2009年9月6日日曜日

グッド・バッド・ウィアード/NARIZO映画レビュー

清朝が滅亡の際に残したという1枚の地図を巡って、善人(賞金稼ぎ)、悪人(ギャング)、変なやつ(コソ泥)、そして日本軍もが満州を舞台に争奪戦を繰り広げる韓流マカロニウエスタン。



「ムチャクチャデイイノダ」とキャッチ・コピーで開き直っちゃうほど、無茶苦茶かつ頭空っぽで楽しめる韓国製ウエスタンムービー。
舞台を人種が入り混じる旧満州にしているあたり、実に上手い。
よってコトバも韓国語、中国語、日本語などが散りばめられている。例によって悪役の日本軍も、ちゃんと日本人が日本語で演じていたりして、はなから国外で売ること前提で作られたエンタテインメントだということが判る。キム・ジウン監督の野心作というわけだ。
このあたり、似たようなアプローチでありながら全編英語にこだわった三池監督の「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」をついつい思い出してしまった。(エンタテインメントとしては本作の方が楽しめたと思う)

アクションシーンについては、限りなくライブアクションを大切にしていて、アクション映画のファンなら喝采ものの危険度のシーンが連続する。ただし、カメラが目まぐるしく動きすぎて、たまに何がなんだか判らないのが勿体無い。

荒唐無稽なストーリーに、クールとスタイリッシュとユーモアを添えて極上のエンタテインメントに昇華させたのは、勿論、主演の大物スター3人。

ギャングのボスを演じるイ・ビョンホンは、カリスマ性と何をするかわからない危険なオーラがガンガン漂って魅せる魅せる。映画館に来ていた韓流大好きなオバチャンたちにはチョッと刺激が強すぎる程の残虐シーンもインパクト大だった。
一方、実はこの作品の実質的な主役といってもいいコソ泥を演じたソン・ガンホは、ご存知の通り二枚目とは到底いえない役者。しかし、性格俳優としての演技力の全てをこの馬鹿映画にも妥協無く注ぎ込み、最も印象に残る演技で他を圧倒。
賞金稼ぎを演じるチョン・ウソンは非常にクールだし、ガン捌きなんかはイチバン美しくて、しかもいい男なんだが....残りの二人の個性が強すぎて、やや可哀想。(特にソン・ガンホとのシーンでは美味しいところを全て彼に持っていかれた感が強い。)

話を収束させるにあたって、あのラストには、ちょっと異論の一つも唱えたくなる勿体無さがあったけど、アイディアの勝利。韓国も中国も日本もなく、盛り上がれるエンタテインメントだったと思う。

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