2011年2月5日土曜日

ウォール・ストリート/NARIZO映画レビュー

ウォール街の若き金融マン、ジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)の会社は、風評を切っ掛けとした株の空売りにあい、突然破綻した。心の師である経営者は自殺。それが金融業界の黒幕ブレトン(ジョシュ・ブローリン)の陰謀だと知ったジェイコブは、最愛の恋人ウィニー(キャリー・マリガン)の父親がインサイダー取引の罪で服役し、刑務所を出たばかりの元大物投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)だと知り、復讐のために彼に助言を求める。
ゲッコーは絶縁状態のウィニーとの仲を取り持つことを条件にジェイコブと手を組むことに同意。ウォール街を舞台に復讐のマネーゲームが始まった。



オリバー・ストーン監督&マイケル・ダグラス主演の「ウォール街」の続編が23年の歳月を経て、公開された。
アメリカの不動産バブル。サブプライム問題など、現代のマネーゲーム事情を盛り込み、マンハッタンのビル群のシルエットを株価変動のグラフに見立てたシーン冒頭から、いかにも経済ドラマな展開を予感させる作品だった。

ゲッコーを演じるダグラスは、台詞無用の存在感で、佇むだけでカリスマ性や危険漂うオーラを感じさせる。
この作品が、ギリギリ駄作にならずに踏みとどまっていられるのは、ほぼマイケル・ダグラスのお陰だ。
だって、2時間を越える映画で、結局語られるのは「復讐」の話と「断絶した父娘」の話。
これを語るのに小難しい経済用語の嵐が必要だったとは思えない。「復讐」を語る上で、マネーゲームをどう描くかは重要だったはずだが、これが何とも半端で、ただ筋を追っているだけの様な展開には、エキサイティングな要素がまるで感じられない。ハラハラするような駆け引きとか、水面下の工作とか、この作品だからこそ期待していたそういう演出があまりにも緩慢で、肩透かしも良いところだった。

そう考えると、同じような題材ならNHKがドラマから初映画化した「ハゲタカ」の方が、社会派エンタテインメントとしては、はるかに優れていたと思う。


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