だって、ワガママ言いたい日だって、ある。
野郎ばかりで、長く過ごせば、NHKの体操に出てくるレオタードのお姉ちゃんのオッパイやお尻でも大盛り上がり出来る。
男しか居ない極限の地で、中学生ノリのオヤジ達。これ、凄く判る。(笑)
こういう学生ノリの共同生活が、懐かしいし、危なく羨ましくさえ感じてしまうほど、生瀬勝久や、きたろう等の脇の個性が魅力的なのだ。

それから、脇役でほんの少ししか出てこなかったのに強烈に面白かったのが嶋田久作。

西村の妻を演じた西村尚美と娘の小野花梨の二人もとってもキュートだった。
表面上は、軽口叩いてばかりだけど、実はとっても気に掛けていたり、距離が離れていても心が繋がっている素敵な家族像が、嫌味なく描かれていて、チョッと感動。

なんとものんびりした雰囲気の、ユルイ良作でした。

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